第31話 高2 ・ 8月③

レヴュー、ありがとうございます。感激です。

★、応援コメントもありがとうございます。

ただ、申し訳ありませんが、批判的なコメントについては、

削除させていただきます。ごめんなさい。

心が豆腐ですいません。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


熊谷 悠里


8月の下旬。

今年も、1年3組のメンバー8人で、ロッジでのお泊り会が行われる。


去年は肝試しの時に、学級委員の松尾進が私に告白してきて、

断ったら、暗闇の山中に置いてけぼりにされて、肝試しが中止になってしまったのだ。


ユイカが、肝試しがしたいっていうので、雄太郎がリベンジ企画してくれたんだ。

去年のメンバーではさすがに、松尾進を呼ぶのは無理だったから、

代わりにサッカー部の大堀直之くんが参加することになったのだ。


最寄り駅で先に男子4人がそろって待っていた。

ここから1時間くらい、山の麓まで歩いていくのだ。


女子4人が駅を出ると、男子の視線はやはり、大塚純に釘付けになった。

だって、肌色が圧倒的に多いんですもの!

黒いTシャツはやっぱり丈がすっごく短くって、

ぎゅっとしまったウェストとおへそを大胆に見せていた。


下はデニムのパンツだったが、今年もまた、丈が異常に短かった。

健康的に焼けている、超魅力的な太ももが大胆に露出していた。


もう、こんなの駄目だよ!へんな男が寄ってきちゃうよ!

むう!金吾まで純を見て、鼻の下をのばしている!


「誠人、お願いね!」

「おう。」

誠人は純が差し出した花火や食材が入っている手提げカバンを当然のように受け取った。


「行こう。こっちだよ。」

「楽しみだね!」

そして、誠人と純は手を繋いで、先頭を歩き始めた。


「雄太郎、重い~!」

「しょうがねえなあ~。俺はカメラも背負っているんだぞ!」

「じゃあ、金吾に任せるわ。」

「いや、俺が持つ!」


雄太郎はユイカと一通りお約束をしたあと、

ユイカが差し出しているカバンを受け取って、並んで歩き始めた。


「うぇ~い、悠里、持つぜ~。」

直之が私の手提げカバンを掴んだ。


「あ、ありがと。」

直之にカバンを奪われながら、私は金吾に声を掛けた。

「もう傷は治ったの?」

「心配してくれて、ありがとう。お陰様で全快だよ。」


「そういや~、ボコボコにされたんだったよな~。」

直之が金吾の顔を改めてジロジロみていた。


菅野晴子も金吾の顔を凝視した後、ニヤニヤした。

「どれどれ。う~ん、鼻の形が良くなって、少しイケメンになった!」

「イジってね~し!」

「あははは!」


金吾は晴子の荷物を受け取ったので、

私は直之ではなく金吾のペースに合わせたら、4人で並んで歩くことになった。


「それにしても水臭いよ。ウチらにケガしたこと、教えてくれないなんて!」

歩き始めるとすぐに、晴子が金吾に不平をこぼした。


「マジな、マジそれな!」

「いや、悠里たちとは入院していた日にさ、

宿題を一緒にやろうって約束していたから・・・」


「だ・か・ら、水臭いんだよ~!ウチだって宿題、一緒にやりたいのに~!」

「マジな、マジそれな!」

「俺の家って狭いからさ・・・」


晴子は暗い雰囲気になることを嫌ったのだろう、

表情を少し変えて大げさなポーズをとった。


「まあ、そんなことより、

武器を持った半グレ10人に襲われているあの夜木紗季を助けに行って、

そいつらを全員ぶちのめしてから、力尽きて倒れたんだって?」

「盛・り・す・ぎ~!いい加減にして~!」


「スゲーじゃん!夜木ってあれだろ?お前の元カノだろ?

お~、ドラマじゃ~ん!で、どうなったんだ?

元サヤ?NTR返し?どうなったんだ?なあ?」


直之は、この8人の中で一番、私たちの情報が少ないから、

面白可笑しくグイグイ、喰いついてきた!


「松久保と夜木のミュージック・ビデオの新しいヤツがアップされているから、

残念ながらドラマティックなことはなかったんじゃない?」

金吾が楽しくない話になりそうだったのを、晴子がフォローしてくれた。


「なんだよ~!そこはお前、がんばれよ~!

