第105話 雑草

何故ソンミンがカジエモンに認められているかを聞いてみた。


「私と言うよりもお姉さまが認められているの。私はオマケね」


何でもカジエモンの奥様を聖魔法で癒したことで恩を感じているのだとか。


その伝手からソンミンが俺達のことを紹介していいか尋ねたそうなのだが、何でも息子さんが俺のファンなのだとか…。


息子さんナイス。


こうして俺達はスキルが付与されている武器を買っていく。


これでフウカとアランの武器が作れる。



フウカの武器は《貫通》と《回転遠心力》が付与された槍とハルバードをスキル《まぜる》にて一つにする。


槍の先端の終わりに三日月の円盤状の突起物がついた槍ができた。


これによりフウカが投げると遠心力と回転が加わりもの凄い速さで飛んで行く。


その後スキル《かえる》にて手元に戻すことで無限の投擲槍の完成だ。



アランはスキル《装備重力》と言うスキルを持っている。


自身が装備できる物に関して重力操作ができる。最大で5倍程の重さや軽減できるスキルだ。


なのでアランはハンマーなどの衝撃系の武器を装備させている。


今までは頑丈な重いハンマーの先が尖った武器を装備していた。


今回もハンマーと槍をまぜて似たような武器にする。


スキルに関しては《衝撃波》と《粉砕》のスキルを融合する。


これにより一撃必殺の破壊力を持つ武器が完成した。



さらには俺の武器も新調する。


剣と杖をまぜて見たら魔法剣ができた。


スキルに関しては《斬撃》と《威力上昇》を融合させる。


斬撃を飛ばせるだけではなく、剣技や魔法の威力も上がるので一石二鳥である。


全部で12個あった武器を全て買い取って、5個の武器を作った。


残りの二つは組み合わせが微妙だったのでとっておくことにした。


10年間でこの数と言うことは、スキル書を集めるのも大変なんだろう。


カジエモンの厚意により安く買うことが出来たのだがクランの依頼で稼いだお金が消えたとだけ言っておこう。


ただ、これからダンダンの依頼があるので稼ぎ時である。


ちなみに魔剣とスキル付与武器は別物である。


魔剣はスキルだけではなく、素材や鍛冶の技術・魂が合わさってオーラや剣気を纏った武器のことである。


今回は融合しても魔剣には届かなかった見たいだ。


ただ、スキルが二つも付いている武器は王様に献上できるレベルの品だそうだ。


こうして戦力拡大に成功してソロモンの街に向かうのであった。



冒険者だけで向かったこともあり、魔物の襲来があったぐらいで盗賊などは一切出会うことはなかった。


無事にソロモンの街に着いたのだが、王都の次に人口が多いと言うだけあって城門の前は凄い列が並んでいた。


1時間ほど並んで冒険者証を見せて街中に入ったのだが、今までの街とは違ってレンガ風の建物が多い。


道もレンガが敷き詰められている感じで、ヨーロッパ風に近いだろうか。


街の統一感に圧倒されながらも冒険者ギルドに向かう。


大人数で行ってもしょうがないので、俺とサラサ以外は宿屋を探してゆっくりしてもらう。


サラサと一緒に冒険者ギルドに入ると1人のおじさんが絡まれていた。


「おい、雑草。今日も草刈は順調か?」


「あはは、そうですね」


「なに笑ってんだよ」


「ス、スミマセン」


「こんな大人だけにはなりたくねぇな。皆もそう思うだろう?」


「ちげぇねぇ。ダハハ」


冒険者達が笑っている最中、笑い者にされている人と目があった。


それに気づいた冒険者がこちらに話しかけてきた。


「お、新顔か?お前もそう思わないか?」


「すまない。話の全貌が見えないので賛同はできない」


「はぁー?新顔は頷いておくだけでいいんだよ。わかったか?」


俺は久々に絡まれて嬉しくなった。


「わからないな。てか、もう行っていいか?」


「俺が誰だかしらねぇのかよ?」


「新顔なんだから知るわけがないだろう」


「バカにしやがって、痛い目にあいてぇらしいな?」


「冒険者同士の一方的な暴力はご法度じゃないのか?」


俺はギルドの職員を見るが返答はない。


それを見た雑草と呼ばれてた人が庇ってくれた。


「冒険者になりたて見たいなので、オーデン殿の凄さが分からないのです。ここは先輩として穏便に」


「まぁ、そう言うなら。お前がきっちり教えておけよ」


オーデンはおだてられて満更でもないようだ。


俺は気にせず受付けにならんで冒険者証と王都からの依頼状を見せる。


「え、エス、Sランク?」


受付嬢の声が木霊する。


その言葉を聞いた冒険者達がこちらを驚愕の眼差しで見てくる。


「一つ聞いてもいいか?」


「は、はい、なんでしょうか?」


「何故喧嘩になりそうな会話を聞いてお前は止めなかった?」


「そ、それは…」


「まあ、どうでもいいが人のランクを喋るのもご法度じゃないのか?」


「あ、申し訳ございません」


俺が受付嬢と話していたら裏からご老人が話しかけてきた。


「こちらに落ち度があるのは承知だが、これ以上イジメないでほしいもんじゃな」


「落ち度があるなら貴方も謝ったらどうですか?」


「何故儂が?」


「どうせこのギルドのお偉いさんだろう?」


「若造が図に乗るなよ」


「違いました?違う場合は私も大人なので謝罪しますよ。で、どうなんですか?」


「………。」


「サラサ、帰ったら冒険者ギルド本部に苦情を入れておいて」


「ミロード様、承知致しました」


わざとこんな言葉を使うなんて、サラサもかなり怒っているようだ。


「ミロード?もしや奇跡のクランの…」


その言葉と共に老人は黙ってしまった。

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