第2話
時は流れ───
「姫様!弘徽殿女御様からの使いの女房より『大人の玩具とやらで全てにおいて完璧な宰相の中将を衆人環視の前で快楽堕ちさせるBL本の続きを早く読みたい!!!』とのお文を頂いております!」
「姫様!左大臣家の姫様(葵の上)から『触手スーツとやらを着せられている、全てにおいて完璧な宰相の中将が帝達の前で襲ってくる快楽を堪えて悶えているBL本の続きを早く読みたい!!!』とのお文が届きました!」
「姫様!右大臣家の六の君様から『頭の中将様からの尿道責めで宰相の中将様が快楽に喘いでいるBL本が読みたい!!!』とのお文が届きました!」
「犬君!リクエスト・・・弘徽殿女御様達の要望があったBL本は書き上げているから、後は表紙を付けたら完成よ!」
「はいっ!」
「少納言!犬君が表紙を付けて完成したBL本を女房達に渡して頂戴!」
「分かりました!」
右の青と白を基調としている表紙の本は弘徽殿女御様、真ん中の葵色の表紙の本は葵の上様、左の水縹色の表紙の本は右大臣家の六の君様である事を告げると、少納言がBL本を主の使いで北山の庵まで訪れた女房達に渡す。
そう。
幼い頃から彼女が書いたBL本は暇を持て余している貴婦人達に萌えというものを齎して大いに沸かせているだけではなく、こうやって自分達が望んでいるジャンルをリクエストする程に評判なのだ。
本来であれば祖母の死をきっかけに生活に困るはずだった故按察使の大納言家の姫君であったが、今は純愛系のみならずハードなBL本のおかげで禄(大金)が入って来るし、後に紫の上と呼ばれるはずだった少女は都でも評判の才媛として名を馳せる事になった。
「姫様!六条御息所様から『宰相の中将様が幽霊に輪姦されて快楽を感じてしまうBL本が読みたい!!!』とのお文が届きました!」
「分かったわ」
そんな彼女達は光源氏に頼る事なく、BL本の締め切りに追われているが充実している生活を送っている。
※紫の上と呼ばれるはずだった彼女は印税だけで豪邸を建てる事が出来る漫画家くらいに稼いでいますし、作中では語られていませんが気分転換で男女の恋愛ものだけではなく国や人物名を変えているけど平家物語や三国志っぽいものも書いています。
紫の上と呼ばれる女に転生した私はBL作家になっておひとりさまを満喫する 白雪の雫 @fkdrm909
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