第3章58話:ネリアンヌの罪状

ネリアンヌが焦りながら声をあげる。


「な、なんのご冗談でしょうか、ソルフェーユ様!? わ、わたしを、逮捕するなどと……」


「その件の説明は、こちらのクレアベルさんと、ライネアさんにしていただきましょう」


ソルフェーユ公爵は、クレアベルと、もう一人の女性――――ライネアさんに話を振った。


まずクレアベルが告げる。


「ネリアンヌ様は、私の娘であるセレナを誘拐するため、ぞくを雇い、刺客しかくとして差し向けました」


はっきりとした告発に、ネリアンヌは目を見開きつつクレアベルをにらむ。


クレアベルはネリアンヌの威圧を、意に介したふうもなく続ける。


「そのことに関して、私が王国軍の第三騎士団長であらせられるライネア団長に相談したところ……団長より、ネリアンヌ様に関するさまざまな調査資料を見せていただきました」


クレアベルが頼った『王都のツテ』とは、ライネアさんのことだったのか。


「そこからは私が話そう」


とライネアさんが口を開いた。


身長186cm程度の、かなりデカい女性。


黒髪ロングヘア。


目は赤色。


左目に眼帯をつけている。


紅色の軍服を着込んでいる。


「実は2年ほど前から、私は王都で、とある闇商人について調べていた―――――」


とライネアさんは説明を始めた。


いわく……


近年、王都では密かに暗躍していた闇商人がいた。


ライネア率いる第三騎士団は、その闇商人の監視と調査をおこなっていたらしい。


そして調査が進むにつれて、闇商人の取引相手の一人に、なんとネリアンヌの名前が浮上してきた。


そこで第三騎士団は、ネリアンヌに対しても監視をつけたところ……


暴行、強盗、窃盗、放火、麻薬売買、闇取引……などなど。


ネリアンヌが多数の犯罪行為に手を染めていたことが明らかになったという。


「ネリアンヌが犯罪に手を染めているならば、当然、その親であるメルディナ伯爵にも疑いがかかる。そこで伯爵にも監視をつけさせてもらったが……やはり伯爵もまた、複数の犯罪に関与していると判明した」


伯爵令嬢であるネリアンヌだけではなく、その親……メルディナ伯爵も犯罪をおこなっていたということか。


そのとき。


「で、デタラメよ!」


とネリアンヌが抗議した。


ライネアさんは否定した。


「デタラメではない。ちゃんと証拠はある。それにその証拠を国へ審査してもらったところ、女王陛下も、メルディナ親子の犯罪を認定なされた」


「なっ……へ、陛下が……!?」


その言葉に、ネリアンヌが泣きそうな顔になり、ガタガタと震えた。

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