第120話 開拓

ドワーフ族が住宅や柵の強化などを行ってくれるので村の発展が凄い。


さらには川から村に水を繋げる水車も作ってくれた。


食料は日持ちする野菜や米が続々と運ばれてくる。


肉は樹海で魔物を討伐すればいいので食料は問題ない。


木材も樹海に大量にあるので問題ないとして、やはり問題は人の部分だろう。


各国から派遣された者達は、この村の発展に興味津々だ。


協力を願うのならば良いが、奪おうとする者がいないといいが…。


それでなくとも人族主義の国がいるので要注意である。



それから一ヶ月後にやはり問題が起きた。


案の定人族が結束していちゃもんをつけてきた。


人族の言い分はこうだ。


皆で協力して樹海を攻略しないといけないので俺達の村も発展させろ。


もしくはその村をよこせと言ってきた。


さもないと魔物が襲ってきても助けないぞと脅しをかけながら…。


それを聞いた俺は村長に言って追い返させた。


それが良い方向で噂となりエルフ族や希少種である精霊族が仲間になりたいと言ってきた。


少数ではあるが精霊族はユニスを見て仲間となり、それを見たエルフがさらに仲間となった形である。


また獣人族などを下に見てない人族も協力したいと言ってきて、樹海の前の集落は2分した。


人数的には人族の方が多いが、戦力的にはこちらが有利と言えるだろう。


何故ならば精霊族の魔法とエルフ族の弓が協力なのだ。


さらにはドワーフのハンマーやモグラ族の奇襲なども優秀で戦略的に申し分ない。


大陸全体で樹海に動員している最中、戦力を2分するのはどうかと思うが実は効率が良かったりもする。


人族中心の部隊は樹海を直進するように進むが、俺達の混合部隊は真横に進んで行く。


この方向には別の大陸があると噂されているが樹海を突っ切った者はいないので本当かどうかは分からない。


こうして人族の連中からたまにいちゃもんを言われるが、こちらは誰も耳を傾けない。


相手も武力行使は流石に不味いと思っているようなので、基本無視をしろと言っているからだ。


ただ人族主義の中にも頭が切れる者がいる。


こちらが真横に進軍するなかで、どうしても魔法や弓矢で遠距離攻撃が主流になるのだが、遠くの方の魔物を殲滅する時は、必ずと言っていいほど人族主義がそれに合わせて殲滅を行ってくる。


広範囲魔法も使うので円形になった部分の上の方を北側だと言って掠めてくる。


さらにはそこからすこしだけ北に進軍するので、文句を言おうにも言えないのである。


人族主義は冒険者達も雇っているので、魔石や魔物の剥ぎ取りなど美味しい部分を用意しながら上手く使っている所を見ると性格は悪いが有能な指揮官がいるようだ。


ただ人族主義もこちらに配属された時点で左遷扱いらしいので、上から嫌われて厄介払いされて来たのだろう。


樹海の防波堤とは言え、ここまでの戦力が集結するとは思わなかった。


強引ではあるが、戦争を吹っ掛けながら各種族も派遣させているおかげで防波堤として機能する戦力が整ってきた文句が言えない。


日々魔物の殲滅と村の開拓を勤しむなかで、唯一の癒しが子供達の楽しそうな声だ。


リザードマンと猫族などの少数の種族は子供からお年寄りまで全員で来ている種族がいるからだ。


種族の垣根を越えて仲睦まじい姿を見るのが微笑ましい。


お年寄りが料理や洗濯などを担当してくれているお陰で村もなりたっていると言える。ただ、さすがに人が増えすぎて回らなくなってきた。


魔物の魔石や討伐部位などで支援物資と交換しているが、こちらは殲滅スピードが速すぎて余っている状況なので、皆で相談して奴隷を買うことにした。


所有権をどうするか揉めそうだったが、何故か俺が所有権で良いと皆が言ってくれたのだ。


ここまで信用されるとすこし嬉しいな。


後は欠損奴隷をどうするか…。


奴隷商には有能なスキルの者がいれば欠損奴隷でも買い取ると伝えたのがまずかった。


奴隷商は目を輝かせながらすぐに用意すると言って駆け出して行ったのだ。


ただ、馬車の中から絶対に外に出さないように釘をさしておいた。




こうして忙しい日々を過ごしているとあっという間に3ヶ月が過ぎていた。


変わったことと言えば、精霊族のシュオランダミラン・通称ミランと言う女の子がいつもユニスにべったりなのだが、ミランの精霊魔法が凄いの一言である。


ミランは重力魔法と土魔法が得意なのだが、この組み合わせがハンパない。


土を硬化させた槍を作り、天高くまで浮かした状況から重力を重くして一気に落下させるのだ。


その魔法を見た瞬間からユニスの上に乗らせて上空からの殲滅と援護をさせている。


重力魔法で本人も飛べるのだが、同時に魔法をするのが難しいようだ。


すこしずつアドバイスをして練習させているのでいつかものにできるだろう。


精霊族は基本背が低く、ミランも140cmほどしかない。


子供にも思える身長だが前髪まで揃えた金髪のショートカットの髪がさらに幼さを醸し出している。


合法ロリとはこのことだろうか?


さらにはエルフ族の美形の男性、ナージオリジンと言う者は一撃必中のスキルを持っている。


風魔法と弓魔法って本当に相性がいいよね。


この大陸には隠れた猛者が多く、驚きと喜びを嚙みしめている。




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