第6話 戦闘国家ワルフラーンへ


「二人共、これから行く場所は決まっているのか?」

 レイは街道を歩きながら、遊とルルエルに聞いた。

「決まってないけど?」

「じゃあ、戦闘国家ワルフラーンに行こう。俺の事を世話してくれてる鍛治屋の人が居るんだ」

 ワルフラーンとは五大陸の中でも最も武器の開発、近接戦闘技術に優れた戦闘国家だ。

「あと、勇者様じゃあ呼びにくい。名前を教えろよ」

「……遊」

 遊はボソリと呟くように言った。

「勇者だからユウか!そりゃあいいな!」

 レイは大きな声で笑い始めた。

「よろしく……」

 レイと遊の二人は固く握手を交わした。

 三人はワルフラーン国へと行くために、国境を抜けようとしていた。


 遊とルルエルとレイが居る場所は、ワルフラーンへと抜ける国境だった。

 その国境を今、抜けようとしていたところなのだが……

 門の前にいた、髭面の男が前に歩み出てきて。

「待てぇい!!簡単によそ者を通すわけにはいかん!!勤続三十年!ワルフラーン警備ベテランの俺がいるかぎり!この国境は絶対に超える事は出来んぞ!」

 と、なにやらポーズまで取って熱い口調で言い放ってくる。

 しかし遊は完全無視して、隣にいるルルエルに言った。

「一つ聞いていいかな?国境を越えようとしたらあのおっさんに殺されかけたんだけど?」

「困ったわね〜」

「「困ったわね〜」じゃなくてさ。僕が不思議に思ったのはなんでいきなり殺されかけたのかなって」

「知らないわよ」

「「知らないわよ」じゃないでしょ!!僕殺されかけたんだよ!?」

 遊とルルエルが、困った顔をしているとレイが髭面の男の方へ歩いて行った。

「今、入れるようにするから待ってろよ」

 レイは遊とルルエルの方へ向かって、ウィンクをした。

「なにをされても私は、この門は開けんぞ!」

 たじろぐ門番にゴニョゴニョと、レイは耳打ちをした。

「…………!!しっ失礼しました!」

「な、通れるようになったろ?」

「レイはいったいなにを、しゃべったんだろう……」

「というかレイって、何者なんだろうね……」


 遊とルルエルの頭の中には、謎でいっぱいになりながらも戦闘国家ワルフラーンへと入っていった。

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