第31話 お茶会が終了しました
本題を終えた後は、ハンプタン様が聖獣交流クラブの活動内容をお話して下さったり、ハニャさんが採取課の近状を話したり、ハニャさんの奥さんが主催しているというクラブの活動内容を話したりしているうちに時が過ぎていきました。
私もモリエルさんも初のお茶会参加なので、お二人が率先して話題を提供して下さって助かりました。こういう場で自然に話題を提供するのって、慣れていないと難しいですよね。
その後は、ハンプタン様と同居しているという聖獣さん達と合流しました。
薄緑色の毛のリスさん姿のナーシーさん。青灰色のペガサスさんはロージィさん。羽の生えた黄色いあらいぐまさんはクエンさん。赤と緑と黄色の配色のオウムさんのリリさんの四人が、現在ハンプタン様の元で同居している聖獣さん達だそうです。
ハンプタン様は聖獣交流クラブを主催しているだけあって、同居している聖獣さんの数も多いようです。また、彼らの他にも、今はもう同居していないけれど、以前は同居していた聖獣さんもいるそうです。
こちらを出て行った聖獣さん達の中には、独立して仕事をしている聖獣さんもいるとの事です。都市内には聖獣さん専用の住居もあるのだと初めて知りました。
しらたまさんとちまきさんは現在、彼らと一緒に庭園を駆けまわって遊んでいます。お二人とも自分達以外の聖獣さんと会う機会はなかったので、とても楽しそうです。
私とモリエルさんはその間、花を観賞しながらゆっくりと庭園内を散歩して過ごしました。
椅子に座って庭園を眺めるのも綺麗でしたが、間近まで行って様々な種類の花を観賞するのも楽しかったです。
「本日はお招き頂きありがとうございました」
「楽しかったでしゅ」
「こちらこそ、貴重なお時間を頂いて有難うございます。動画の件はゆっくり考えて下さいませね」
そんなこんなで二時間以上の時間をこちらで過ごして、辞去する事となりました。
お暇する際にはお土産も頂きました。
しらたまさんとちまきさんは、居場所がわかるGPSのようなものと、通話ができる機能がセットになっている神術具です。
折角なので、今つけている翻訳道具と一緒に、首輪につけておきましょう。
これでもし彼らが迷子になってしまっても、連絡も取れて居場所もわかるので安心です。
その他にも、私達全員にそれぞれ、お菓子の詰め合わせをお土産に頂きました。こちらはハンプタン様に仕える天使のポーさんによる手作りのお菓子だそうです。
ポーさんは今回、給仕に徹しておられたのであまりお話できなかったのですが、どうやらモリエルさんと同じようにお料理が得意な方のようですね。
ハンプタン様とポーさんの個人的な連絡先も教えて頂きました。動画の件は元より、他にも何か用事があればいつでも連絡して欲しいとの事です。
「今日はお疲れ様、ミモリくん」
「こちらこそお世話になりました。ハニャさんが来て下さって、とても助かりました」
送って頂いた自宅の前で、ハニャさんに頭を下げてお礼を述べます。
本当に、ハニャさんが同行して下さって心強かったです。
「また何か悩みがあれば、いくらでも相談に乗るからね」
ハニャさんが穏やかな笑顔でそう仰って下さいます。担当官のお仕事ゆえとはいえ、その優しさに救われます。
「ありがとうございます」
「それじゃあね。今日はゆっくり休むといいよ」
「はい、ハニャさんもお疲れ様でした」
「お疲れしゃまでしゅ」
皆でハニャさんを見送ってから家に入ります。
「皆さん、お疲れ様でしたー……」
リビングに辿り着き、そう言いながら一気に疲れが出たのか、私はソファーにぐったりと全身を凭れさせてしまいました。モリエルさんも向かいのソファーにパタンと倒れ込みます。
「殆ど動いてないのに、しゅっごく疲れたでしゅ……」
「気疲れですね……」
大きな失敗をせずに無事にお茶会を乗り越えられたという安堵感もありますが、何よりも精神的な疲れが全身を重くしています。
二人揃ってぐったりしていると、しらたまさん達が心配そうに寄ってきました。
「わーう!?」『だいじょぶ!?』
「なうなう」『休むする、良い』
「うう。すみません、お二人とも」
「ちょっとやしゅむでしゅー」
しらたまさん達は聖獣さん達と駆け回って遊んだりして、私達よりもよほど動き回っていたのですが、私達ほど疲れてはいないようです。むしろしらたまさんは大勢で遊んだのが楽しかったのか、まだ少し興奮している気がします。
とりあえず、しばらくは休憩ですね。
提案された動画の事とか、色々と考えるべき事はあるのですが、それもこれもまた明日以降にしましょう。
今は、とにかくゆっくり休みたいです。
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