第106話 ギルマスと面会
ハゲ大男「お前がカイトか……?」
「そうにゃ? そういうお前はギルドマスターか?」
ハゲ「ああ、スティングだ。入れ! 話をきかせてもらおう!」
+ + + +
◇ギルドマスター執務室
スティング「改めて…俺はスティング。帝都冒険者城東支部のマスターをやっている」
「カイトにゃ」
スティング「先祖返りの獣人族か…話には聞いていたが、まんま猫だな」
「ちがうにゃ。ケットシーっていう種族らしいにゃ」
スティング「ケット・シー? それは、子供向けのお伽噺にでてくる幻の【妖精族】の一種だな? 作り話かと思っていたが実在したのか?」
「さぁ? 俺もメイヴィスにそう言われただけにゃ。多いのか少ないのかは知らんにゃ」
スティング「それだ、メイヴィス…賢者アダラール。お前の紹介状の紹介者は賢者メイヴィス・アダラールとなっているが、本当か?」
「そうにゃ。まぁ俺が知ってるメイヴィスが、お前が知ってる賢者メイヴィスかどうかは分からんけどにゃ。同姓同名の別人かも?」
スティング「…手紙の魔力紋を確認したので、賢者アダラールで間違いない事は確認できているのだが」
「だったら訊くまでもないにゃ…」
スティング「一応本人からも確認だよ、念の為、な。それから…
「森の奥ではよく見かけるトカゲなら納品したにゃ」
スティング「地竜が出るとなると、魔の森の相当奥深くのはずだが…そこまで狩りに行ったのか?」
「…俺はそれよりももっと奥に住んでたから、行ったと言うより出てきたという感じだけどにゃ」
スティング「魔の森の深奥に住んでいただと? なるほど、それが本当なら、化け物じみた強さも不思議ではないな。……つまり森の奥にケットシーの国があるという事か?」
「うんにゃ。俺ひとりだけで住んでたにゃ。他には見た事ないにゃ」
スティング「そうか…森の深奥に妖精族の国があるわけではないのか…」
「なんか残念そうだにゃ」
スティング「まぁいい。それで、賢者様の紹介状には、お前は【賢者猫】とも書いてあった。賢者を越える魔法の使い手と書いてあったが本当か?」
「本当か? と言われても知らんにゃ。まぁ、魔法は得意だけどにゃ」
スティング「得意…か。あのな…【賢者】という称号は、“全属性の魔法が使える者”に与えられる称号なのだよ。お前は全属性の魔法が使えるのか?」
「ああ、それはそうにゃ。魔法は多分、全部? 使えると思うにゃよ?」
スティング「本当ならとんでもない事だ。後で試させてもらってもいいか?」
「断るにゃ」
スティング「なぜだ?! やはり嘘なのか?」
「嘘ではないにゃ。ただ、冒険者は手の内を簡単に見せてはいかんとメイヴィスに助言されたにゃ」
スティング(……ちっ、余計な事を……)
スティング「では、一部だけ、初歩的なものでいい、魔法を何種類か見せてくれ。それならいいだろう?」
「まぁそれくらいなら……報酬次第かにゃ」
スティング「金を取る気か?」
「別に金じゃなくてもいいにゃ。でも人に頼み事をする時には何かしら見返りを用意するもんにゃろ?」
スティング「お前、金に意地汚いタイプか?」
「別に。俺も普段はそんな意地悪は言わんにゃ。でも疑われたり詮索されたりするのは好きじゃないにゃ。
スティング「それは…済まなかったな。だが、こちらの気持ちも分かってくれ。正直、信じられん方が普通なんだよ、お前の情報は人間にはどれも突拍子がなさ過ぎだ」
「俺は人間と関わらないでずっと森の奥に居たから、この世界の人間の常識・感覚は良く分からんにゃ…。というかそもそも、俺は人間とは関わり合いになりたくなかったにゃ」
スティング「人間が嫌いか?」
「好きではないにゃ。人間はすぐ権力を笠に着て人を虐げたりするからにゃ」
スティング「まぁ否定はできんが。だがそれなら何故街に出てきた?」
「……なんでだったっけにゃ? 買い物のためかにゃ? 帝都にはメイヴィスに連れてこられたにゃ。それについてはちょっと騙された感があるけどにゃ…」
スティング「賢者様にスカウトされてきた、という理解でいいのか……?」
「そんな感じと言えなくもないにゃ。メイヴィスは俺に帝都に居てほしいと言ってたにゃ。まぁしばらくの間は居るつもりにゃ。ずっと居る保証はないけどにゃ」
スティング「話の辻褄は合っているか…。とりあえず、魔法を見せてもらえるか? もちろん無料でな。冒険者としてお前の実力を測るための確認なんだからな」
「…じゃぁ特別サービスにゃ」
スティング「お?」
ギルマスのオッサンは、俺が空中に浮かべた火球を見て変な声を上げ始めた。
スティング「おまっ、ここでやるなここで!」
「大丈夫にゃ。発射はしないにゃよ」
さらに俺は
スティング「おお? おおおおお?!?!?!
……火・水・土か!」
「風属性のは見えにくいだろうから省略にゃ」
スティング「四属性同時発動……怪物か?」
「まだあるにゃよ?」
さらに
スティング「分かった! もう分かったから消してくれ! というか消せるんだよな? 発射するなよ?!」
「しないにゃ」
浮かんでいた魔法から魔力を抜くと、魔法は霧散してしまう。
スティング「……ふう。…本当に、全属性使えるのだな。ダークボールというのは初めて見たぞ……」
「闇属性は珍しいらしいにゃ」
スティング「ああ。あまり良い印象がないので、使い手が居ても隠している事も多いのだ」
「闇属性はなかなか便利だけどにゃ」
スティング「光属性……聖属性も使えるのか? という事は治癒魔法も?」
「もちろん使えるにゃ」
スティング「そう言えば模擬戦でラルゴ達を傷つけては治すという事を繰り返したとかモルメルが言ってたな? まさか本当だったのか…」
「納得してくれたにゃら、Aランク以上の冒険者証が欲しいにゃ。できたらSランクがいいにゃ」
スティング「それは…認められる話じゃないな」
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