第17話 魔女狩りの殲滅 完
エレノール学園は夏季休暇に入った。俺とエレンは元いた町に里帰りしていた。エレンは俺の家でいるように実家から言われているらしい。俺の家にいてくれるのは嬉しいが、やはり実家からは大事にされていないのかもしれない。それはそうと俺は帰ってきて父親のアーサーに呼び出されていた。
「ルーク、お帰りなさい。エレン嬢をしっかり守るのだぞ」
「ただいま父さん。言われなくても分かってるさ。それより、話があるんだ」
「何だ」
「クオーク王国の爵位が貰えるかもしれないんだ」
「何だと。 どうしてそうなった?」
「実は____」
俺はジゼリウスとのやりとりと王女アムネシアの愚行を父アーサーに語った。その事件によって俺は称えられたことを話す。
「それであの有名なジゼリウス様に爵位を貰えると。受けない選択はないだろうな」
「そんなに有名だったんですか」
「それはそうだろう。王子にして王と同じくらいの権力を持っているんだぞ」
ジゼリウスについては俺にその権力がばれても問題なかったのだろうか。隠しているのは表向きの話なのかもしれない。
「とにかくその話しは受けて来い」
「分かったよ父さん。それで俺は騎士になることになるんだけどね」
「お前くらいの強さだと絶対に負けんだろう」
「そういえばもう一つ話すことがあった。エレンが魔女狩りから狙われてるみたいなんだ。俺がシルヴェニア王国のは殲滅したけど残りがクオーク王国に行ったらしい。何だか俺達を狙ってるみたいなんだ」
「そんな奴らすぐに倒せるだろう。まあ、エレン嬢に何かあってからでは遅いからな。クオーク王国に逃げ出したことは分かったのだろう。ならお前が倒してくるのはできないのか?」
「行ってもいいなら行って来るよ。でも奴等はクオーク王国のどこにいるのか」
「お坊っちゃま。それならすでにクオーク王国で魔女狩りの殲滅の依頼が冒険者ギルドに出ています」
「ありがとうマリア。ならちょっと行ってくる。エレンを頼むよ父さん、マリア」
俺はそう言って外に出ようとする。
「ルーク、どこ行くの?」
「ちょっとまた魔女狩りを殲滅してくる」
「気を付けてね。後、ありがとう。私のために」
「どういたしまして。俺は奴らを今度こそ全滅させてくる」
俺は屋敷から町に出てクオーク王国行きの馬車に乗った。馬車に乗ること30分でクオーク王国に着いた。そうして冒険者ギルドに行き、依頼を確認した。そこには確かに魔女狩りの殲滅の依頼があった。場所を確認して依頼を受ける。
「すいません。この依頼を受けたいんですが」
「推奨ランクはAですが大丈夫ですか」
「はい」
「では、いってらっしゃいませ」
俺は、依頼書に書かれている場所に向かう。そこはやはり豪邸だった。前も豪邸でここも豪邸ということは魔女狩りの主要な人物は貴族なのだろうか。その庭から俺は侵入する。
「侵入者あり。迎え撃つように」
俺は、黒装束の男たちが前のように数十人が出てきたのでそれを土属性の初級魔法ストーンバレットで迎え撃つ。全員一撃で倒した。
「何者だこいつ、グハ」
扉から出てきた奴もついでに迎え撃った。俺は扉から屋敷に入る。一番前には魔女と思われる髪の青い剥製があった。全く趣味が悪い。俺は屋敷にいる人間を片っ端からストーンバレットで撃っていった。そうして、主要な人物らしき人物がいるところにたどり着く。玉座に座ったその人物は葉巻を吸って佇んでいた。
「何事だ。私はここのリーダー、サムエル・キルビッチ。まさか私に勝てるとでも思っているのか」
「俺がルーク・ジルベルトでもか」
「な、何。ルーク・ジルベルトだと、今はシルヴェニア王国にいるはずでは」
「死ね」
俺はサムエルに上級魔法ヘルマシンガンを放つ、明らかにオーバーキルだが、こいつを許すわけにはいかないと思ってのことだった。火属性の上級魔法ヘルインフェルノの威力が宿ったストーンバレットの複数の粒がサムエルを打ち抜く、そして、この屋敷は火事になった。サムエルは一撃で死亡したようだった。それどころか屋敷は崩れ去った。俺は崩れ落ちる屋敷から結界魔法で自分の身を守った。
「よし、そして、水魔法で鎮火するか」
俺は、屋敷から少し離れ、水属性の上級魔法ヘルタイフーンを放つ。水魔法のこの台風の魔法はヘルインフェルノの炎も消すだけの力はあった。そうして、冒険者ギルドに俺は戻り、建物まで壊してきたことを受付嬢に語った。
「信じられません。あの建物は火魔法でも燃えない仕掛けがされてるはずです」
「じゃあ、来てみますか」
「大丈夫です。ギルド長を呼んできます」
俺はギルド長を待つ。そしてギルド長らしき人物が受付嬢と共にやって来た。禿げた面の目が青くきれいなギルド長だった。
「君がルーク・ジルベルト君か。そして未来の騎士になる人物か。私はギルド長アーロン・オーガスタだ。よろしくな」
「そこまで情報が行き渡ってるんですか。というか騎士というのはまだジゼリウス様には話していないんですが」
「細かいことはいい。魔女狩りの殲滅感謝する。報酬は金貨10枚だ。受け取ってくれ」
