第48話 ワイバーン

料理屋とダンジョンでレベル上げを忙しくこなす日々。


料理屋は改装も終わり、無事にリニューアルオープンを行った。


開店から3日間は破格の銅貨1枚とした。


冒険者ギルドの掲示板にもポスターを張らせてもらったことで開店から大忙しだ。


全員が手伝ってくれたのだが、セツナ以外は皆汗だくである。


まあセツナは用心棒役であるので致し方ない。


3日間を過ぎて料金も銅貨5枚~だと言うのに店は大繁盛である。


これは人を雇うか奴隷を買わなとヤバイな。


まあ、いつかは落ちつくとしても最低でも5人は欲しいところだ。


今後のことも考えてミナミとラビに任せることにした。


まずは雇うことにしたらしいのだが、良い条件だったのか応募がきすぎてミナミの面接が大変そうだったとだけ言っておこう。


無事アルバイトが決まったことで俺は店から解放された。


ただ、ミナミ・ターナ・リーリアなどは店にいないと困るので、一緒にレベル上げが出来ない状況なので、ダンジョン攻略ではなくて兼ねてより考えていたBランク昇格に向けてワイバーンの討伐に行くことにした。



馬車に揺られること2日間。


サラサの案内で今はワイバーンの山に来ている。


もちろん冒険者ギルドの試験官も一緒だ。


山の麓から登っていくと群れから離れた個体が襲ってくるそうだ。


その個体を無事に倒すことで達成だそうだ。


もちろん一人で討伐しなくてもいいが、討伐の貢献度or職業での貢献度がかなり必要だそうだ。


まあ、今回は有無も言わせないように一人で討伐する予定だけどね。


山を登り初めて5時間後、二匹のワイバーンがこちらの方に散歩している。


面接官は二匹なので今回は見送ろうと言った途端にワイバーンに気付かれた。


面接官はかなり焦っている。


それなりの実力を持つ面接官なのに何故焦っているのだろうか?


もしかして一匹なら問題ないが二匹なら一人で倒せる自信がないとか?


まあ仮にそうなら昇格試験を受ける冒険者次第だから気持ちは判る。


けど安心して下さい。俺はやれる自信しかない。


「ミロード様、俺も手伝おうか?」


「いや、大丈夫だ見ていてくれ」


俺はそう言うと片手に魔力を込め、水の精霊魔法「ウォーターランス」を無数に放った。


さらにもう片方の手で間髪入れずに虹色の不死鳥を放つ。


一匹のワイバーンは無数のウォーターランスに焦って逃げようとしたところ、すぐに虹色の不死鳥が命中して命を落とした。


もう一匹は無数のウォーターランスから逃げたが、いくつか翼に当たったらしく地上に落ちてきた。


俺は落ちてくる場所に身体強化で走り、ワイバーンが起きて威嚇してくると同時に炎剣術で焼き切った。


有無も言わさない完璧な勝利である。


これを見た試験管も口を開けて驚いている。


「これは凄いの一言ですね」


「向こうがこちらに気付いて向かってきたところだったので楽でしたね。止まった状態だったならば風のシールドでウォーターランスを打ち落とせただろうに」


「一瞬でそこまで考えて同時に魔法を二つも放ったのですか?」


「戦闘は一瞬の閃きと行動力次第で生死を分けますからね」


「まさかこれほどとは…。本部に戦闘力の上方修正と知能の方も伝えないと」


「別にそのままでもいいですよ」


「まさか、こんな逸材をほおっておくと冒険者ギルドの損にしかなりません」


ちょっとやり過ぎたかな?


まあ、ランクを上げる予定だからいいか。


それにこの世界の高ランク冒険者は、スタンピードなどの緊急の討伐命令はあっても国による貴族からの無理な要請があったとしても断る権利がある。


もちろん冒険者本部からの無茶な要求も断ることができる。ただ、現在いる場所のスタンピードや魔物の災害などで国が亡ぶ可能性があるものに関しては強制される。


1人だけ逃げることは許さないってことだ。


別にそこまでの規模なら仲間を見捨てるつもりはないので共に戦う予定なのでなんら問題はない。


無事にワイバーンの討伐も終わったので、魔石と使える部位の剥ぎ取りを行う。


まあ、こんな高ランクのモンスターの剥ぎ取りは初めてなのでセツナに教えてもらう。Bランクから高ランクモンスターと言い、ワイバーンは単独で丁度Bランクだそうだ。


剥ぎ取りに時間がかなりかかる。なんでもワイバーンは翼や骨など多種多様に仕える部位が多いそうだ。


マジックバッグだけでは入りきらないので、バレないようにスキルの中にも収納する。


ちなみに虹の不死鳥で倒したワイバーンは無残にも使える部位が少なかった。


こうして戦利品を手に丼屋で頑張っているミナミ達の元へと帰宅した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る