第19話 高1 ・ 12月
いつもありがとうございます。
最初の2日は星がもらえず、_| ̄|○していました。
お陰様で週間34位になりました。
たくさんの★、感想ありがとうございます。
嬉しくって、励みになります。
金吾くんたちの冬を楽しんでいただけると幸いです。
★★★★★★★★★★★★
2学期の期末試験が終わって、いつもの4人で弁当を食べている。
今日の俺の弁当は、
ご飯、ふりかけ、プチトマト、ミートボール(冷凍)、玉子焼き、ブロッコリー。
「どう?ブロッコリーのお陰で、彩りよくなっただろ?」
「茹でただけだろ!」
「きびしい~!」
俺が得意げに弁当を見せびらかしたら、
ユイカのツッコミがいつもどおり厳しかった。クスン・・・
「なあ、クリスマス・イベントしないか?」
俺たちのやり取りを一切、無視して雄太郎が意欲満々に提案してきた。
「クリスマス・イベント?」
「ああ、終業式の後にでも、このクラスで、カレシ、カノジョ、
いない奴限定でさ、ラウンドテンにでも行こうぜ。」
じゃあ、夜木紗季、松久保琢磨はいないのか。いいね。
あっ、でも、小笠原誠人と大塚純もいないけど・・・まあ、いいか。
「楽しそうね。」
悠里が微笑むと、ユイカもうんうんと肯いていた。
「金吾は当然、行くよな?」
「ああ。でも、カラオケなら行かないよ。」
「ああ~。」
雄太郎、悠里、ユイカがニヤニヤしながら納得していた。
解せぬ!
終業式が終わって、ラウンドテンに三々五々集合した。
どうやら男8人、女8人も集まるらしい。
4月当初はボッチだったのに、こんなイベントに、楽しく参加できるなんて。
全部、雄太郎が友達になってくれたおかげだな。
「雄太郎、ほんとにありがとう。」
「おお、なんだかよく分からんが・・・
はい、みんな揃ったな。
じゃあ、2部屋に分かれてカラオケ、楽しもうぜ!」
「カラオケは嫌だって言っただろ!」
聞かされていなかった俺は怒りの声をあげた。
「カラオケが嫌なのはお前だけなんだ。我慢しろ!」
雄太郎が冷たく言い捨てると周りの奴ら、みんなうんうんと肯いていた。
「ひでえ!」
雄太郎なんて、お前らなんて、大嫌いだ~!
くじ引きで決まった部屋にしぶしぶ向かうと、
雄太郎、ユイカ、悠里は隣の部屋に入って行った。
がーん!金吾、ショック・・・
「あ~、雄太郎じゃん!こっち、こっち!」
恐る恐る部屋の中を覗くと、大塚純に大げさなジェスチャーで呼ばれたので、
その隣に腰を下ろした。
「よろしく~。あれ?純がなんでいるの?カレシ持ちはダメなんじゃ・・・」
意外に思ってそう言うと、純はプンスカ怒ってしまった。
「もう、誠人とは別れたの!」
「えっ、ほんと?いつ?なんで?」
「先週!喧嘩した!
アイツ、ホント、サイテ~なの!
・・・もう、いいでしょ!今日は楽しみましょ!」
そういう純は着かえてきていて、
フードが可愛いダウンジャケット、寒いのに胸元が大きく開いたシャツ、
際どいミニスカート、ガーターストッキングが超セクシーだった。
これって高校生の格好じゃないよね?
そのうえ、純は相変わらず距離感がバグっていて、
肩はおろか、腰、太ももまで俺とくっつけてきた。
ヤバい!
鼻の下が伸びまくりそう!
大きな胸の谷間、覗き込んでしまいそう!
何か、物を落として、しゃがみたくなる!
ヤバい!
「ねえ、金吾は悠里とどうなの?」
耳元で囁かれると、香水のいい匂いまでしてきた。
「べ、べ、別に何にもないんだからね!」
「うふふ。じゃあ、フリーなんだね。私と同じだね。」
「ソソソウデスネ。」
それから、二人でこっそりと色々お話しした。
恋愛の話とか、恋の話とか、フラれた話とか。
全部、同じじゃね~か!
