第2話 魔道士ギルド『ザイデルバスト』
外観は教会のような見た目だったが、ギルドの中は思った以上に質素だが木の香りが心地よく感じる。
外も賑やかだと思ったが、ギルドの中には大勢の人があっちこっちで喋ったり踊ったりと自由に過ごしているためより一層賑やかだった。
――知らない人達だけど、すっごい楽しそう……。
ガーデンとリオンに付いていきながら周りをキョロキョロしていると色んな人がガーデンに話しかけてくる。
「おぉ!マスター、今日は早いおかえりで。」
「あら?マスター♡今日は私と遊んでくれるって約束だったわよね?♡」
「は~い、皆さん今日ガーデンさんは仕事がたんまり残ってるのでダメですよ~。」
話しかける人達をリオンは気にせずどんどん部屋の奥へとガーデンを押しながら進んでいく。
着いたのは両側に大きな本棚があり、入って正面には大きな机と椅子、そして部屋の真ん中にはテーブルがあり座り心地の良さそうなソファが置いてある。
「あの……。ここが僕の住む部屋ですか……?」
そう尋ねると、リオンとガーデンは笑いながら答える。
「ハハ!ここは私の部屋だよ。私がマスターとしての仕事をするための部屋だね。」
「アハハ!こんな本だらけで資料が山積みになってる部屋はアオイには住まわせないよ!」
――そんな笑わなくても……。
勘違いをしてしまい顔が赤くなっていく。
「じゃあ、後は任せたよ。リオン。」
「ちゃんと仕事してくださいよ?いつもみたいに逃げ出したら怒りますからね。」
釘を刺すように言いつけるとガーデンの部屋を出ていく。
「いきなりみんなと会うのは緊張すると思うから、俺の部屋行こっか」
アオイの手を引いてガーデンの部屋の真向かいの自分の部屋へと連れて行く。
「それじゃあ……まずはどこから教えたら良いかな?」
「えっと……全部お願いします……。」
本当は家に帰る方法を教えて欲しかったが、どうせすぐに帰ることは出来ないという事を薄々感じ取っていた。
「そうだよね!まずは……やっぱり、これかな?」
たくさん物が置いてある棚から謎の透明な丸い水晶玉のような物を取って来る。
「え?あの……それって……?」
「
――こんな占い師が持ってるような玉でなんで分かるんだろ……?
不思議に思いながらもその玉をじっと見つめる。
「はい、じゃあこれ持って!」
投げるように
「あぁ!ちょ!あ、危ないよ……。」
思ったよりズッシリと重かったが何とか受け止めると、急に玉が光り始める。
「え!?な、なにこれ!?どうしたら良いの!?」
「へぇ~!やっぱり、
慌てるアオイをよそにリオンは感心している。
「よし!大体アオイの魔法に関する事は分かったからそれ貰っちゃうね!」
「う、うん……。」
恐る恐る
「じゃあ次は……。」
次は何を教えようか考えているリオンにさっきの魔元素の事が気になり聞いてしまう。
「あの……。さっきの魔元素っていうのは……?」
「あぁ!魔元素っていうのは魔法にも色々種類があって、その魔元素を持っていないと使えないんだよ。例えば……。」
そう言うと、リオンの体が宙に浮き始める。
「え!?ど、どうやってるの!?」
「これが魔法だよ、アオイ♪これは風魔法って言って、こうやって風を操って自分を浮かせたり相手を吹き飛ばしたり色々出来るんだよ!」
「その風魔法って僕も使えるの……?」
「うーん……。そうだね、風魔法と何個かの魔法は例外で魔元素っていうものが無いんだ。
「え、でも僕は全魔元素を持ってるんだよね?」
「そう!だから、出来ない事は無いけど修行したり、魔力を高めていかないとだね♪」
――つまり、さっきのリオンが使った魔法も修行すれば使えるんだ……。
自分の潜在能力がこんなにもあった事に驚きつつも、魔法という未知の力に胸が躍る。
「まぁ他の事は必要になったら教えて行くから、まずは魔法の特訓からだね!」
「特訓って言っても何すれば……?」
「ふっふーん♪アオイにピッタリの師匠が……。」
話している途中で扉がバターンッ!と大きな音を立てて開く。
「勿論、この私が教えよう。マスターとしての仕事を全うしようじゃないか!」
「ゲッ!ガーデンさん……。こういうのだけはノリノリでやるんだから……。」
ギルドマスターであるガーデンに教えてもらえるなんて嬉しい反面、苦労しそうな予感を感じるアオイであった。
しかし、この世界に来てから色々な事が起こりすぎたため、その場に倒れ込んでしまう――。
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