第104話 魔道鏡

ソンミンが仲間に加わり、詳しいスキルについて確認する。


「歌霊のスキルはなんとなく分かるけど魔道鏡ってスキルはなに?」


「それは…ね、なんとイメージした魔道具が鏡に映り現れるスキルよ」


「えっ、それってやばくない?いくらでも魔道具が出せるってこと?」


「一つだけよ。最初にイメージした魔道具を何度でも出すことができるの」


「それってライフルとかにしてたら弾が切れても何度でも使えるから凄いスキルだよね。それで何の魔道具にしたの?」


「音楽キットよ」


「えっ、もう一回いい?」


「だ・か・ら、音楽キットよ。演奏の道具や編集機能までついた画期的な魔道具なのよ」


「戦闘には役に立つの?」


「たたないわよ。歌う時に音楽がないと寂しいと思ってこのスキルにしたの」


「ちなみにもう一つあるスキル・絶対音感は?」


「その名の通りで、音階がすぐにわかるわ」


「お疲れ様でしたー」


「まって、まって、もうすこし興味をもって」


「いや、もう後ろで歌いながらバフを掛けてくれればいいや」


「ほら、懐かしい曲も編集できるから転生前の曲も聞けるわよ」


「えっ、マジ?それは嬉しいな」


戦闘に関しては役に立たないが、機能性は凄く便利だ。


転生者はソンミンのおかげで懐かしい歌を聞きながら大はしゃぎするのであった。


ちなみに実際に使ってもらったのだが、機材と言うよりも大きなオーディオコンポが出現して音楽を流してくれる魔道具だった。



数日後、無事に護衛依頼も終わり自由に動ける時がきたのでダンダンに会いに行く。


式典でダンダンとの会話が中途半端になっていたため、後日待ち合わせをしていたのだ。


今は居酒屋でダンダンとセツナと一緒に酒を飲みながら話をしている最中である。


「そう言えば頼み事があるんじゃなかった?」


「OK?」


「内容を言えよ」


「前回の貸しがあるはずだが?」


「わかった、わかった。内容は?」


「2つの場所で魔物が活性化しているので、どちらかの場所の魔物の討伐を手伝って欲しい」


「場所は選べるの?」


「選べるけどミロードは絶対あっちって言うと思う」


「なんで?」


「一つはミロードがダンスパーティで揉めた相手の治める街だから…」


「うん、もう一つの場所でお願い。ちなみに場所は?」


「王都から東に3日ほどいった場所にあるソロモンの森だ」


「森で魔物が活性化してるってこと?街を防衛とかではないんだよね?」


「スタンピードになれば街の防衛ななるが、基本は森の中で原因の排除、もしくは魔物の殲滅となる」


「了解。これで貸し借りなしな。でもなんでダンダンにこんな討伐の内容がくるんだ?」


「全部お前のせいだよ。前回のスタンピードで実績があるからどちらかの応援に行って欲しいと言われたんだよ」


「あー、だから腹いせに俺達にも手伝わせたかったんだ」


「半分わな。残りの半分は勇者の存在が明るみになったことで魔族サイドが関与している可能性なども含めての安全策だ」


「もちろんクランとしての依頼だよな?」


「ああ。前回同様に冒険者と協力して解決しろと言われたから費用は問題ない」


「ちなみに向こう側は誰が行くんだ?」


「王都第3騎士団が行くそうだ」


「へぇー。こちらは親衛隊で向こうは騎士団なんだ」


「お前のせいだ。普通は親衛隊の仕事ではないからな。おかげで隊長が付きっ切りで第3王女を護衛する羽目になってるよ」


「王女様の株も上がるからいいじゃないか」


「無事に達成したらだけどな」


「任せろ。今の人数じゃ足りないから第2陣を手配させて向かわせるから俺達は先に行って調査しておくよ」


「宜しく頼む」


こうして俺達は王都の東にあるソロモンの森手前にあるソロモンの街に向かった。


東方面では大規模な街であり人口も王都の次に多いと言われている。


後続部隊がソロモンの街に到着するまでにも時間があるので、俺達は王都で2~3日だけゆっくりしてから向かう。


以前行った劇をソンミンを連れて見にいったのだが、ソンミンは何度も見たことがあるらしく流石は元貴族である。


そこで、ソンミンに穴場の武器屋を聞いてみた。


ソンミンも自衛のために魔剣なども調べていた時期があり、穴場の場所を知っているそうでそこへ向かった。


鍛冶場もあることから王都の街の端側に位置することから建物も年季が入った古くみすぼらしい建物だった。


店の中に入ってソンミンと店主が話していると別の部屋に案内された。


そこには付与された武器がずらりと並んでいた。


俺達はスキル付き武器がこんなにあることに驚いた。


「どうしてこんなに?」


「店主のスキルが《紙と武器の融合》で武器にスキル書のスキルを付与できるのよ」


えっ、まってまって。


もしかして俺の《まぜる》も同じことができるんじゃないだろうか?


あー、なんで俺は気付かなかったんだろうか。


「でも、何故こんなに武器が残っているんだ。こんないい武器ならすぐに売れるだろうに?」


「店主のカジエモンはドワーフなんだけど、このスキルの付与方法に気付いたのは10年前なんだって。この革命はヤバすぎると思ったらしく、カジエモンが認めた者しか売らないそうだ」


まずはつっこんでもいいだろうか?


なぜ、ドワーフなのにカジエモンなんだ?


そこが気になりすぎて他のことがどうでもいい気分だ。


失礼にあたるかもしれないから聞かないが…。









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