第2章23話:チョコレートの味見
「……あ、そういえば」
私はふいに思ったことがあった。
みんなに尋ねる。
「よかったら、チョコレート……食べませんか?」
テオくんが首をかしげる。
「は? どういうことだ?」
私は手のひらの上に、この場にいる6人ぶんのチョコレートを生成した。
チョコの形も整えて、
ハート型x2
星型x2
円形x2
……とした。
ラミサさんが目を輝かせる。
「わぁ、可愛らしい。……で、食べるって何?」
「えっと。これを食べるんです」
私は星型チョコをひとつ手にとって、口に運んだ。
もぐもぐと食べる。
美味しい。
テオくんが困惑の言葉を述べる。
「た、食べた……?」
「魔法って……食べられるの?」
と、ラミサさんも困惑気味だ。
ヘンリックくんは黙っていたが、彼も、明らかに困惑した目を向けてきている。
私は答えた。
「まあ全ての魔法が食べられるわけではないでしょうけど……私のチョコレートは食べられます」
するとクレアベルが同意してきた。
「ああ、セレナのチョコレートは美味いからな。6個あるということは、私のぶんもあるのだろう? いただこう」
「私も食べる!」
そう言ったクレアベルとアイリスが、私の手からチョコレートを取っていく。
クレアベルがハート型を、アイリスが円形のチョコを、それぞれ口に運んだ。
「うん、美味い」
「あまーい!」
と、二人とも満足げだ。
クレアベルたちの様子に、テオくんはやはり困惑の色を浮かべていたが。
「マジで……? 甘いのかよ、これ?」
興味を惹かれたのか、一つ、私の手のひらからとっていく。
円形のチョコである。
彼はそれをしみじみと眺めてから、口に運んだ。
直後、
「……ッ!!」
驚いたように目を見開く。
「めちゃくちゃうめえ!! なんだこれ!! 口の中で溶けて……甘え!」
「チョコレートは、
「うん? 言われてみれば、まあ菓子かもな? でも食ったことねえぞ、こんな菓子! もう一個くれよ!」
「ちょ、ちょっと! 残りはあたしたちのぶんでしょ!?」
と、ラミサさんが慌てた。
チョコの好評ぶりを聞いて、食べてみたくなったのだろう。
ラミサさんは、テオくんに取られる前に、さっさとチョコを手に取る。
星型のチョコであった。
しげしげと見つめてから……
食べた。
「!!!?」
ラミサさんの頬が、一気に紅潮した。
「美味しいーー!!? なにこれ美味しすぎるでしょ!? ほろりと甘くて、ちょっと苦い感じで! なんで魔法がこんなに美味しいのよ!?」
あまりに衝撃的だったのか、ハイテンションになっている。
喜んでもらえたようで、私も満足だ。
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