32話 何作ろうか

「見たところ君は弓使いだよな?矢を買うなら鈍化の矢がおすすめだよ。俺のメンバーが言ってたんだが、初期の鈍化は敵によって効果量が変わるから最初の頃は役立つらしい」


 あー、そういえばそんな仕様があったな。最初の頃のアイテムだけこの仕様で売られてるせいで、最初の頃は状態異常ゲーじゃんと勘違いしやすいんだよな。敵の強さによって効果量が変わるタイプの仕様は後の方だと基本弱いからなぁ。

 というかそもそもスキルだけでいいやと思って属性矢とか状態異常の矢とか買ってなかった。

 一応パーティー資金でやってるし節約は大事と思ってたけど、確かに初期の頃なら鈍化は凄い強かった気がする。後は麻痺とかブラインドとか睡眠とかだったけな。いや、睡眠は違った気がする。


 それに実は先日のオーガロードとの戦闘で[弓使い]がカンストしたので現在は[弓道士]にクラスアップした。[弓道士]は[弓使い]の順当進化で、他には[大弓使い]とか[森の見習い賢者]とか色々あったがまぁ使いやすさも考えて普通の進化にした。

 この進化のおかげで使える矢の数も増えたし、効果量の補正値も上がったし状態異常の矢を使うのを考えてもいいかもしれない。


 てっ、違う。俺は今日そっちの用事で来たんじゃないんだった。そうだ、どうせならちょっとロンドさんに色々と聞いてみるか。


「参考までに聞きたいんですけど、ロンドさんみたいな上級者がアイテムで困る事とか場合ってあるんですか?」


「ん?俺か?そうだなぁ…いい鍛冶師がいなくて武器防具の強化があんまり進んでないってのがそうなんだが、その話は今回だとちょっと違うよな」


「鍛冶師って見つからないもんなんですねー。生産職が少ないんですかね?」


 そういうもんなんだろうか。生産職としてやってると同じ生産職を求めることなんて少ないからな。情報交換で交流とかはあるけど自分が作ってもらうことは少ないからな。

 でもうちのギルドだと生産職の新人も多いけどな。上級者が比較的少ないのか?


「いや、生産職が少ない訳じゃないんだよ。初心者とか中級者が多いとかでもなく、凄い人が囲われてるってのがきつくてな…」


 そういえばこの人の装備品って見た感じだとある程度は同じ人が作ってるんだけど、ギルドのマークとかもないし、装飾品とかは全く別のものとかだし武器も全く違うとこのだし、ギルドに入ってないのかな?それとも生産職が居ないギルドなのか?


「あっそうだ、見ての通り俺の装備って結構重そうだろ?俺自身のステータスで重さとかは見た目よりも感じないんだが、ノックバック防止も兼ねて装備の重量軽減をしてないんだよな。そうすると水中戦とかは厳しいな。通気性がないから暑いし、あとは落下したりした時にダメージを喰らいやすいな」


「水中戦とかどうしてるんですか?」


「呼吸できるアイテムとか使ったりしてるんだが上部で泳いで戦われると役立たずになりやすいな。

 あ、そうだ、少し高いが落下ダメージ軽減のアイテムは買っとくんだぞ。俺は意味ないからそういう状況になったら詰みなんだがな!」


 うん。耳が痛い話だな。あの時はアヤの魔法が無ければ俺死んでたし。


 ふむ、それにしてもいいことを聞いたかもしれない。泳ぎに関するアイテム…浮力か?いや水流を…いやそれじゃ値段が高いか?


 とりあえず新アイテムは落下軽減アイテムと水中関連アイテムにしようかな。


「ロンドさん!ありがとう!凄く助かりました!」


「え、お、おう。それは良かった。いや俺そんな助かるような話したか?」


「それと良かったらこれ、受け取ってください。是非!」


「ん?ああ、ありがとう。これからも頑張ってくれ。また会ったら今度は一緒に狩りでも行こう!あとこれフレンドコードだ」


「………よし。これでフレンドになれましたね。じゃあ俺は少し急ぐのでこれで失礼します。それでは!」


「ああ。また会おう!…………ん?この貰ったアイテムって…嘘だろ!?ちょっと君待って、ってもういねぇ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る