第11話 天使とゴーレム
時は1日進む。俺はシルヴィアと共にまだ名前のない攻略難易度が高いダンジョンに向かっていた。
「ここだよルーク君」
「これが先生でも攻略できないダンジョン」
目の前には白く光輝く扉があった。前のダンジョンとは大違いだが、ここから前のダンジョンよりも強い敵が出てくるらしいので絶対に油断できない。そして俺達は扉を開ける。すると扉の縁から血のような赤い液体が出てきた。
「何だこりゃ」
「このダンジョンはこういう作りなんだろう」
そのまま先に進むと背中に翼の生えた血だらけの天使のような魔物が集団で襲って来た。だが、統率が取れている。後ろには弓を構える天使のような魔物、前には剣で戦う天使のような魔物でその強さも半端ではなかった。俺は天使のような魔物に速いストーンバレットを放つが一撃では葬れなかった。そしてすべての天使のような魔物の傷が瞬時に再生していく。
「これはやばい。上級魔法しかないな」
「出し惜しみはここではしないほうがいいその方が安全のためにもいい」
俺は火属性の上級魔法ヘルインフェルノを使う。天使のような魔物は燃やされながらもこちらに向かってきて休む暇もなかった。だが、流石に上級魔法は効いたようだ。天使のような魔物はうなり声をあげて燃やされ再生も間に合わずに燃え尽きたようだった。わずかに残りが残っていたが、これは土属性の中級魔法ストーンランスを光速で放って急所を狙い倒した。心臓を貫くとこの魔物は再生できずに死ぬということが分かった。だが、これで終わりではなかった。石が人型になって動く魔物ゴーレムの集団が今度は襲って来た。その石は虹色に輝いており特殊な石なのだろうということは分かった。
「ルーク君。あいつらに魔法は効かない。ここは私が何とかする」
「え、シルヴィア先生は大丈夫なんですか」
「身体強化みたいな魔法なら使えるからな。お前はそれで身を守ることに専念しろルーク」
俺は言われた通りゴーレムの攻撃を身体強化で躱そうと思ったが結構ぎりぎりだった。あのゴーレム、天使のような魔物よりも身体能力が高いようだ。それにたまに自分の体の一部の石を投擲してくるので本当に躱すのに精いっぱいになってしまった。
「ほら、切り裂かれろアイアンブレード」
今のはシルヴィア先生の剣の技だろうか。いや、剣が光っているので魔法とも思われる。ゴーレムには魔法は効かないが武器を強化した魔法は通用するらしい。ゴーレムには核があり、それを壊せば壊れるのだが、そこに向かってシルヴィアは剣を振りかざしていた。これで一匹やっと倒せたようだった。俺もこういう状況になるとは思っていなかった。魔法だけやっていれば強くなれるというのは間違いだと知る。だが、俺は先生の武器強化の応用を真似てみることにした。俺は持っていた短剣に火属性の付与を掛けてみた。そしてゴーレムを切り裂こうとするが短剣の火属性が虹色の鉱石に吸収されて付与が無くなった。
「一体どういう仕組みなんだ。シルヴィア先生のは魔法じゃないのか」
俺は少し考えながらゴーレムの攻撃をかわす。魔力を吸収する石なら逆に吸い込んでみることを思い付いた。
「いくぞこのやろう」
そうして俺はゴーレムの石の魔力を吸収してみた。思いっきり吸い込んでみるとゴーレムの石がひび割れしてきた。
「これだ」
俺は周囲の魔力を吸収しつくさんばかりに吸収した。するとゴーレムの石が砕けていった。
「見事だなルーク。このゴーレムにそんな攻略法があるとは」
シルヴィアの方を見ると傷付きながらもちゃんと倒せていた。そうして先に進もうとしたが今度はまたあの天使のような魔物が新たに湧いてきた。
「今日のところはこれで終わりにしよう。ルーク君」
「そうですか。やっぱり保護する人が居なくなったら大変だからですか」
「そうだ。このダンジョンは私でも一階にしか到達してないからな」
「そうだったんですか。ここのダンジョンはそれほど危険というわけですね」
俺達は迫りくる天使のような魔物の軍団から防御しながら退路を行く。この魔物さっきよりも強くなっている気がするが、どういうことなのだろうか。火属性の上級魔法ヘルインフェルノを放つ。すると先ほどよりも焼けきれず残る数がほとんどになっていた。
「ここは私も戦う」
シルヴィア先生も俺と同じ魔法を放った。2回目でやっと倒しきることができた。
「さあ、帰るぞルーク君」
「はい。今日は後は何かするんですか」
「前のダンジョンに行くぞ」
「そうなるか」
俺はこの後前のダンジョンに突入するが前よりもタイムが縮んだ。10分くらい縮み今回は倒れなかった。
「成長したなルーク君。地獄の蓋をここまで速くしかも意識を保って突破できるとは」
「先生のおかげなんですけどね。まあ、ありがとうございます」
「まあはいらないだろう。少し怠け心が出ているみたいだぞ」
「そこまで言います?俺も頑張ってるんですけど」
「それもそうだな。私の修業についてこれるのもお前くらいだしな」
こうして、俺は学園に戻る。エレンがするとすぐにエレンが待っていた。
「ルーク。今日は怪我ないんだね。良かった」
