第89話 クラン始動

ようやくクランの基礎が固まり、各チームでの利益がでてきたので皆に給料を払える。


元孤児達は給料を貰えると聞いて大喜びで、さらにやる気をだしていた。


もちろん今後の働きに応じて給料を増やすことを伝えている。


今は奴隷や元孤児の連中が多いから良いが、冒険者などがクランに所属だけしたいと来る者も多いので、違った給与体制も構築中である。


このようなクランの運営に関することはサラサとエターナに担当してもらっている。


一番悩ましいのは、フウカやアランなどはどのチームも欲しがる程に優秀だと言うことだ。


意欲のある連中ばかりなので、早く育ってくれるのを温かく見守ることにしている。



さらには予想以上に魔法の適正がある者が多い。


1割いれば御の字だと考えていたのだが、現状2割ほどの者がなんらかの魔法適正があり日々精進してもらっている。


1000人の2割だと200人となる。魔法部隊が作れる人数にビックリである。


現状クランは増え続けている状況なので、この先が末恐ろしい…。



こうした中、クランとしての依頼が舞い込んできた。


海鮮の町として有名な海沿いにあるゲーデ町から依頼を受けて欲しいと言うもの。


なんでも海に魔物が溢れるほどに集まり、いつ町を襲ってくるか分からないので討伐して欲しいという依頼だ。


問題は正確な数は分からず、大量の魔物と言うことでクランに依頼要請がきたのだ。


ツバキギルド長に他のクランは行かないの?と聞いてみたが、皆お前らのせいで留守には出来ないと断られたのだとか。


俺らのせい?


何かしたかな?


俺がそんなことを考えていたらツバキギルド長がため息は吐いた。


「お前らのクランの噂や勢いが凄すぎて、他のクランから人が流れないように大変なんだとよ」


あー、そう言うことか。


納得である。


「しょうがない、今回は俺らのクランが行ったほうが良さそうですね」


「そうしてくれ」


こうして俺達クランはゲーデ町に向かうことになった。


このことに一番喜んだのはミナミである。


かいせん、カイセン、海鮮っと鼻歌を歌うほどに上機嫌である。


あえてお留守番と言いたいほどである。


ただ幹部全員で行くことは出来ないので半分はお留守番である。


・戦闘組(海鮮組)

セツナ・リーリア・エターナ・ミナミ・アラン


・お留守番組

ナイト・サラサ・フウカ・ターナ


サラサも行きたがったのだが、戦闘能力がないため諦めてもらった。

諦めてもらう代わりに「今夜は沢山可愛がってね」と言われたので頑張ったとだけ言っておこう。


情報部隊であるナナも「情報を主君にすぐに伝えられるように傍にいる」と言われた。


ナナのスキルには数人を設定し届けることが出来る《手紙》というスキルがある。


俺はナナにその設定を俺にしたらよくない?と言ったら拗ね蹴りされた。


まあ、利き腕がない時はこのスキルも宝の持ち腐れだったことを考えれば今は好きにさせておこうと思う。


後は依頼の人数をどのくらい連れて行くかだな。


費用は町が持ってくれるそうで、100人以上の実力者を望んでいるとのこと。


まあ、大量の魔物と言われるだけあって人数が欲しいのだろう。


ゲーデ町の冒険者達と協力するとしても戦力が多いにこしたことはない。


なので今回は、魔法部隊100名・弓部隊50名・前衛部隊50名を連れていくことにした。


海の魔物なので遠距離攻撃を多くし、陸に上がってきた魔物を前衛部隊が食い止める役目を想定しての結果である。


魔法部隊は200名いるが、やっと魔法を使えるようになった者も含まれているので、上位100名を連れていく。


こうして馬車数台に荷物を積んで出発をした。



魔法部隊の半数以上は元孤児なので遠出を楽しんでいる。


こんなに人数がいると話したことのないメンバーもいるので、ゆっくりと語らいながらゲーデ町に向かった。


後数時間でゲーデ町に着く場所まで来ていたのだが、前方からもの凄い速さの馬が走ってきた。


ゲーデ町の冒険者らしく、伝言を伝えに来たとのことだった。


「ここまで来ていたので助かった」


「どうかしたんですか?」


「海の魔物が海辺に上がり町を襲ってきたので、至急応援を要請する」


これを聞いた俺達は馬車の荷物をどかして乗せれる人数だけ乗せて先に向かう。


残りは走って町に急いで向かう。


この時に重い荷物だけアイテムBOXに収納し、残りは1人一つ持って走ってもらう。


先陣が到着した頃には冒険者や町の兵士達が懸命に戦っていた。


海辺に上がってきた魔物を順次倒しているが、魔物の数が多くジリジリと後退しているのが見て分かる。


エターナに合図して海に《流星群》を放ってもらう。


無数の星が海に着弾に波しぶきをあげる。


それと同時に魔物が弾け飛ぶのが見える。


冒険者達は唖然と流星群を見ている。


「いつ見てもこの魔法は綺麗だね」


「お役に立ててよかったです」


「魔力回復薬を飲んで回復しておいて」


こうして冒険者達が驚いている間に俺らも陣形を組んで参戦するのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る