第45話 閑話 ミナミ3
絶望していた私に訳がわからない状況が訪れた。
なんと今回の飼い主様は私と話がしたいと言って他の女性を下げたのだ。
えっ、これってチャンスなの?
このチャンスを是が非でも掴む。そこから私は質問を無難に答えていく。
「君の名前は?」
「ミナミ」
「年齢は?」
「16歳です」
「料理は出来る?」
「知ってる食材と調味料があればできます」
「なんで奴隷になったの?」
なんて言おう。でも正直に言うほうがいいよね。
「私は健全な体を維持するのに人の3倍ほど食費がかかるそうで、貧しい村で育ったため村から奴隷として売られました」
「そう。スキル持ちでしょ?そのスキルで打開策はなかったの?」
スキル持ち?高い金額の分特殊なスキルを持ってるから、そのスキルを使わなかったのかを聞いてるのかな?
「時間に対して知識が乏しい上に魔物を初めて見た時に恐怖しましたので」
お付きの女性の人が確認している。
「ミロード、何かわかったの?」
「ああ、俺の同郷の人で間違いない。痩せ細っていたから別人かと思ってね」
同郷?私の村にはこんなカッコイイ人はいなかったわよ。
「そうだったのね。ならその子で決まり?」
えっ、買ってくれるの?
「本人が望むのならな」
是非、お願いします。
その会話を聞いて奴隷商の人が話に入ってきた。
「この奴隷は特殊なスキルを持っておりますので少々値がはります。それとこの奴隷に関して一つだけ条件が加算されております」
「条件とは?」
「夜の営みを許可する代わりに食事を3倍の量を提供して欲しいと」
「断ると?」
えっ、やはりこんな貧相な体じゃダメなの?お願い断らないで。
「契約魔法で条件に記載されますので、夜の営みを無しにするか他の方に購入していただくことになります」
「なぜ条件があるのだ?」
そんなに夜の営みは嫌なの?お願い、なんでもするから条件をつけて。
「奴隷として買い取る時にその子と親御さんの要望で契約を交わしているのです」
「なるほど」
飼い主の方は私の目を見つめて問いかけた。
「好きではない人に抱かれてもいいのか?」
この方には正直でいたい。
「本当は嫌よ。でも、毎日毎日お腹が減って辛いの。生きるためにはしょうがないのよ。それにこんな痩せ細った体を求める殿方もいないでしょうけど」
なんで愚痴がでてくるのよ。私ってバカなの?
「その条件を約束すると言ったら俺の奴隷になりたいか?」
そんなの当たり前でしょ。
「お願いします。何故か解らないけど貴方を見ると心がすこし安らぐの」
飼い主の方は頷いてくれた。本当に泣くほど嬉しい。
こうして私は無事にこの方に買われることになった。
さらに一番綺麗でボンキュッボンの女性ターナて子が一緒に買われた。
奴隷仲間が増えるのは嬉しいけど、何か複雑な気持ち。
夜伽は別枠で買ったってことかな?
それともお付きのめちゃくちゃ綺麗な方がいるから要らないのかな?
あっ、夜伽がなくてもご飯は3倍食べれるよね?
私の心の中では不安ばかりがつのる。
その後家に連れられてお風呂に入れさせられた。
ビックリしたことに一緒にお風呂に入れてくれた子も奴隷だった。
こんなに可愛いのに奴隷なの?夜伽をしてるのかな?
気になるので聞いてみた。
「あ、あの、一つ聞いてもいいですか?」
「な、なんですか?」
「ご主人様と夜伽はどのくらいの頻度でされるのですか?」
ターナも同じ気持ちだったのか、目を輝かせている。
「ご、ご主人様は、よ、夜伽をしてくれません」
えっ、こんな可愛い子に手を出してないの?なんで?
疑問ばかりが浮かんでくる。
お風呂から上がるとバスローブ姿に着替えさせられた。
これはそう言うことよね?
何故かご主人様も疑問に思ったらしい。
「何故にその恰好?」
「脱ぎやすいようにと気を遣ったのですが、ダメでしたか?」
「リーリア、有り難う。でも、夜の営みはしないよ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん。隣りを見てごらん?鬼の形相のサラサがいるでしょ?俺はまだ死にたくないからね」
やはり夜伽はしてくれないの?私の食事は?
居ても立っても居られず言葉が口走ってしまう。
「そ、それは困ります。大量の食事を食べれると喜んでいたのに、約束を破るつもりですか?」
ご主人様は優しく微笑んでくれた。
「ちゃんと食事は提供するから安心して。まずは食事にしよう」
えっ、夜伽なしでもご飯を沢山食べれるのなら本当に嬉しい。奴隷だからあまり期待してないけど今までよりお腹一杯食べれるならなんでもいいや。
でも、やはり私には魅力がないのね。
このまま奴隷のままずっと恋もしらないまま終わるのは寂しいな。
今の状況が奇跡的な状況と判っていても欲がでてしまう。
私ってこんなに卑しい人間だったのだと痛感してしまう。
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