第12話 天使さんのお買い物をします
全員でポイントを出し合って、モリエルさんの寝室を増築します。
自宅内に空間を増やして、どこにどんなタイプの部屋を設置するかを選んでいきます。モリエルさんの意見を採用して、部屋の広さは八畳程に。床はフローリングにして、壁紙は白地に薄い緑の葉っぱが描かれた物にしました。
その後は通販で服を見ていきます。ですが、天使さんの背中にある羽に対応した子供服は、種類が殆どありません。
天使さんは誕生時から完成された姿で生まれますから、子供姿をあえて選ぶのはレアケースなのでしょう。そういった需要の低い物は、どうしても品薄になりがちです。
「天使さん用の子供服……、どこかに売っていないでしょうか」
「かわいー服がいーでしゅね」
モリエルさんの二人でパソコンの画面とにらめっこします。
一口に「子供服」と言っても、大きさにはかなり違いがあります。モリエルさんの体長に丁度いい大きさの、着心地が良くて可愛らしい服が欲しいです。
「ご主人しゃま、ここのサイトはどーでしゅか?」
天界の通販サイトをあれこれと彷徨って、ようやく目当てのお店を見つけられました。
「あら。ここのお店は、とても可愛らしい子供服がたくさんありますね。天使さん用の服も、種類が豊富にあります」
「色がぱしゅてる系で、僕好みでしゅ」
「確かに、デザインも色使いもとても素敵ですね。どれも可愛らしい服ばかりです」
天使専門店ではなく、子供服を主に扱っているお店のようです。店名は「キャラメリゼ」。通販サイトも運営していますが、聖樹都市の一角に直営店もあるようです。
今はモリエルさんが買い物に出掛けられるような服すらない状態ですので、とりあえずは早急に通販で買い物を済ませなければなりませんが、今度時間を作って、モリエルさんと一緒にお店に直接買い物に行ってみたいです。
着るのはモリエルさんですので、本人の好みで服一式を数セット選んでもらい、一旦会計を済ませます。今日中に届くようなので、まずは一安心です。
その後は続いて、服屋さんとはまた別の通販サイトを巡り、モリエルさんのお部屋に設置する家具を注文していきます。
日本の一般的な家具は多くが組み立て式で、買ってきてから自力で組み立てなければいけないので大変だった思い出がありますが、天界では空間拡張鞄があるおかげで、そんな労力もいりません。最初から組み上がった家具を、部屋まで運んで設置まで完了して下さるのです。
そうして一通りの注文が終わりました。お急ぎ便に指定したおかげで、商品は午後には届く事になりました。それまで時間が空きますので、お昼ご飯の準備をしましょう。
「ご主人しゃま。僕もおりょーり作ってみたいでしゅ」
「では、一緒に作りましょうか」
モリエルさんが料理に興味を示したので、一緒に料理をしてみます。
子供の姿をしているとはいっても、モリエルさんは本物の子供ではなく、天使さんです。天使さんはその特性として、生まれながらに成人済みの大人と同程度の能力を持っているのです。それは、筋力や器用さも同じです。
ですから普通の子供のように、火が危ない、包丁が危ないといった理由で心配しすぎる必要はないでしょう。
それに天使さんは補佐役として、家事全般を受け持つ人も多いと聞きます。卵の中で行われる初期学習の内容にも、あらかじめそういった技能がインストールされているそうですので、きっと私よりも料理が上手なのではないでしょうか。
そんな訳で一緒に料理をしてみましたが、やはりモリエルさんはとても器用で料理上手でした。
天使さんは種族特性として、生まれた時から「浮遊」と「飛翔」のスキルを持っているので、大人用のキッチンの高さも物ともしません。補助用の台も必要としないくらいです。それに包丁さばきも私よりよっぽど上手で、教える事など何一つありませんでした。
これで「料理」のスキル持ちではないというのですから、もう脱帽です。
モリエルさんが主に作ったご飯はとても美味しくて、私が作るよりよっぽど手が込んでいて感動しました。
揚げ物や蒸し物は手順やら何やらが難しくて、私は滅多に作りませんし、出来上がりもそれなりになってしまうのですが、モリエルさんがそれらをいとも簡単に手際よく作っていく姿には、感嘆の溜息しか出ませんでした。
何より、その料理の美味しさは、感動と感謝の念が溢れる程です。
それはしらたまさんとちまきさんも同様だった様子で、お礼にモリエルさんの足元に頭を何度も擦り付けて、喉を鳴らして懐いていました。
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