俺は金貨10枚を手渡される。
「これでAランク相当の依頼を2回達成したということだな。良かったらAランクの試験をやってみないか。Aランクに昇格できるぞ」
「いいんですか」
「ああ、君ほどの実力者がGランクは違う気がするしな」
俺はAランクの昇格試験を受けることにした。
「内容はこの王国の森の最深部にいるサイクロプスを狩ってくることだ」
「分かりました。そういえば地図は書いてもらえませんか?」
「ああ、いいだろう。銀貨一枚分でいい」
俺は銀貨を一枚渡してギルド長に森の地図を描いてもらった。そうして、俺はサイクロプスを狩りに行く。
「行ってきます。サイクロプスを狩って来ます」
「行ってくるがいい。まあ、君なら苦もなく倒せるだろうがな」
俺は、クオーク王国の森に向かった。魔物達を無視しながら30分くらい走り最深部に到達する。そこには一つ目の巨人サイクロプスの集落があった。
「さて、一体倒せばいいって話だったし、姿を見せようか」
俺はサイクロプスの集落の前に姿を現す、その巨体がこちらを見つめ襲い掛かってきた。俺は水属性の上級魔法ヘルタイフーンを放った。サイクロプスは俺の一撃で何体も倒れていた。
「入るかな。マジックバッグに。よし入った」
俺はその中の一体をマジックバッグに入れて冒険者ギルドに戻る。俺は冒険者ギルドに着くと受付令嬢に話して、ギルド長と合わせてもらうように言った。
「こんなに短時間で狩ってくるとは流石だな」
「出しますか?」
「そうだったな。倉庫に行こう」
俺はギルド長に言われて冒険者ギルドの倉庫に行った。そこでサイクロプスを出して見せた。
「合格だ。これでお前もAランク冒険者だよ」
「ありがとうございます。アーロンさん」
「君の実力だよ。それにしても君はSランク冒険者以上の能力がありそうだな」
俺は地獄の蓋がSランクが数人で行く場所だということを思い出す。当時はあの修業はきつかったが今はシルヴィアに感謝している。俺を強くしてくれたからだ。その後俺は馬車に乗りミレルアルカ領の町に帰った。エレンが俺を待っていた。
「お帰りルーク。遅かったね、待ちくたびれちゃったよ。いっぱいイチャイチャしよう」
「ああ、待たせて悪い。魔女狩りの殲滅は完璧にできたんだが、冒険者ギルドでAランクに昇格できるっていうからちょっと昇格試験を受けてきたんだ」
「どうだった?」
「ちゃんと受かったよ。そんなに苦戦しなかったし、サイクロプスっていう一つ目の巨人の魔物を一撃で仕留めてきたよ」
「やっぱりルークはすごいな。まるでおとぎ話の勇者みたい」
「勇者か、勇者ってどんな人なんだ、そのおとぎ話の中で?」
「絵本だとドラゴンと互角にやりあうことができるって書かれてあったな」
「ドラゴンか。強いのかな」
「ルークだったら相手できそうだね。ドラゴンはこの世界で最強の生き物って言われてるけど」
「ドラゴンってそんなに強いのか。魔王と比べたらどうなんだろう」
「魔王はもっと強いって記録には残ってるみたいだけど詳細は分からないらしいね」
「そうなんだ。やっぱり魔王にも注意しないとな」
俺は魔王に警戒しようと思った。エレンのためにもだ。勇者がメタトロンを倒せるようになる実力になるのは神様の声から明確だろう。勇者が神威になるのはちょっと想像がつかないところだが、俺は魔王を倒せるくらいにはなっておこうと改めて思うのだった。
「ルーク、ルークの部屋を見てみたいな」
「いいよ。俺の部屋何て大したものないけど」
「あ、兄上、帰ってたんだ」
エレンと話をしていたらアンディーが来た。
「お前はちゃんと家庭教師の授業を受けてるか」
「うん。順調だよ。兄上ほどじゃないけどね」
「訓練場でどれくらいになったか見せてくれないか」
「いいよ」
「ルーク、じゃあ、また後で」
「ああ、エレン。俺の部屋を後で紹介するよ」
俺はアンディーと訓練場に行った。
「兄上、あれから妹が2人生まれたんだよ。可愛いし母上から見せてもらいなよ」
「分かった。可愛い妹が2人も生まれたんだな。後で会って来ようと思うからお前はあの的に魔法を当ててみてくれ」
「分かった。じゃあ打つよ」
アンディーは土属性の初級魔法ストーンバレットを放った。銃撃のような速さでこれなら自分の身を守るのは大丈夫だろう。
「良くここまでできるようになった」
「えへへ。兄上はもっとすごい魔法使えるんでしょ。学園では何を学んできたの」
「ちょっとダンジョンに行ってたよ。最初はすごく苦しかったけど、もっと強くなれたよ」
「兄上の最大の魔法、見てみたいな」
「だめだ。訓練場が壊れる」
「やっぱりそうだよね。でも兄上、いつか兄上とも一緒に戦いたいな。それくらいになりたいよ」
「俺の戦う敵は強いのばっかりだぞ。一緒に森に行って戦うのはいいけどさ」
「本当?すごくたのしみだなあ」
こうして、俺は弟のアンディーと一緒に魔物を狩る約束をした。アンディーはちゃんとやっているようで安心した俺だった。
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