第56話 流星群

冒険者ギルドの用事が終わり俺達は自宅に帰ってきた。


「やはり自宅は落ち着くな」


「そうね。先にお風呂に入ってきていいかしら?」


「もちろん」


長旅だったので女性陣は特にお風呂が恋しかったのだろう。


いくらクリーンのスキルがあるとは言え、気持ちもリラックスしてくれるお風呂は譲れないのだろう。


そう考えるとこの家を買っておいてよかったな。


ちなみにスタンピードの依頼と地竜討伐にてたんまりと冒険者ギルドから金貨を頂いている。


皆に均等に分けようとしたら何故か怒られた。


基本報酬を皆で分け、特別報酬を貢献度別に分けて配るそうだ。

さらにパーティー維持費も考えているそうなので全てサラサに任せることにした。


誰も文句を言わないので納得しているのだろう。


まあ、基本報酬だけでも普通の人が稼げないような金額なので問題ないみたいだ。


リーリアにそのお金で奴隷解放しようかと尋ねたが断られた。


逆に私を見捨てないでと泣かれて驚いたぐらいだ。



落ち着いて丼屋を覗いてみるが順調そうだった。


後でミナミにお礼を言わないとな。


それとミナミ達を護衛してくれてたペルルを沢山撫でてあげないと。


その日はペルルと一緒に寝ながら可愛がった。


よほど寂しかったのか、「クルゥ、クルゥー」と言いながら頭を摺り寄せてきた。


本当に可愛い奴である。



翌日からはエターナを含めてレベル上げである。


11階層の自然のエリアを攻略しながらなので慎重に行く?


ちなみに20階層まではボスはいないそうで、下りの階段を見つければ次の階層に行けるそうだ。


自然エリアだけあって虫の魔物が多い。


女性陣がこのエリアを嫌がったため速攻で進むことになった。


俺とセツナが殲滅する前にリーリアが「いやぁー」といいながら魔法をぶっぱなしていた。


気付けば一日で20階層まで来ていた。


まあ、地図があるので一直線に次の階層に向かった結果である。


20階層のボスはオークの集団らしい。


オークリーダーを筆頭に30匹~100匹の群れらしい。


その数の差はなんなのと思ってしまう。


そのまま20階層のボスの扉を開ける。


目の前には100匹のオークの集団が見える。


ただ、スタンピードを経験した俺達にとってはただの経験値でしかない。


試しにエターナの星魔術を使ってもらった。


現在使える星魔術は二つらしい。


広範囲魔術の《流星群》とバフ効果の《星の輝き》である。


今回のオークの群れに流星群を放ってもらったのだが凄いの一言だった。


星が降り注ぐ光景は綺麗で見惚れてしまうほどである。


俺の感想とは真逆にエターナはこの魔法がスタンピードの時にあればと悔しがっていた。


どこまでも真っ直ぐで綺麗な心の持ち主だと思う。


ただ、現在の魔力では一回発動させるのがやっとだそうだ。


エターナを戦力として数えるのなら、現在後衛の魔法使いが多いので最後の一人は前衛か中衛がいいなと考えてしまう。


そんなことを考えながら冒険者ギルドに戻ると凄い光景に出くわした。



「コ、コアラさん、僕と好き合って下さい」


「ごめんなさい、弱い人に興味はないの」


「じゃ、じゃあ、僕が強くなったら付き合ってくれますか?」


「その時考えるわ」


告白した冒険者は拳を握りやる気になっている。


うん、冒険者をやる気にさせる上手い返しだ。


「懐かしい光景ね」


「サラサも良くあったの?」


「もちろん。あの返しの言葉はマニュアル通りよ」


「そんなマニュアルがあるんだ?」


俺は苦笑いである。


「当然よ。それに冒険者本部直属のギルドだけあって綺麗な人が多いでしょう?」


「確かに。それにも理由があるの?」


「ええ。私と同じように指名嬢となり本部に来たはいいけれども冒険者の育成もしくは実力不足で期間が終わった指名嬢がそのまま受付に入るからね」


「それだと受付嬢が増えて溢れるんじゃないの?」


「ノンノン。ここは冒険者本部だけあって凄腕の冒険者が多く集まるわ。そんな冒険者と結ばれる受付嬢が多いから退職する受付嬢も多いのよ」


「な、なるほど。勉強になります」


「まあ、ミロードは私が居るから問題ないわよね?」


「も、もちろん」


こうしてサラサに釘をさされたのであった。


ちなみにギルド長との話の中で、高ランク冒険者は一夫多妻制を望むと言われた。


なんでも強い遺伝子を沢山産んで欲しいのだとか…。


その件もあってか、サラサは受付嬢からの誘いは乗らないようにと言われた。


どうせお嫁さんは沢山増えるのだから受付嬢の枠は私だけで十分よと笑って言われたのだが、俺はなんて返せばいいのやら…。


まあ、俺自身も付き合った人を幸せに出来るのならばハーレムでもいいと考えている。


いや、違うな。正直言うと嬉しい感情の方が…。


みなまで言うな。男なら誰しもが憧れることだ。


そうだろう?


俺は誰に何を言っているのだろうか。


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