純は、時折、わざとらしく足を組み替えるんだけど、
それがまたセクシーで視線が釘付けだ。
ヤバい。
俺ってルアーに釣られるタイプだったんだ・・・
「うふふ。ねえ、金吾。こんど、こっそりとデートしようよ。」
純に腕を組まれて、胸が、大きな胸が、ぐいぐい押し付けられた!
「あ、あの・・・」
大混乱していたら、突然、マラカスで頭を叩かれ、マヌケな音が響いた。
「いたっ!」
我に返って顔を上げると、大堀直之が仁王立ちしていた!
「・・・おい、金吾、歌わなくてもいいから、盛り上げろよ!」
直之に立ち上がらされ、マラカスを2本渡されたので、
その後はクラスメイトの歌を盛り上げるため、
マラカス振って踊っていたよ。
曲とあっていないって笑われながら・・・クスン。
しばらくしたら、小笠原誠人が部屋に飛び込んできた。
「はい、メンバー交代の時間で~す!
金吾、直之、半田、藤原、向こうの部屋な。」
それから誠人は鼻の下を伸ばしていた直之の前に仁王立ちして、
超低気圧な声を出した。
「おい、お前は向こうの部屋だ。」
不承不承、直之が退くと、誠人はその席にドスンと座った。
元カノ純の隣に。
純は体を固くして、誠人から目を背けていた。
まあ、どうでもいいけど。
隣の部屋に入ると、すぐに名を呼ばれた。
「「金吾、こっち、こっち~!」」
笑顔の悠里と晴子の間を勧められたので、
他の野郎に獲られないよう急いで座った。
だが、そこは天国ではなくて、すぐに戦場に変えられた。
直之から手りゅう弾が投げつけられたのだ。
「向こうで金吾は、純とずっとイチャイチャしていたんだぜ~!」
さっきまで温かだった悠里と晴子の空気がピシッと凍り付いた!
「ほほう~、あのエロ女と、どんなイチャイチャしたか、教えてもらおうか。
うん?
どうした?
おら、金吾、吐け!」
「いや、あの、相談に乗っただけだよ。」
「あのエロイ太ももに釘付けだっただろ!
よだれ垂らしそうだったじゃね~か!」
追加の手りゅう弾が投げつけられた。
「直之、てめえ~!ぐほっ!」
両隣から、エルボーが脇腹に突き刺さったよ。
「おお?
あのエロい谷間を覗いたのか?
エロい体を触ったのか?
どうなんだ、おお?」
「触られただけです!」
「「死ね!」」
「ぐほっ~!」
そして、終わりの時間が近づいてくると雄太郎がマイクを握った。
「じゃあ、プレゼント交換の時間だぜ~。
みんな、プレゼントを用意しているよな?
じゃあ順番に、この紐、選んでくれ。」
この部屋にいる8人でプレゼント交換ということで、
紐は8本用意されていて、男は右側、女は左側から引くみたい。
プレゼントの相手は運だが、女子と交換するのは決定だ。
そういや、悠里をイメージしてプレゼントを買ったんだけど、
それは、女子用のプレゼント1000円相当を用意しろって言われたからだったわ。
8人の女子が来ているけれど、この部屋には4人だから、チャンスが倍になったよ。
最後に残った紐を雄太郎が握って、せ~ので紐を引っ張った。
俺の紐の隠れていた部分はただ1本赤く染められていて、
その繋がっている相手は悠里だった。
やった、当たりだ!
目を合わせたら、悠里も嬉しそうだった。
イエス!イエス!イエス!
「はい、交換する相手は変更なしだぜ~!
じゃあ、当たりの金吾、悠里から、交換な。
相手を見つめてそのプレゼントを買った理由を言うんだぜ。
気持ちを込めてな!」
「なっ!おい、雄太郎!」
「ほらほら、予定表にちゃんと書いてあるだろ?」
示されたペーパーには確かにそんなことが書いてある!
「こんなの初めて見たぞ!」
「そりゃ、見せてないから。
だけど、この予定表のとおり、ちゃんと進行しているぜ。」
「ぐぬぬ!」
「ほら、二人とも前に出ろ。金吾からな。かっこいい所、見せてみろ!」
悠里と二人、前に押し出された。
雄太郎、ユイカ、晴子、直之、半田、藤原のキラッキラした視線を浴びて、
恥ずかしい~。
だけど、みんなやるんだ。
俺が最初っていうだけだ。
うん。先陣として、ばしっとキメてやるぜ!
