終わりに(兼 エピローグ)

結局、山村先生は二か月の停職処分となりました。


ただ、実際には一年後、今の二年生が卒業を迎える直前まで現場から離れるということになりました。

このあたりは教員の人事の都合など細かい事情がいろいろあるので詳しくは省略しますが、とにかく”処分が明けたら戻ってくる”ということになったのです。


現場はというと、代わりの教員探しや担任団の入れ替え、生徒や保護者への説明などなどさまざまな業務に追われ、いつも飄々としている沢田先生さえも、毎日あきらかに疲弊しているように見えました。



金山さんはあれ以来、学校にほとんど来なくなりました。

ぎりぎりで出席日数は足りていたためどうにか進級はできましたが、親には激怒され、仲の良かった飯田さんや宮下さんともすっかり疎遠になってしまったようでした。



あとで聞いた話ですが、そんな状態になってもなお、金山さんは山村先生の家に通い続けていたようです。


「恋の力ってのは怖いね…」


あるとき、沢田先生が苦笑いしながらつぶやいたことがあります。


本当にそうだな、とわたしも思いました。


恋は怖い。子供であっても大人であっても、ときに、周りのすべてが見えなくなってしまう。


「Like」が「Love」に変わるときというのは、常にそんな怖さを秘めているのかもしれない、と、そう思いました。



―――――



これでこの話はおしまいです。

山村先生と金山さんがその後どうなったのか、学校ではその後どんなことがあったのか、まだまだ書き足りないこともありますが、それはまた別の話。


またいつか、機会があればお伝えしようと思います。


今日も学校現場の片隅で、「先生」たちは動き続けています。

皆さんもどうか、そのことをお忘れなきよう。



(終)

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先生、それ”恋”じゃなくて”不祥事”です ゆうなぎ @nisejunk

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