第47話 BOSS

それから俺はミナミにレベル上げを提案した。


それ以外にも以前の知識を使って丼屋を一緒に手伝って欲しいと伝えた。


もちろん給金や役職を用意する。


彼女が奴隷から解放された時にお金があった方が安心だろう。


それもあって今ではかなり仲がよくなった。


普通にタメ語で話してくれるようになったが様付けだけは直らなかった。



レベル上げのためダンジョンでは6人パーティとなった。


セツナ、サラサ、リーリア、ミナミ、ターナ、そして俺である。


まあメインは俺とセツナで他はレベル上げである。


最近では精霊魔法を使えるようになったリーリアが魔法の練習をしながら倒すこともある。


安全をとって今までは10階層までにしていたが、そろそろ皆のレベルが上がりにくくなったのでついに10階層のボスを倒すことにした。


事前情報ではブラックウルフのみだと聞いているので俺が一人で倒す予定である。


10階層の扉を開けると広い空間にブラックウルフが尻尾を振って待ち構えていた。


えっ、もしかして喜んでる?


「た、倒していいんだよね?」


「ミロード様、あれはテイム出来ないの?」


「ダンジョンの魔物はテイム出来ないらしい。もし卵の状態であればテイムも可能らしい」


「ダンジョンに卵のまま置いてあることがあるの?」


「今までにあったそうだよ。魔物が入り込んで産んだのかダンジョンが報酬として用意したのかは解ってないらしい」


「そうなんだ」


「さて、それでは行ってきますか」


俺はブラックウルフに向かって剣を構えた。


その姿を見て凄い勢いで突進してくるブラックウルフ。


事前情報通りに凄い速さである。


だが情報があれば別である。


俺はすぐさまウインドカッターをブラックウルフの足に向けて放った。


ブラックウルフは前足で跳ねたばかりで、なすすべなく足を切断され地面に顔から突っ込んだ。


その後立てないブラックウルフに剣で止めをさした。


「随分余裕なのね」


「足に自信があって突進してくると言う情報があったからね」


「無くても今のミロード様なら楽勝だろう」


「まあね」


レベルや経験も上がり、今ではチート級のスキルのおかげで強さを実感できる。


それに戦争の経験や護衛依頼がいい方向で自信に繋がっている。


今の強さがどのレベルなのか楽しみな程だ。


10階層のボスを倒すとランダムな宝箱が現れるそうだ。


ボスが淡い光となって消えた後に一つの宝箱が現れた。


10階層までの木の宝箱と違って、今回は銀色の宝箱だ。


「何が入ってるのかな?」


「当たったらくれるの?」


「それ面白いな。平等に当たった人が貰えるってのはどう?」


「お、いいな。ただ当たらない可能性もあるからジャンルごとにしないか?」


「それでいこう。もしかぶったらジャンケンね」


こうして皆が予想を口にする。


セツナ→装備品

サラサ→回復ポーション系

リーリア→食材

ミナミ→卵

ターナ→衣服

俺→家具・魔道具


やはりセツナとサラサは一番定番の物を選ぶところは流石だ。


ミナミに至っては願望が込められている。


10階層とは言え上級の宝箱だけあって、一回目の宝箱の場合はいい報告が多数でている。


何故か周回して宝箱を狙う場合は一ランク下がるそうだ。


さぁ、何がでるか尋常に勝負。


恐る恐る俺は宝箱を開けた。


眩い光の中から、なんとスキル書がでてきた。


超絶の当たりだ。


だが、全員の予想が外れたのでスキル書が何であるかを鑑定してから誰にするか決めることになった。


スキル書の内容が気になるため、11階層をすこしだけ覗いて帰ることになった。


11階層は10階層までの洞窟の感じとは打って変わって草原のステージだった。


各部屋とは違って全体で1階層となっているみたいだ。


ボスはどうなっているのだろう?サラサに後で聞かないとな。


様子を覗いあたので街に戻りスキル書を鑑定してもらう。


スキル書はなんと隠蔽のスキル書だった。


これは今後を考えると是が非でも欲しい。


ただ、セツナとミナミも欲しいだろうと予想される。


「隠蔽のスキル書だけど欲しい人いる?」


「俺は昔の栄光もあって皆にスキルは知られてるから要らないな」


「私も隠すようなスキルでもないからミロード様が一番適任だと思う」


何故か皆が頷いている。


「貰っていいの?凄く欲しかったから遠慮なくもらうよ。変わりにみんなに金貨1枚ずつ配るね」


「くれると言うなら貰うがいいのか?」


「もちろん。買うと金貨100枚は下らないらしいよ。それに探したってスキル書はなかなか手に入らないしね」


金貨1枚貰えると聞いて皆が喜んでいるのでウィンウィンである。


こうして俺は隠蔽のスキルを覚えてすぐに隠蔽をスキルに施した。





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