俺は悠里をまっすぐ見つめ、可愛くラッピングされた赤い紙袋を差し出した。
「あ、あの、1週間前の凄く寒い日にさ、
カバンを持っている手が凄く辛そうだったんだ。
だから、これ、用意しました。
使ってくれたら嬉しいです。」
悠里はその後、100円ショップで可愛い手袋買ったよって見せてくれたけど、
その時にはもう、この手袋買ってしまっていたんだよね。
喜んでくれるかな?
このスマホ対応の薄いベージュのおしゃれ手袋。
2000円近くかかっちゃったけど。
頬を染めた悠里は赤い紙袋をそっと受け取り、中を覗き込むと
そわそわしながら俺に尋ねてきた。
「ねえ、開けていい?いいよね?開けるよ。
うわぁ、手袋だ~、可愛い~!
あ~、内側も気持ちいいし、これ、すっごく暖かいよ!
嬉しい!ありがとう、金吾!」
手袋を着用して、抜群の笑顔を浮かべた悠里がテンション高く喜んでくれた。
「よかったよ。喜んでくれて。」
俺の答えに悠里はうんうんと肯いた。
「次は私の番だね。」
悠里も俺と視線をしっかりと合わせ、
赤と緑の市松模様の可愛い紙袋を差し出してくれた。
「寒い日でも外でトレーニングしている君が
少しだけでも暖かくなってほしいなって・・・」
これって、悠里も俺をイメージしていたってことじゃあ・・・
「ありがと。開けてみるね。」
中にはベージュの小さなつば付きのニット帽が入っていた。
「おお、オシャレだ!どう、似合う?」
ニット帽をかぶって、少し顔を左右にしながら、悠里に尋ねてみた。
「うん、似合う、似合う!」
悠里がニコニコしながら答えてくれて、頭だけじゃなく胸まで暖かくなったよ。
「ずっと二人だけの世界にいるんじゃねえ!」
いつの間にか隣に来ていた晴子が俺と悠里の頬をぎゅっとつねった。
「「痛い!」」
そっと周りを見てみると、みんなに凝視されていた!
「爆ぜろ!」と雄太郎は憎々しげだった。
「ちっくしょ~!」膝をついて、床をゴンゴン殴る直之。
「これで付き合っていないんだから・・・」とユイカは呆れていた。
「エモかったよ~!」
「尊かったね!」
恥ずかしすぎる!
止めてくれ!
「おら、次だ、次。次は誰なんだ?」
恥ずかしくって大声を出して、全力で誤魔化そうとした。
「あれは当たりのお前らだけだ。」
さらっと答えた雄太郎がニヤニヤしていた。
「「はあ?」」
意味が解らず、悠里とハモッてしまった。
「ほら、ここに書いてある。」
また、予定表を見せられた。
確かに、「当たりの一組だけ」って書いてある!
「うわあ、恥ずかしい!みんな、忘れてくれ、頼む!」
恥ずかしさに悶えながら頼んでみたら、
悪魔の笑みを浮かべたユイカがスマホを目の前に差し出してきた。
「安心してください!録画してますよ!」
ハキハキと答えられた後、俺の姿がスマホに表示され、俺の声が流れてきた。
「あ、あの、1週間前の凄く寒い日にさ、
カバンを持っている手が凄く辛そうだったんだ。
だから、これ、用意しました。
使ってくれたら嬉しいです。」
「キャ~!ちょうだい!ちょうだい!」
女子が黄色い声を上げると俺と悠里の悲鳴が響いた。
「ダメだ、ダメだ!いくら払えばいいんだ!消してくれ!頼む!」
「消して!お願い!消してよ!」
「ちょっと静かに。」
俺と悠里の哀願が響いたのか、ユイカが真剣な表情となって肯いた。
「うん、わかった。誰にも送ったりしない。約束する。」
ホッとした俺たちを見てから、またまた悪魔の笑みを浮かべた。
「でも、絶対に消さない!」
「なんてこった・・・」
悪魔の前で俺と悠里は崩れ落ちた。
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