それで、新しいヤツどうなんだ?いいカンジ?」


「ウチ的には去年の方がずっとよかったけどね・・・

それより、直之ってアウトドアは得意なの?」


「はっは~!俺に任せろよ!」

晴子の誘導が巧みで、夏休みの直之の自慢話に変わって行った。


暑いさなか、1時間ほど歩いてようやくキャンプ村に着いた。


ロッジは2階建てで、1階は広いリビング、お風呂、8畳の和室があって、

階段を上がると左右に扉も壁もなく、6畳くらいの屋根裏部屋があった。


「2階は女子ね!」

「はい、はい。」


ユイカの宣言に、雄太郎は無駄な交渉をすることなく、男子を引き連れ

1階の8畳の和室に向かった。


「いやあ、暑かったから疲れたな。さあ、何をするんだ?」

リビングに全員揃うと、直之がウッキウキな声を出した。


「もう、しょうがないな~。のび太くんは。

じゃじゃーん、水風船~!」

それを引き取ったのは今回も晴子。


「水風船~?」

のび太ちっくにわざとらしく繰り返した金吾に、晴子は満足そうに肯いた。


「これをぶつけ合って遊べば、涼しくなるんだよ~。

さあ、2チームに分かれて、ぶつけ合うよ。」


「うぇ~い、涼しそうじゃ~ん!」

晴子が楽しそうに提案すると、直之が賛成の声があげた。


男子4人が外でそわそわと待っていた。

チーム分けは、私、金吾、直之、晴子の「チーム孤独」と

ユイカ、雄太郎、誠人、純の「チームカップル」に別れた。


金吾はTシャツに短パンで、むき出しの腕とか足は

去年より明らかにガッチリと鍛えられていた。


水風船を併せて100個用意して、4対4で向き合って準備完了だ。

「じゃあ、私の合図で始めるからね~。

敵は本能寺にあり~!」


「なにそれ、なにそれ?」

晴子の掛け声に戸惑いの声を上げる直之。


誰も教えていないみたい。

うふふ!


その直之に、味方のハズの私、金吾、晴子が一斉に攻撃する。


直之は味方の裏切りを受けたのに、金吾の投げた水風船を鍋蓋でちゃんと防いだ!


「なにっ!」

さらに直之は後ろからぶつけた私たちを視線で牽制すると、

金吾に水風船を投げつけた!


「あべしっ!」

直之に水風船を顔にぶつけられた金吾はいつものおバカな悲鳴を上げながら、

逃げ出そうとした。


さっきは純のエロい恰好に夢中になりやがって!

思い出した私は金吾に水風船をぶつける。


「裏切ったな、ゆう!たわばっ!」

きっちりと顔面にぶつけてやると、金吾はまた逃げ出した。


今度は晴子が待ち構えている方へ。

「晴子、お前もか!」


金吾はまたわざとらしいセリフを吐いた。

「死ね!」

「ひでぶっ!」


そこからはもう、キャーキャー言いながら逃げ回り、

敵味方関係なくぶつけまくって、

あっという間に100個の水風船が無くなってしまった。


みんなずぶ濡れとなってしまったけど、

やっぱり面白すぎて、みんなバカ笑いしていた。


※ゴミはスタッフがすべて回収しました。


日が暮れ始めて、いよいよバーベキューをすることになった。


水風船戦争と同じく2チームに分かれることになって、

今度は、私、金吾と誠人と純のカップルと

ユイカ、雄太郎、晴子、直之の4人に別れた。


こちらでは誠人が手際よく、炭を熾してくれた。

「きゃ~、まこっちゃん、かっこいい!」

褒め上手な純が大げさに褒めて、

去年も褒められたハズだけど、やっぱり誠人は嬉しそうに鼻をぴくぴくさせていた。


バーベキューが半分終わったころ、純が金吾の横にピョンとくっついた。

「ねえ、金吾。ほんとに紗季を守るために

レイプ犯3人と相打ちになってケガしたの?」

あざとく上目遣いに金吾を見つめている。


「だから盛られているって。

相手3人のうち、2人は倒したんだけど、残り一人にボコボコにされたんだ。

あと、夜木って気付いたのは、次の日、夜木がお見舞いに来たからだよ。」


「いや、2人でも凄いよ!

それに、見知らぬ女子を誘拐しようとする男3人に立ち向かったんでしょ?

凄くカッコいいね!

ねえ、もし私が危ない時も助けてくれる?」


純は瞳をキラキラさせて、金吾の腕をぎゅっと抱え込んだ!

誠人の恐ろしい視線を浴びて、慌てて金吾は純から体を引き離した。


「あのあと、警察に相手が複数だったら逃げろってめちゃくちゃ叱られたんだ。

それに、純はそんな目に合わないだろ?

夜の公園を一人で歩くバカじゃないし、

第一、誠人がずっと守っているだろうから。」


金吾がうまく純と誠人を持ち上げると、

誠人は純の両肩を掴んで、目を見つめてハッキリと告げた


「純、俺がずっと守ってやるぜ!」

「・・・好き。」


誠人と純が人目をはばからず、熱烈なキスを始めるから、

目のやり場に困ってしまった。

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