第81話 闇ギルド
俺はセツナ達と一緒にツバキギルド長の元へ尋ねた。
「元気?セツナを連れてきたよ」
「違う、用があるのはお主じゃ。いや、セツナ殿を連れてきてくれたことには感謝するが…」
うん、この人は見てて飽きないな。
最近はこのように冗談を言い合えるくらいの仲になっている。
「で?どうしたの?」
「実は情報が入ってきたのじゃが、お主闇ギルドに狙われておるそうだ」
「へぇー、そうなんだ」
「驚かないのか?」
「まあ、想定内だろう」
「お主のスキルを隠すつもりはないのか?」
「いや、スキルは隠すさ。ただ、パーフェクトヒールが使えることは隠さないがな」
そう、最近の俺は欠損奴隷を買ってどうどうと治療しているので当然である。
「なら聞くが、今やお主の話題が各国で凄いことになっているぞ」
「だろうね。だからこの都市にクランを構えたんだ。早く冒険者ランクを上げたのもこのためだ」
「全て予定通りならよいが…。闇ギルドを甘く見ると痛い目を見るぞ」
「心配してくれるんだ、有り難う」
「そりゃー、お主が危険と言うことはセツナ殿も危険になると言うことだからな」
「さいでっか。ちなみに依頼主は貴族?それとも教会?」
「さぁな、そこまでは分かっていない。それにしてもその余裕と思考能力は凄いな」
「まあ、このスキルを活用しようとすればそこら辺だろう。あ、闇ギルド自体が悪用する場合もあるか」
「隠すすもりがないならSランクの昇格試験を受けて見ないか?」
「あれ、もう受けれるの?各国の依頼や危機を救った上でギルドからの推薦枠が必要って聞いたんだが」
「一般的にはそうだな。ただ回復師としての個別の条件をクリアしており、推薦状も私とミリオンの町のギルド長が書こう」
俺はサラサに聞く。
「Sランクに上がった方がいいの?」
「上がった方が何かと特典は多いわね。後はクランとしての威厳もますわね」
「そう。じゃあ上がることにするよ。どうせればいい?」
「ギルドで用意した欠損した者を目の前で治してもらう。もちろん依頼として依頼料も払う」
「了解、いつでもいいよ」
「こちらにも準備が必要で3日後でどうじゃ?」
こうして俺達は3日後にギルド本部に行くこととなった。
3日後、ギルド本部に行くと大層な顔役が並んでいる。
俺はツバキギルド長に確認する。
「あれは全部お偉いさん?」
「そうだ。本当は重役二人でいいはずなんだが、皆実際に治るところを見たいんだろう」
「そう言うもん?まあ、いいけど俺はどうすればいい?」
「今から呼んでくる者の欠損を治してくれ」
そう言うとツバキギルド長は真っ黒い狼の獣人族の女性を連れてきた。
「このナナは闇ギルドの密偵をしていた最中に見つかり片腕を失いながらも貴重な情報を持ち帰ってくれた子じゃ」
「そうなんだ。始めてもいいの?」
ギルド長は重役に確認した後OKのサインをだしてくれた。
重役以外にも研究者や魔法使いがいるので参考にしようとしているのだろう。
ただ、俺の場合はスキルの一部なので遠慮なくスキル名の詠唱だけで治す。
俺は手を翳しパーフェクトヒールを唱えた。
彼女の手が一瞬で治る。
それを見た誰もが口を開けて驚いている。
「何度見てもミロード様の魔法は凄いな」
「このおかげでセツナが側にいてくれるから助かってるよ」
重役達は唖然としながら話だした。
「おい、あれが虹の不死鳥使いのなのだろ?」
「はい。ただ今回の一件で他の呼び名が広がる恐れが」
「そんなことはどうでもよい。なんたる才覚だ」
「これは文句なしにSランクで問題ないな」
「無詠唱かよ、ヤバイな」
「回復魔法だけじゃなく戦闘力も凄いんだろう?」
「そう聞いている。仮に戦闘力もSランク級ともなれば幻のSSランクもありえるぞ」
確かにSSランクもあるとは説明を受けたけど幻なんだ。
サラサに聞いてみると、英雄や勇者と呼ばれる者に与えられる称号見たいな物ねと言われた。
パーフェクトヒールを受けた女性は自分の手を触りながらついには泣き始めた。
まあ、ずっと片腕がない状態から奇跡的に治ったなら涙も流すよな。
ナナは涙を拭きこちらに歩いてきた。
「どうした?」
「一生のお願いがある」
「それはやけに重たいお願いだね」
「私を主君の忍びにして欲しい」
えっ、何処の忍びの設定だよ。
時代劇かと思うほどにビックリした。
ここはノリよく答えて見よう。
「よかろう。お主を我の忍びと認めよう。命を賭けて仕える気があるならばな」
「もちろんある。主、どうか宜しく頼む」
「えっ、冗談じゃなくて」
「えっ、冗談なの?忍びにしてくれないの?」
ツバキギルド長に聞く。
「これ、ギルドの管轄だから勝手に忍びにしたら不味いよね?」
「大丈夫だ。任務成功の上で片腕を失ったことから、欠損が治ったとしても今後は本人の自由となっておる。もちろん依頼料だけは冒険者ギルドが出す条約になっておる」
ナナは泣きそうな目で見ている。それにしても身長が150cmもないんじゃないかな?
「ちなみに年齢を聞いてもいいかな?」
「20歳だ」
あ、子供じゃないんだ。
「セツナどう思う?」
「俺は彼女の気持ちが解るから賛成だな。それに今でも有り難いと感謝しているしな」
「そう、セツナがそう言うなら」
この言葉を聞いてナナは喜んでいる。
その喜んでいるナナの頭の上にテテが飛び乗った。
狼の獣人族の頭上にテテが飛び乗った姿は、映えるとしかいいようがない。
こうして無事にSランク冒険者に昇格したのである。
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