第87話 給料
半年後。
現在クランの人数は1000人を超えている。
現在は5つのチームに分けている。
・チームセツナ→欠損奴隷や冒険者を集めたチーム。
(両者を混ぜることで欠損奴隷が俺を神のように崇めるのを止めてもらうためだ)
・チームミナミ→農業をメインとした孤児や行く宛のない者が集まったチーム。
・チームナイト→料理人や鍛冶、商人と言った専属のスキルを持ったチーム。
・チームターナ→メイドや家事、欠損奴隷の世話を行うチーム。
・チームナナ→情報収集や素材収集をメインとした隠密チーム。
半年経てば様々なことが変わる。
住宅が立ち並び、花が咲き誇る。
道路や公園、そして温泉までもがある状態だ。
外観はオシャレに飾り付けられ、掃き溜めの道にも外灯が立ち並ぶ。
半年前まで更地だったとは誰も思わないだろう。
スキルや魔法がある世界とは言え、このスピードは尋常じゃない。
もちろん区画の門をくぐり区画全体の1/5程度ではあるが、それでも凄い広さの建築が進んでいる。
さらには収穫できる畑があり、商業都市のお偉いさん達が視察に来た瞬間に口を開けて固まっていたぐらいである。
役人から、この資金はどうやって稼いでいるのか聞かれたが秘密にしている。
何故ならば、一番の稼ぎは壊れた魔道具や武器を俺のスキルで直して売っているからだ。元値がほぼタダであることから利益が大きい。
さらには魔剣やスキル付の装備を直して売るだけでとんでもない稼ぎである。
もちろん冒険者チームのダンジョン攻略も稼ぎ頭ではあるが、今では盗賊狩りをメインにしてもらっている。
盗賊を討伐した後にアジトの戦利品が美味しいとだけ言っておこう。
ただ今は区画発展にお金がかかることから、皆には微々たる金額しか渡せていない。
変わりに区画内にある酒場や料理屋の無料チケットや商店の引換券を渡す程度である。
それなのに何故か皆に感謝されている。
元孤児だった子供達が一生懸命働く姿を見て、大人達も触発されている。
子供達は仕事が終わると魔力操作やフウカの勉強会などに参加し、様々な可能性を探す勉強をしている。
始めの1カ月間だけは強制で、その後は遊ぶも寝るのも自由である。
もちろんローテーションで休みも設けている。
休みを充実出来るように娯楽(オセロやトランプ)施設とモフモフパラダイスを作った。
ミナミのテイムスキルを使って、害のない魔物をテイムしてきたのだ。
もちろん俺の従魔達もたまに顔をだしている。
今までテイム出来なかったミナミであるが、ナナ率いる隠密部隊の情報能力により現在は10匹の魔物をテイムしている。
余談ではあるが、真っ黒な卵からは真っ黒なヒヨコらしき魔物が産まれた。
ピヨピヨと泣く小さな魔物は凄く可愛いとしか言えない。
ミナミもずっと頭の上に乗せて可愛がっている。
半年経った現在はクラン以外の人も新区画に遊びに来ている。
なんでも役人の視察が終わった後に、この区画の現状を伝えたところ住民からは見に来たい、遊びに来たいと多くの声が上がり開放するしかなかった。
それによりクランで使っている酒場や料理屋なども満員御礼となり利益を生むのだが、クランメンバーの楽しみが減るので別で2号店3号店を作り、集客を分散させている。
まあ、料理屋が増えることで食べたい気分で店を選べるので結果的に良かったのかもしれない。
ただ一つだけ問題がでてきた。
それは夜の営みの件である。
これだけの男女がいれば自ずと恋が生まれる。
住宅街が出来たとは言え、全員分の住宅はもちろん無い。
カップルから優先的にとも考えたが、能力次第での追加報酬の件を謳っているので待ったをかけた。
しょがなく、宿屋を複数急遽作ることにした。
小さい子供もいるので、バレないように外から泊りに来るお客様用の宿屋と言う鄭で作っている。
その中の何部屋かをクラン専用の部屋として防音をしっかりとして作っている。
カップルからは大層喜ばれたのだが、独り身の者からは夜の街を作って欲しいと懇願された。
流石にこのクランの区域には作る予定はないので、もう少ししたら働きに応じて多くの給料を渡すからそれで夜の街に行ってくれと伝えた。
やはり多くの者が集まると要望も多くなっていく。
ただ、欠損奴隷や元孤児の子供達のおかげで不平不満は今のところでていないので感謝しかない。
クラン要項に載っているとは言え、本当に寝床と食事を提供するのみになっているのに誰も文句を言わないのが不思議である。
基盤が出来てきたので早急に歩合制の給料を渡してあげたい。
まずはそのためにも仕組みを構築しないといけない。
始めから給料を渡し過ぎると後に問題が起きやすいので、徐々に能力や仕事量に応じて増やしていく予定だ。
その旨を皆に伝えたのだが、ピンと来ていなかった。
セツナはむしろ不満があり問題を起こすようならクランから追放すればよいと言っていた。
リーリアなんて、ミロード様に恩を仇で返すような奴がいたら焼き魚にしてあげますと胸を張って言っていた。
えっ、俺の考えが間違ってたの?
それとも異世界ではこのくらいの労働条件は当たり前?
そんなことを考えながら仕組みを構築するのであった。
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