第82話 クランの行方

ナナを仲間にしたことで情報部隊を育成する。


あまり危険のない範囲で情報を集めてもらうことで今後の活動をしやすくする。


ちなみにナナと言う名前はナンバーの数字が名前になったそうだが、俺が可愛い名前だねって言うとナナはかなり喜んでいた。


まさか俺が主呼びをされるとは思わなかったが、暗殺ギルドに狙われていることを考えるとナナが仲間になってくれて良かった。


情報と一緒に俺の付近の警戒も行っているナナはサラサやエターナとも非常に仲が良い。


ナナがだけではなく、今現在クランの戦力が大幅に上がってきている。


サンがスキル鑑定で情報を持ってきてくれるので、それを見て奴隷を買ってスキルの教育をする。


さらには元冒険者の欠損奴隷が多く、それを買っては治してを繰り返すことで即戦力となる。


パーフェクトヒールって反則じゃないって思うほどのスキルだと再度実感する。


欠損奴隷の多くは俺に忠誠を誓う者が多い。


働き次第で奴隷から解放するから好きに生きろとは言っているのだが「一生付いていきます」や「見捨てないで下さい」と懇願されるばかりである。


宗教的になっても嫌なので、セツナを長とした部隊を作ることにした。


その名も《守護者》である。


こうしてクランフェニックスは大幅に強化され、今や話題のクランとなっている。


ナナの情報では、クランフェニックスに入ることが出来れば奇跡が舞い降りると言われ各地方から向かってくる者まで居ると言われている。


こうした中、ナナが盗賊ギルドの情報を掴んできた。


聖女率いる《愛の使者》の宗教団体が闇ギルドに依頼したそうだが、フェニックスの戦力が予想以上だったことから中止になったそうだ。


危ねぇー、魔法都市で孤児を助けてなければ闇ギルドとガチで争っていたな。


勝てるとは思うが、サラサ達を人質にされれば負ける可能性もある。


そう考えると人助けをしていたことが幸運に繋がっている。


ミナミに感謝である。


クランが成長するに伴い、経営面や戦術面を含めて参謀が欲しくなってきた。


今は俺とナイトで行っているが、旅に出る時を考えるとどうしても欲しい。


そんなおり一人の青年がやってきた。


なんでもこのクランの奇跡に乗じて良い世界を作りたいと言って加入申請をしてきた。


とある国の大臣の息子で知識と知恵はあると豪語している。


それを聞いて俺は、世界をどう良くしたいのだ?と聞くとスラスラと答え始めた。


答え終わると満足気な顔をしている。


これは自分に酔っているタイプの人間だな。


それを見た俺は即不採用として帰ってもらった。


案の定帰りに捨て台詞を吐いていった。


「僕を雇わないクランなんて大したことないな。噂なんて当てにならないバカだ集団だ」


最近こういう輩が増えてきたな。


仮にミナミが担当していたら口車に乗せられて入団させてそうで怖い。


基本クランはナイトとミナミに任せているが重要人物になりそうな者だけは俺が面接を行っている。


何故この話をしているかって言うと、クランが話題になり過ぎて入団希望者が多すぎるのである。


流石に展開が追い付いていかないので皆に今後のことを話し合うことにした。


「今後クランをどうして行きたい?」


ミナミが即答する。


「孤児の子を救えるクランにしたい」


「やはりクランとして掲げるビジョンが必要だな。安易にクランを作ったが考えが足りなかったな」


「そう?入団希望者も多数来てるし順調じゃない?」


「アホか。このままいけば内部分裂する恐れもあるぞ」


「そうなのナイト?」


「どうでしょうね。ただ悪しき者はこの状況を利用するでしょうからルールや制度は必要だと思いますよ」


「だって」


「お前がその言葉を使うな。基本セツナ率いる守護者は大丈夫だと思うが、それ以外の者とは考え方が違うからな」


「あー確かに。そう考えると普通の人を入団させ、その勢力が大きくなると内部分裂する可能性はありますね」


「クランを二つに分けるか?」


「二つに分けてもミロードがいるクランしか入団希望者がいかないと思うけど」


やはり対等に話し合えるナイトの存在は大きい。


本当にこいつが居るおかげで助かっている。


最近は仲が良くなり呼び捨てで話し合えるほどだ。その影響でミナミも最近呼び捨てで呼んでくれるようになった。


「セツナはどう思う?」


「難しいな。守護者のメンツはミロード様のためなら死ぬ覚悟のある奴ばかりだからな」


「そこは自分の命を優先して欲しいのだが」


「聞くと思うか?」


「そうだよね…。やはりクランの方向性を決めないとな」


こうして丸一日にも及ぶ話合いの結果方向性を決めた。


ミナミの言った孤児を救う案もあったのだが、その場合弱者救済が仇となる場合が多数あるので、誰もが加入して文句を言えないビジョンを掲げた。


それは…。


なんと…。


加入条件を最低ラインとする内容に決まったのであった。








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