第18話 お友達が遊びに来ました
避難所から家に戻ってのんびりと休憩していたところ、お友達のエマさんから「急だけど、今日の夕方遊びに行っていい?」と、メールで連絡が来ました。
エマさんは見習いの戦闘員として人界へ合宿に行っていたのですが、どうやらこちらに帰って来ていたようです。
私は同居している皆さんに、この家でお友達を紹介したいのですがとお願いして同意をもらい、「同居する事になった聖獣さん達も紹介したいですし、天使さんも無事に卵から孵ったので、ぜひいらして下さい」とお返事しました。
そして折角なので、夕飯を食べていってもらう事にします。モリエルさんと二人で、おもてなしに精一杯のご馳走作りに励みます。
何だか、久しぶりにエマさんに会えるのが楽しみで、訓練の疲れも飛んでいったみたいです。
そうしてお食事会の準備をしていると、全域放送で訓練終了のお知らせが告知されました。
タブレットにもお知らせが来ており、訓練参加報酬の他に、避難所への到達報酬、半時間以上生存報酬、一時間以上生存報酬など、いくつかの実績報酬が明細と共に、金銭とポイントの両方で口座に振り込まれていました。
訓練参加報酬は、普段の仕事が出来なかった分の補填や、訓練に積極的に参加してもらう為の経費として、上層部が出しているそうです。
全員一律の参加報酬の他に、行動によっても個別に報酬が出るのですね。これは報酬目当てに張り切る人も多そうです。
「思ったよりも多めの報酬が入っていますね」
私の口座には、一日の稼ぎの平均よりかなり高めの報酬が振り込まれていました。
「はいでしゅ、僕のも同じだけ入ってましゅ」
「わんわん」
「にゃおん」
どうやら私だけでなく、訓練中ずっと一緒に行動していたモリエルさん達も、同じ報酬が入っていたようです。訓練は疲れましたけど、高額報酬が貰えたのは嬉しいですね。
「こんばんは、お邪魔するわね。お土産にケーキを買ってきたわ」
夕方、エマさんが家に遊びに来ました。
エマさんは前世、地球とは違う世界で軍人さんをしていたという経歴の持ち主で、金髪に紫の瞳をした快活な性格の女性です。
私と同じ年に聖樹の実から生まれた神見習いの百人の同期のうちの一人で、戦闘職の職業訓練を一緒に受けた事がきっかけで仲良くなってお友達になったという経緯があります。
私は戦闘に不向きだったので、結局は戦闘職になるのを断念したのですが、エマさんはそのまま戦闘職を選び戦士になりました。
そしてしばらく前から研修の一環として、人界で実戦経験を積む為の合宿に行っていたのです。そうして今日、ようやく帰ってこれたようです。
「こんばんは、いらっしゃいエマさん」
「はじめましてでしゅ、僕、モリエルでしゅ」
「わんわん!」
「にゃーお」
家にやってきたエマさんを全員でお出迎えします。
「エマさん、こちらの天使さんがモリエルさんです。そしてこちらの聖獣さんが、しらたまさんとちまきさんです」
まずは私から、同居人の皆さんを紹介していきます。エマさんにはメールで先に聖獣さん達と同居を始めた事や天使さんの卵が孵った事は知らせてありましたが、こうして直接顔を合わせてお話するのは今回が初めてになりますものね。
「初めまして、モリエルちゃん、しらたまちゃん、ちまきちゃん。私はエマ・ダスティンよ。これからよろしくね」
エマさんは玄関先でしゃがんでモリエルさん達に目線を近づけ、にっこり微笑んで挨拶します。
「よろしくでしゅ」
「わん!」
「にゃん!」
モリエルさん達は人見知りせず、人懐っこい笑顔でエマさんに挨拶を返します。お互いに自己紹介して、一人ずつ握手を交わします。
「ふふ、皆可愛いわ。家が賑やかになって良かったわね、ミモリ」
「はい、皆さんのおかげで毎日楽しく暮らせています」
エマさんの言葉に、私も笑顔で頷きます。
実際、一人暮らしの時は日々が淡々と過ぎていくようで寂しく感じていましたが、今は料理や洗濯といった家事も面倒に感じなくなりましたし、食事の時間も賑やかで、毎日がとても楽しいです。
これも温かく優しい同居人さん達のおかげです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます