第118話 竜神の祠

シャムが言うには、可視化は最初にイメージした時の色で現れるそうだ。


内容としてはスキルやその者の成長度をイメージしたそうだ。


なので実際に実力はあるがスキルの期待値も込みで色が濃くなるので現在の色と強さは当てにならないそうだ。


ただ、色が濃くなるほど将来は期待できる可能性があるので俺としては欲しい人材である。


猫パンチにしても本人はじゃれて遊ぶ程度のパンチと思って使っているので、弱いと考えているそうだが、俺が知る限りではそんなことはない。


なので、シャム自分が護衛役でいいのか迷っているらしい。テテやキュイが懐いたので畏れ多いとは思いながらも村長に言われて護衛についたとのことだ。


シャムの背は150cmくらいで白とグレーの可愛らしい猫人である。


シャムは己のスキルを当てにできないと考え一生懸命に励んだ結果、基本的なスピードだけは種族の中で一番になったと聞いた。


たぶん努力家なんだろう。


そんなシャムだからこそテテとキュイが懐いたのかもしれない。



こうして俺はシャムに村を案内してもらう。


森の中には爪とぎ用の木があったり、アスレチックの遊び場があるなど見て周るだけでも楽しかった。


ただ食の好みだけは合わなかった。


またたびや魚・かつおぶしを好み、基本的に焼くかそのまま食べるのだ。


調味料や料理工程が少ないので、どうしても俺にとっては物足りない。


今までは当たり前のように食べていたが、やはり料理人には頭が下がる思いだ。


こうして一日が終わり、今日は村長の家に泊まらせてもらう。


この国のこともそうだが、全ての情報が足りなすぎるので教えてもらう。



村長と飲みながら教えてもらった。


この国は表面上は穏やかだが、やはり序列があり発言力の格差があるとのこと。


また、魔族の種族が反乱をおこさぬよう常に監視されているとか。


やはりどの国も何かしらの歪があるようだ。


この話を聞いて俺は魔族の村に行くことにした。



翌日、俺はシャムに連れられてリザードマンの村を訪れた。


この世界のリザードマンは魔族から捨てられた存在やドラゴンになれなかった存在などと言われ蔑まれているそうだ。


この村のリザードマンは300人ほどしかいないそうだ。


魔族で寿命が長いとは言え、疎外感から他の地に向かう者が多いとか…。


村に入ると一匹のリザードマンが槍を構えてきた。


俺の前にシャムが割って入るが俺は肩を叩いて大丈夫と合図する。


「良かったら村を見てもいいですか?」


「村を見ても何もねぇぞ」


「構いません。いろいろな村の風習などを見たいだけなので」


「さらって奴隷にしないと誓え」


「そんなことをする人がいるのですか?神に誓って攫わないと誓う」


「ふん、いいだろう。ただ、俺もついていく」


「仲間想いなのですね。よかったら案内してくれませんか?」


「お前は変な奴だな」


「ミロードです。貴方は?」


「リーディング・オルタナティブだ」


「長いのでリーかオルでもいいですか?」


「皆はオルと呼ぶが好きに呼べ」


「じゃあ、私もオルと呼びます」


「フン」


なんだかんだで案内してくれるオルは優しいのだろう。


川沿いを中心に案内してくれるが住民は心配そうな顔をしている。


だがやはり子供は好奇心旺盛だ。


「ねぇ、ねぇ、何しに来たの?」


「村を見学にね」


「そうなの?じゃあ、僕が竜神の祠に案内してあげる」


「竜神の祠?」


「そうだよ、川の中にあるんだよ」


俺はオルを見る。


「別に問題ない。水の中で息が出来るならな」


俺は考える。


水の中にも気体はある。


結界を水の中で張り、その結界の中で水だけを水魔法で移動させれば空気が残るはず。


俺は水の中で試し…、試行錯誤をすることでなんとか上手くいった。


「じゃあ、案内して」


オルはかなり驚いている。


「お前は何者だ?」


「えっ、普通の旅人だよ」


「まあ、答えたくないなら答えなくていい」


こうして俺は竜神の祠に案内してもらった。


川の奥深くに洞窟に繋がる道があった。


暗い水の中を進んで行くと急に広い空間にでた。


もちろん水の中なのだが、その空間になった瞬間に辺り一面が明るくなり俺は辺りを見渡す。


奥には宝玉のような玉が飾られていた。


俺は宝玉の目の前に行き手を合わせた。


その後周りを見渡し、祠に何もないことを確認して戻った。


水中から戻ってから聞いてみた。


「宝玉が飾られているだけなのに何故竜神の祠なのですか?」


「俺もよく知らないが、遥か昔に先祖がドラゴンから預かった物と言われている」


「へぇー、そうなんですね」


「別にフランクに話してくれて構わない」


「警戒しているかなと思って丁寧に話してたけど、そう言ってくれるならそうしようかな」


「ああ。どうせお前が本気を出したら敵わないだろうからな」


「どうしてそう思う?」


「先程の魔法もそうだが、お前は一切隙がない」


「当たり前ニャ。なんたって虹色のオーラだからニャ」


「へぇー、シャムにはそう見えてるんだ。ちなみにオルは何色?」


「オル殿は濃い青色なので、かなり強いニャ」


「ほぉ、色で強さがわかるのか?」


「スキルや期待値込みの強さだニャ」


「そうか、じゃあ俺はまだまだ強くなれる可能性があるならば嬉しいな」


「強くなって何かやりたいことでも?」


「ああ。民族を安心して暮らせれるように俺は他の種族よりも強くならないといけない」


オルの言葉を聞いて、やはりリザードマンは冷遇されているのだろう。














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