第76話 卵

現在は冒険者依頼を受けた村に来ている。


なんでも村の近くの洞窟にオーガが住み着いているので討伐して欲しいとのこと。


オーガは単体でもBランクの魔物なので依頼料金もよいし腕試しにも丁度いいので依頼を受けたのだ。


洞窟には俺とセツナだけが入る。


現在の俺の剣術がどの程度なのか一対一で勝負する。


もしもの時を考えてセツナには来てもらっている。


洞窟の奥に進むとオーガが見えてきたのだが、俺らを見た瞬間オーガが襲ってきた。


オーガも片手に剣を握っていて、躊躇なく上段から剣を振り下ろした。


俺は半身で横に避け右上段から剣を振り下ろす。


それを咄嗟によけるオーガ。


「なあ、オーガってだいたい剣を持ってるものなのか?」


「普通は肉弾戦が多いな。中には剣を使うオーガもいるとは聞いているが知能が高いタイプのオーガだな」


「へぇー、なかなか手ごわいね」


今の俺の実力ならば瞬殺できると思っていたが、剣術のみではそうは行かないらしい。


その後も剣戟の音が洞窟に木霊する。


一進一退の攻防が続いた結果、ついにオーガの剣が先に折れた。


その瞬間俺は躊躇なくオーガの首をはねた。


「セツナに教えてもらった刃先の当て方が役にたったよ」


「剣術に関してはまだまだ修行が必要だな」


「そうだな」


こうして俺とセツナはオーガの魔石を回収して帰ろうとしたらキュイが洞窟の奥に進んで行った。


「おい、キュイ帰るよ」


俺が叫んでもキュイは止まる気配がない。


しょうがなく着いていくとそこには2つの卵が藁の上に置かれていた。


「もしかしてオーガの卵?」


「いや、人形は卵を産まないと聞いている」


「じゃあ、なんの卵だろう?ちなみにオーガはこの卵を守っていたのかな?」


「どうだろうな。そこまでの理由は分からないが、普通はそこまでの知能はないから本能的に守っていたのかもな」


「そっか。この卵はどうする?」


「オウガがずっとここに居たのなら親はもういないのだろう。売るもよし、育てるのもよし」


そんな会話をしているとキュイが持ち帰れとアピールしている。


まあ、魔物次第ではミナミにテイムしてもらえばいいかと考えた。


こうして俺は金色と黒色の珍しい卵を持ち帰ることにした。


そして、まず黒色の卵を持ち次に金色の卵を持ち抱えたのだが、金色の卵を持ち抱えた瞬間急激に魔力を吸い取られる。


それと同時に卵はひび割れていく。


状況をセツナに話、危ないので黒色の卵をセツナに渡して金色の卵を手の平で支えた。


魔力の吸収が終わると同時に一匹の子犬?狼?が産まれてきた。


子犬?は俺を見るなり顔をペロペロと舐めだした。


これは絶対親が俺だと思っているな。


キュイは俺の頭の上に乗って満足そうにしている。


子犬は最後に俺の唇にチュっとキスをした。


何故かその瞬間懐かしい気持ちとなったが、気のせいだと思い今後の事をどうするか考える。


まあ、考えるも何も俺を親だと認識したのなら育てるしかないのだろうが…。


こうして馬車に戻り皆に報告した。


「可愛いですね」


「ミロード様にベッタリですね」


「抱っこしてもいいですか?」


フウカが抱っこしようとしたが子犬?が嫌がるので触るだけとなった。


嫌がると言うより俺の傍から離れるのが嫌見たいだ。


なんか、キュイやペルルを思い出すな。


まあ、今でもキュイは俺にべったりなのだが、キュイは子犬が俺にベッタリでも嫌そうな顔をしない。むしろ一緒に可愛がっているようにも見える。


キュイも受け入れてる見たいだし、一緒に過ごすなら名前をつけようと決意した。


ゴールデンレトリバーに似ていることから名前を考えようとしたが一向に名前が思いつかない。


何も思いつかないのでふと頭に過った名前にした。


つけた名前はテテである。可愛い顔に似合った名前だと思う。


こうして新たにテテが仲間となったのだが、実はアイリスが輪廻転生した先がテテであることを誰もしらないのである。


ちなみに最近はテテとキュイがいつも一緒に寝るので、エターナが俺と一緒に寝たいのに我慢しているのはここだけの話である。

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