第148話 籠城戦作戦会議
ゴロゴロゴロゴロ。心地よく喉が鳴ってしまうが…音があまり大きくなると迷惑なので少し抑えながらグリエルの話を聞く。
グリエルはアリーに抱きしめられて撫でられて喉を鳴らしている俺を妙な顔で見たが、何も言わず話を続けた。
グリエル「さて、話を戻すが、とにかく、街を魔物が取り囲んでいる限り、街から出る事ができないわけだが」
冒険者1「城壁が持ちこたえているなら、待てばそのうちどっか行くんじゃないか?」
グリエル「普通の魔獣ならそうだろう。だが、今街を取り巻いているのはアンデッドだ。特に、元人間だったアンデッドは人の街が懐かしいのか、街に入りたがるからな。実際、今街の外にいる化け物共は人型ばかりで、離れてくれる気配はないそうだ。まぁ高ランクのアンデッドが来たおかげで、低ランクの(アンデッドでない)魔物は街の周辺からいなくなってくれたようだがな」
冒険者2「アンデッドか…」
スタッド「ダンジョン最下層の墓地系フィールドから這い出て来たんだろう。階層を徘徊しているアンデッドだけならいいんだが……」
グリエル「そうだ。溢れ出てきているのが階層にいる普通の魔物だけならいい。だが、万が一、ボスも出てきているとなると厄介だ…」
冒険者3「ボスモンスターまで出てくる可能性があるのか?!」
グリエル「分からんが…、可能性はある」
スタッド「最下層のアンデッドという事は、つまりダンジョンボスって事だよな。スケルトンキングか?」
グリエル「いや、スケルトンキングはボスじゃない、徘徊モンスターだよ」
スタッド「おい、スケルトンキングだってSランクモンスターだろ? それがボスじゃないって…」
ダイモン「ボスはそれよりやばいって事か……」
スタッド「ダンジョンボスはどんな奴なんだ?」
グリエル「管理ダンジョンになってから最下層まで攻略した者が居ないから知られていないが、俺がギルマスに聞いたところでは、ダンジョンボスはヘカトンスケルトンキング。SSランクのモンスターだな」
冒険者4「SS……なんでそんな怪物を設定したんだよ? 設定したのはギルマスだろ?!」
冒険者5「領主の指示じゃねぇのか?」
グリエル「…直接ギルマスに聞いたわけじゃないんだが、ヘカトンスケルトンの素材を欲しがっているという噂を聞いた事があるな。領主の指示なのかギルマスの独断なのか分からんがな…」
スタッド「まだ、キングもヘカトンも(街の周囲には)まだ確認されてないんだよな?」
グリエル「ああ、今はまだスケルトンナイトまでしか確認されていない」
スタッド「じゃぁ今のうちに少しでも化け物共を減らしておいたほうがいいんじゃないか…?」
冒険者1「と言ってもなぁ……今居る冒険者じゃスケルトンを倒すのはひと苦労だぞ。それが大量に居るんだろう?」
「ああ、まぁそうなんだが……
…とりあえず、外の様子を見に行ってみるか」
冒険者3「外に出るのか?!」
「ああいや。城壁の上から覗いみて、ちょっと攻撃などしてみて、良い手がないか考えてみてもいいかなと……」
スタッド「そうだな、状況が分からんとなんとも言えんからな」
+ + + +
◆城壁の上
グリエルは冒険者達を連れて城壁の上まで登った。動ける冒険者がほぼ全て来ている。
グリエル「状況はどうだオクロン?」
オクロン「変わらんよ。城門に攻撃を繰り返し続けてる。骸骨兵どもは疲れるって事もないらしい、夜通し攻撃続けやがって。落ち着いて休めやしない」
グリエル「昼間は少しは弱まるか?」
オクロン「ああ、日が昇ったら少し動きが鈍くなったようにも思えるな。やはり夜のほうが活発に動けるのか…」
この街は城壁の周りに掘があり水が張ってある。堀までは設置されていない城郭都市も多いが、この街はダンジョンが近いという事もあり、通常の街より少し厳重な構造になっているのである。となると、当然門がある場所には橋が掛かっている。ただ、堀を渡る橋は固定式で跳ね橋にはなっていない。侵略者が街に入ろうと考えれば、当然橋を渡って門を攻撃してくる事が多くなる。逆に言えば、守る側としては場所が絞れるので迎撃しやすいというメリットもあるのだが。
もちろん、攻撃を受けとめる城門は強固に作られているし、城門の上部からは兵士や冒険者が迎撃しやすい構造になっている。
冒険者達が城門の上から覗いてみると、
オクロン「猫人の彼……カイトと言ったか? 彼が張り直してくれた結界が頑丈なので助かる。あれだけ攻撃を受けても扉が
グリエル「攻撃は…?」
オクロンは首をゆっくり横に振った。
オクロン「ダメだ。魔法兵たちに攻撃させてみたが、大して効果がなかった…」
グリエル「やってみていいか?」
オクロン「もちろん! 頼むよ」
グリエルが手で合図すると、城壁の上に遠隔攻撃の手段を持つ冒険者達が並び、一斉に魔法や弓で攻撃を開始した。
だが、城門に取り付いているスケルトンは最下級でもDランク、上位種になればAランクにも達する危険度の高い魔物である。初級程度の攻撃魔法では傷もつかない。
ただ、冒険者の中に3人ほど中級以上の攻撃魔法を放てる者が居た。“鉄壁”のアリーとダイモン、別のパーティに所属するコッティである。三人の攻撃で三体のスケルトンの体を破壊する事に成功した。
だが、ダメージは与えたものの倒し切るまでには至らず。しかも傷ついたスケルトンはすぐに後ろのスケルトンと交代してしまう。(本人は残りたがっているようにも見えたが、後ろのスケルトンに強制的に引き剥がされていた。意外とスケルトン達にも人間味があるようにも見える。)
グリエル「やはり聖魔法でないと効果は薄いか」
オクロン「教会の神官にやってもらったんだが、二~三体昇天させただけで魔力切れになっちまったよ…」
カイト「俺も試してみていいかにゃ?」
オクロン「!」
グリエル「カイト…やってみてくれるか?」
カイト「にゃ」
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