第66話 運を掴み取れ

1週間後。


俺達は大量の食材を持って子供達の場所に訪れた。


子供達の様子を見ると目をギラギラさせている者やオドオドしている者まで多種多様である。


食事の前に俺は子供達に問いかけた。


「チャンスは一度キリだ。自分に何が出来るのか?どうしたいのかを列に並んだ先の大人に伝えろ。全員が伝えた後にご飯にしよう」


こうして俺は子供達のスキルを見てそれぞれの列に並べる。


そう俺達が考えた結果は、1人で全部責任を負えないのならみんなで協力するしかない。


だれか一人に負担させるのではなく、全員が責任も持つ方式にしたのだ。


それぞれが見込みのある子供達の面接をすることで大人全員が責任感をもってもらう。


スキルの良し悪しだけではなくやる気や意気込みも含めて選んでもらう。


子供達のスキルのジャンルごとに俺が振り分けることで面接をしやすくする。


もちろん一歩目を踏み出さない子供達には何もするつもりがない。


半数以上の子供達は動かずにご飯だけを待っている感じなので、ご飯が出来た時に声を掛けることにする。


そして俺はスキルの振り分けが終わったので影から様子を見ている大人の元へ行く。


「何も聞かないんですか?」


「虹の不死鳥様ですよね?」


「凄い情報網ですね。何処の組織の方ですか?」


「ノギスの門番(近衛兵団)です」


「なるほどー、納得がいきました。道理で子供達が犯罪を犯さないように誘導しているわけだ。このやり方のほうが犯罪も防げるし仕事も減る可能性があるわけだ」


門番は頷いた。


「貧困をどうにかは出来ないのですか?」


「悔しいがこればっかしは私達ではどうしようもない。」


「そうですか。俺の仲間がどうしてもほっとけないと言う者がいましてね、なので始めの一歩を踏み出し自才を示した者だけを救おうと思いますが宜しいですか?」


「貴方様でも全員は無理なのですか?」


「動かない者に手を差し伸べると集団として機能しないのは貴方達が一番ご存知でしょ?」


門番はコクコクと頷いている。


「100名くらいの人数になるかと思いますが引き取っても大丈夫ですか?」


「ちなみに引き取った後のことを聞いてもいいですか?報告だけしないといけませんので。あ、もちろん子供達を引きと取ってもらうことは大丈夫ですので宜しくお願いします」


何故かあっさりと許可がもらえた。


「俺がクランを立ち上げます。その後一人一人のスキルに応じて冒険者、料理屋、鍛冶などの仕事を教えながら仕事をさせる予定です」


俺達は話合いの結果、クランを作りそこに子供達を加入させて面倒を見るという方法に至ったのだ。


子供は冒険者になれないよね?とサラサに聞いたら、子供でも冒険者に加入できる抜け道があるわよと言われたのがこれである。


なので俺はクランを作ることにした。


「承知しました。宜しくお願いします」


「了解。まあ、一部は面倒を見るがそれ以外の孤児は引き続き頼むよ」


「心得ております。すこしでも人数が減れば監視もしやすくなりますので大変助かります」


「そう、なら良かった」


こうして俺は門番の許可をもらったのであった。



子供達との面談は進み、チャンスを掴んだ者には一緒に来るかの選択をさせる。


もちろんこんな上手い話しがあるわけないと思い断る子供もいる。


こうして自らの意思で国を離れてでも一から頑張りたいと考えた52名を引き取ることにした。


1人8人~9人の名前と顔を覚え面倒を見る。子供達には明日城門前にて待ち合わせと伝えている。


ちなみに俺は含めていない。その変わりにナイトを一人分としている。


この一週間の準備期間にて魔法大国の呪いの魔道具から呪いの装備まで探しまくった結果、ついに望みの品を見つけたのだ。


・削ぎ落としの鎧

皮膚を削ぎ落とす呪われた鎧。一度密着すると呪いを解くまで脱げない。

その変わりオリハルコン以上の強度と魔法耐性を備える。


今のナイトにピッタリの鎧を見つけたのだ。


これでとうとう人形の姿でも喋ることができる。


さらには話合いの結果、一度商業都市に戻ることにした。


冒険者ギルド本部があり貴族が納めていない国の方が俺達もやりやすいからだ。


料理屋もあるので、いろんな研修にも使えるしね。


流石に52人の家はないので、格安の物件を探して布団を敷き詰めることになるが、布団があり安心して寝れる家があるだけで子供達も今現状よりかはいいはずだ。


さらには今後のことを話し合った結果、2つのパーティに分けることになった。


もちろん子供達が落ち着くまでは皆で面倒を見るが、落ち着いたらミナミとナイトとターナが子供達の長として面倒を見ていく。


そのため一度皆の奴隷紋を開放させた。


クランに所属しているので、敵対するクランが現れるまでは大丈夫だろうとサラサが言っていたからだ。


こうして俺達は商業都市に向けて子供達を連れて出発するのであった。









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