6話 一撃

 ジョブ石を使って[弓使い]にコンバートした訳だが、どんな感じかとりあえず使ってみるか。


 弓は確かSTRが装備条件になっていて、強い弓を使おうとして買ったのに、弦が引けないということがしばしばある。


 弓にはオートエイムと言うエイムアシストと、普通に自力で狙う2つの種類がある。

 オートエイムの場合敵に矢が勝手に飛んでいくのではなく、DEXにの高さによって自分の狙った場所に飛んでいきやすくなる。ただ狙った場所を中心とした円形にランダムな形で矢がズレるのでDEXが高くないと外しまくったりする。


 オートエイムを切っていた場合完全に自力で狙うことになるが、飛距離もある程度自分で設定できるし、オートエイムよりも横軸でのブレが少なく安定性が高い。精密性ならこっちを取る人が多い。

 ただ俺は完全に素人なのでエイムアシストが付いてないと絶対に無理なので、大人しくオートエイムをONにしておく。


「とりあえずあそこの鳥を狙ってみるか」


「あれはロックバードだねー。この森にしては強い方だよ」


 目を凝らしても見えない位置にいるロックバードはこの森でもレアよりの強エネミーだ。この森の真のレアエネミーはブランドラビットだったっけな?


 手持ちの初心者用の弓は無いので俺が作った弓でいいか。あんまり強すぎてもいけないし、一応エイムの精度も見たいしエイムサポートがついてるやつもやめとくか。


「よしとりあえずこれでいくか」


「ん?え?ちょっと?何その弓?」


 リアが何か言ってるがとりあえず集中してロックバードに標準を向ける。〈遠視〉を使ってしっかりと弦を引き狙いをつける。

 弓を打つ時に必要なのは弦の引き具合や角度だと勝手に思ってるが、初心者の俺が調整してもほぼ当たらないのは確定だ。

 オートエイムを使う場合、具体的な距離感の認識とある程度の標準があってればステータスのDEXやあとは確かLUCでも何とかなる。


 俺が狙いを定めて放った矢は、俺が弦を離してから1秒も経たずに、ものすごく遠くの距離にいたロックバードの頭を正確に捉え、そのまま綺麗に貫通し遥か彼方へと消えていった。


「あれ?結構簡単だな。見つかってないから会心判定だったか?」


「いやいやどんな弓使ってるの?今の完全に貫通してたよ。あと今のエイムサポートとか無い弓だよね?」


「どんな弓って…インベントリにあったそこそこの弱い弓だけど?」



 破魔の弓 レア度7

 装備条件 なし

 属性 なし

 効果 速射Ⅷ 剛射 貫通 神威 属性値上昇Ⅴ

 作成 アル


 これは確か初心者上がりの人でも装備しやすいように条件を無くすようにした弓だったはず。

 多分。あんまり覚えてないけど。

 速射はⅧだし、属性Ⅴだけど今回は関係ないしな。他のは数値低いし。


「ね?結構前に作ったしそこそこ弱いくらいの弓」


「なにがだよぉ。初心者の森とかに普通レア度7とか持ってこないよ?普通1だからね?2あれば無双できるからね?あと神威とかつけないからね?」


「え?あー、そう?神威Ⅰだしつけないっけ。いやこれ以上弱いとなると結構インベントリ探さないと。整理したのも結構前だし」


「てか今の普通のオートエイムでしょ?外すと思ってたのに…今のDEXってどれくらいなの?」


「ん?えーっと一、十、百、千、万、十万、百…」


「ストップー。分かったから。うん。弓でいいと思うよ、うん」


 教えてって言ったのリアなのに…まぁこっからパッシブスキルとかアクティブもあるし称号もあるから計算めんどいからいいんだけどね?


「じゃあ[弓使い]でいっか。もう面倒臭いし」


「うん。いいんじゃないかな?」


 ってことで俺は今後弓メインで戦うことにしよう。近距離じゃないけど弓ってモ〇ハンとかでも使える武器だし、これはこれでありかもしれない。いざとなったら矢切とかもあるしね。


「戦闘行くなら私と一緒に行くよね?ユグドラシルでも攻略しに行く?」


「え?お前と行くってことはエデンの奴らも来るんだろう?」


 エデンってのは俺たちが所属してるメインギルドのことで、こいつはそこの団長をやってる。

 2人で立ち上げたギルドってこいつは言うけど、誘われたからいるだけで俺は完全に放ったらかし状態になってる。役職は団員だけど生産のなんかだった気がする。


 一応寄付とかはしてるからギルド専用の設備とかは使っても問題無いとは思うが…

 団長がこいつで大変だとは思うけどギルドのために副団長君には頑張ってもらいたい。誰かは知らないけどギルドの設備って生産職としては結構大事な要素だからな。


「いや来ないよ?来させないよ?せっかく2人なんだし」


 そういや最近こいつと攻略とか行ってないな。リアも前みたいに久しぶりに2人で攻略とかしたいのか。


「どちらにしろお前いたら完全にキャリーじゃん。せっかくの戦闘なのに敵とか瞬殺でしょ。やだよそんな初陣」


「え?じゃあ2人きりで行かないの?せっかくの機会なのに?」


「俺がもう少し強くなったらお前と組んでもいいかもな。てかいきなりユグドラシルはきついから」

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