16話 王国



 2人と別れた後1度マイホームに戻り俺はとある場所へと向かっていた。場所は中心街の更に中心に位置するとある酒場だ。


 中心街って言っても分からないと思うので1度俺が今いる国の説明をしておく。

 そもそもエグスタは初期リスポーン地点がいくつか存在している。その全てが違う国に属していて俺がリスポーンした場所は王国と呼ばれている場所だ。

 他には帝国だったり、ヒューマン以外の他種族が存在している妖精王国や妖精界と呼ばれる国、砂漠に火山があるとにかく暑い火国、他には変態王国新天地や常に戦争が耐えない戦国などと10個近く存在している。そしてその全てがひとつの大陸に存在している。


 その中でも俺がリスポーンした王国は貴族制で比較的平和な国である。世襲制なので貴族間ではそこそこ争いがあったりはするが。

 王国は大陸でも中央付近に位置している。その領土の中心にあるのが、ここ王都である。


 王都は大まかに正方形の形をしていて、その面積は日本の1地方よりも広い。1番外には大きな壁が存在していて、その内側にもうひとつ壁が存在する。

 1番外の壁から内側に行くに連れてとても緩やかな坂になっていて少しずつ土地が高くなっており、全ての中心に王城が建っている。

 その王城を囲むように貴族街、中心街、平民街、そして壁の周りにある旅人向けの施設や衛兵所という区切りになっている。


 貴族街は貴族以外の居住が禁止されていて、理由のない立ち入りも禁止されている。

 そのまわりに位置する中心街は、貴族街の壁に1番近い位置に高級住宅街が存在していて、その周りに様々な施設が存在している。

 平民街は主に平民の住居が建てられており、北から時計回り順に区間が分けられている。平民街に住居以外の他の建物は、公園や小さな病院やコンビニ程度の建物しか存在しておらず、学校も遊びの施設も大病院も全て中心街にあるので、利用したいなら国が運営する無料の公共機関で移動して中心街に行く必要がある。


 その中心街は東西南北で主要な施設が違い、北西から北は歓楽街とも呼ばれていて、イベント向けの施設が大量に存在している。

 北東から東、南西から西は生活街とも呼ばれていて、市民の生活のための施設が多く存在している。

 南から南東は、労働街や仕事町と呼ばれていて、仕事のためのオフィス街や研究施設となっている。

 もちろん方角と違う施設もありはするが基本的にはさっきので施設の位置は固まっている。


 酒場などの飲食店はどの方角にもあるが、歓楽街と生活街に多く存在している。

 ただ歓楽街の飲食店は数が多いだけでなく一般的なものはもちろん、高い店や大きい店もあり今回俺が行くのも歓楽街の酒場だ。

 現時刻は18時半と時間帯的には少し早いがそれでも歓楽街には人が多く行き交っている。本格的に人が増え始めると祭りかと思うくらい賑わい始めるのでまだまだ少ないが。



 目的地は酒場エルーナ。エルーナは外観のセンスも良く普通の店より酒の種類が多く、下から上まで数多く取り揃えている。そして料理が美味くて量が多い。昔は量だけ多くて味はそこそこだったんだが、店長の娘がバイトし始めてからぐんと美味しくなった。味がアレでそこそこ座れてた昔の面影はなく、今じゃ歓楽街でも人気の名店になってしまった。


 人がまだ少ない今の時間帯でも満席で賑わっている店内だが、俺は入店してそのまま店長のいるカウンターに直行する。


「店長。久しぶりです。奥さんと元気にやってますか?」


「アル君か。いやー最近エルナとはラブラブなんだがルーナがねぇ…」


「この前は洗濯一緒にしないでって言われたんでしたっけ」


「今回は臭いって言われて…加齢臭とかしてないと思うんだけどなぁ…エルナはいい匂いって言ってくれてるし」


「まぁ頑張ってください。それと今回も店長の昨日のおすすめとエールを添えて下さい」


「今日は14だよ。それと後でルーナに会っておいてくれ」


「店落ち着いたら呼んでくださいよ」


 この会話で分かると思うが、この店エルーナの由来は店長の奥さんエルナさんと娘のルーナとお酒のエールが組み合わさってる。

 店長が自慢しながら何回も説明してきた時は鬱陶しかったけど。

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