2.学校の中へ

 校舎と校舎に挟まれた中庭には、外用の掃除用具や園芸用の肥料などをしまっておく倉庫があった。

 その倉庫はあとから増設されたもので、造りが甘く、至る所がガタガタだった。出入口の扉は鉄製で、二枚扉の横スライド式。中央を南京錠で施錠するタイプだ。鍵が掛かった状態でも扉を片側に寄せれば扉と戸枠の間に1センチ以上もの隙間が空いてしまうようなそんないい加減な代物だった。

 しかしいくらガタガタでいい加減な造りでも最低限の考慮はされている。鍵が掛かっていれば開けることはできないし、入ることもできない。

 問題であり目標となるのは、出入口のすぐ横の足元付近にある高さ30センチほどの風通し用の小窓だった。

 こちらも鉄製の二枚扉の横スライド式。こちらは倉庫の中から施錠するタイプだ。

 しかし造りが甘すぎるため、鍵が掛かった状態でも強引に小扉を持ち上げて戸枠から外してしまえば簡単に開けることができた。

 その倉庫は15年経った今も当時と同じ姿で今もそこに立っていた。

 当時は子供であったため数人の手が必要だったが、大人になった今となっては一人でもなんとか小扉を持ち上げ外すことができた。

 そして彰人は15年前と同じ抜け道を通って倉庫の中へと忍び込んだ。


「この歳にもなって学校に忍び込むなんて、我ながらどうかしているな……」

 苦笑が零れた。


 倉庫のほぼ中央には框があり、手前が土間、奥が板の間になっている。手前の土間には掃除用具や肥料が置かれていて、奥の板の間には図工の時間に使う資材や工具などが置かれている。それらは今も同じだった。

 彰人は倉庫の中を進んだ。そして框のところへとくる。

 不法侵入とはいえ土足で上がり込むのは気が引けたため、彰人は框のところで靴を脱いだ。手に持っていたコンビニの商品が詰まったビニール袋も邪魔なのでついでに靴のそばに置いていく。

 そして彰人は倉庫の奥へと進んだ。


 倉庫の奥は校舎へと続く扉がある。

 彰人はその扉を開け、校舎の中へと進んだ。

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