「心配してくれてありがとうエレン。俺は無事だよ。今日は意識を失わずにダンジョンのボスを倒すことができたよ」
「ダンジョンのボスを一人で倒せるのは凄いよ。いっつも気絶して戻ってくるから何なんだろうって思ってたけどそういうことだったんだね。でもやっぱり疲れてると思うから保健室に一緒に行こう」
「ありがとうエレン。でも座学の成績のためにも今日は教室に行くつもりだよ」
こうして頑張ってられるのはエレンのおかげだと思う。俺はエレンを守るためにダンジョンに潜っているのだが、シルヴィアの厳しい特訓の成果は確実にあがってきていると思う。
「ルーク。今日は新しいダンジョンに行くって話だったけど前のところに行ったの?」
「ああ、新しいダンジョンには行ったは行ったんだけど敵が強すぎてシルヴィア先生がついてられないってことになって前のダンジョンでの攻略時間を短くすることになったんだ」
「そうなんだ。ルークはやっぱり強いね」
エレンが感心している。そうして、教室まで戻った時アルティやクリス、カイルがこちらに来ようとしていた。
「ルーク。今日は無事だったのか」
「ああカイル、何とかね。今日は気絶せずにすんだよ」
「お前ってダンジョンにシルヴィア先生と潜ってるって聞くけどどんなのなんだよ」
「1階はガーゴイルの集団が襲ってきて、2階はは植物系の魔物がたくさんいて毒のある植物とかもたくさんあった。3階は湿地帯で竜みたいな魔物がたくさんいて、4回はマグマがある場所でマンティコアとかオルトロスが群れで襲って来たよ。5階がボスの部屋でバフォメットがボスだったよ」
「そんなところに毎日潜ってるのか。ダンジョンってそんなところなのか。不思議な場所だな」
「それはそう思う。あれは謎だからな。で、そのダンジョンで魔力をたくさん使うんだよ。それ前まで気絶してたけど、魔力が増えた実感があるんだ」
「魔力切れで倒れてたのか危ねえな。シルヴィア先生も大変だったんじゃないか」
「シルヴィア先生は見てるだけだったよ」
「マジかじゃあほぼ一人でダンジョン突破したってかし続けてるってことかよ」
「そうなる。シルヴィア先生は危なくなったら助ける係に周ってくれるみたいだけどあそこでは一度も手出しはされたことがないな。でも今日は新しいダンジョンにも言ってその時はシルヴィア先生も戦ってたよ」
「お前どんなところ行ってるんだよ」
「気絶した時以上に大変なところに行ってたのあんた」
「大変すぎるでしょルーク」
俺とカイルが会話している時にアルティとクリスが入り込んできた。カイルと話していてやはりダンジョンを一人で攻略するのは普通ではないことが分かった。自分でも分かっていたが。最後のダンジョンに関しては全員からびっくりされている。
「ルーク。無事でよかったよ」
「エレン。大丈夫だって。危険だと思ったら戻ってくるようにはしてるからさ」
エレンが俺を抱きしめながら言った。俺もエレンを抱きしめ返す。
「エレンがいてくれるから俺はこんなに頑張れる。だから心配じゃなくて出来れば褒めてほしいな」
「そうだね。頑張ったねルーク」
「ありがとう。力が湧いてくる気がするよ」
「教室に行こう。授業が始まるよ」
「そうだなエレン。座学で少しでも成績をよくしないとな」
「でも、ルークとか私たちはダンジョンの時間は授業に出なくても成績取れるようにしてくれるらしいよ」
「そうなのか。でも後が怖い気もするから出ておいた方がいいと思うな」
「それもそうだねルーク」
俺とエレンとアルティは1組の教室に向かい、カイルとクリスは4組の教室に向かった。座学はいつものように勉強だった。前世の頃の勉強と比べると簡単なものもあれば歴史など初めて見るものもあったがテストは暗記で何とかなりそうだった。そうして、今日も昼休みにエレンと噴水のある場所に行く。
「ここって何か休まる感じだよね。それに人が見てないのもいいし」
「これが監視されてなければいいけど分からないし気にしないほうがいいかもしれないな」
「監視はされてないんじゃない。ルークだって敵意を感じないでしょ」
「そうだな。ここは元の世界じゃないし監視カメラなんてものはないと思うからな」
「監視カメラってルークの前世のものなの」
「ああ、監視するための道具で映像を取れるんだよ」
「そんなものは聞いたことないから大丈夫だと思うよ」
「そうだな。そんなこと気にしてても仕方ない。エレン愛してる」
「ルーク。大好き」
俺達はこうして抱き合いキスをした。いつものようにディープキスだ。舌を絡め合いキスを何分もした。昼休みの時間は短い。だが、充実した時間を過ごせているように思う。俺達はキスし終わった後、互いに見つめ合いながら愛を誓いあうのだった。この平和な時間が俺が1日で一番望んでいることだった。エレンもきっとそうなのだろう。エレンの肌は紅潮している。俺もそうだったと思う。俺達はその後授業に出てまた放課後に噴水に来るのだった。
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