第44話 閑話 ミナミ2

私はスキルを確認していく。


・医食同源

デメリットがあるが食を食べることで健康で丈夫な体を得る。

状態異常にかかりにくい。


・速読

3倍のスピードで本と読むことが出来る。

右脳を最大限まで活用すると並列思考が可能となる。


なるほど、デメリットが気になるけど食べることで健康になるなら問題ないよね。

太らないように気をつけないといけないなー。


速読に関しても極めれば並列思考が可能になるなら魔法職がいいのかしら?


考えただけでワクワクする。


あ、時間がないんだった。???のスキルをさっそく選ぶ。


いろいろあり過ぎて迷う。


魔法職?それとも強力な装備?


でも、異世界物と言えばテイマーよね。


可愛い子と一緒に旅するなんて憧れよね。


よし、決めた。やはりテイマーだ。



こうして私は異世界に転移したのだけど、今では後悔しかない。


その理由は2つ。


一つ目はデメリットの効果だった。飢え死にで亡くなった体の持ち主の知識では消費カロリーが3倍になるみたい。

100人程の貧しい村に産まれ、今年は魔物や災害などで畑が荒らされ皆食べる物がない中、私は3倍の消費カロリーが必要なんて想定外。

唯一の救いは状態異常になりにくいことから、食べれそうな葉っぱやきのこを食べて凌いでいる。


二つ目はテイマーのスキルだ。村の近くにいたスライムを頑張って弱らせたのにテイマー出来なかったの。

スライムって定番の仲間だよね?なんでテイム出来ないのよ。

おまけにゴブリンなんて今の空腹の状態で倒せるわけがない。

捕まったら繁殖の道具とされると聞いた時はぞわっとしたわ。

あんな醜い姿の魔物に抱かれるくらいなら奴隷の方がましだわ。


そんなことを考えた私に罰が当たったのだろうか?

一年後、両親が私に奴隷になることを勧めてきた。

今年の畑も災害の被害から立て直すのがやっとで、村から数人奴隷になることが決まったそうだ。

その中で、どんどん痩せ細っていく私に関しては奴隷になって買われた方が今よりも食べれるだろうと…。

さらには奴隷にも条件をつけれるから、夜伽を許可する代わりに3倍の食事を要求することも出来ると言われた。


まあ、勧めてきてはいるが村の方針で私の奴隷は決まってそうだ…、私は逃げるか奴隷になるかの二択に迫られた。


逃げても魔物に殺されるか道具にされるかの可能性の方が高い。


結局奴隷になるしかない。


毎日毎日空腹状態にも耐えられない。


落ちるところまで落ちるなら条件をつけて運に頼ることにした。


まあ、こんな痩せ細った魅力のない女を抱きたいと思う人がいるとは思わないけど。


それにしても運が悪いにも程がある。たった一度でいいからお願い、酷い飼い主にだけは当たらないで…、神様本当にお願いします。


その後私は奴隷に売られた。

一ヶ月の間で数人の方に査定として見られたが一向に売れない。


珍しいスキルがあるので値段が少し高いせいもあると言われたが、私ってそんなに魅力がないのかな?


さらに一ヶ月経っても未だに飼い主は見つからない。


もう空腹に耐えられない。


私は何のために転生したのだろう?


動ける足はあるのに気力が追い付かない。恋がしたっかだけなのに今は奴隷である。


私の運がないのが悪いの?

それともスキル選びを間違ったから??


土下座でも何でもするから誰か助けて。


お願いだから助けて。


誰かーーーーーーー。


そんな心からの叫びの直後に査定が入った。


今回奴隷を買いに来た男性は珍しく若い。


今までは奴隷を買いにくる男性は太った殿方ばかりだったので、凄くかっこよく見える。


すこし伸びきった綺麗な紫の髪に整った鼻筋。そして真っ直ぐで綺麗な瞳に目が離せない。さらには優しい雰囲気がにじみ出ている。


こんな素敵なご主人様に買われたい。


周りを見ても私を含めた6人全員が目を輝かせている。


今気づいたけど、皆私よりも綺麗で魅力的な体をしている。


一番みすぼらしい私がスキルのせいで一番高価な金額だし無理だよね?


本当に泣きそう。


全ての運を使い果たしてもいいからこの人に買われたい。


夜伽でも何でもするから…。


そんな気持ちを伝えられるチャンスがやってきた。


奴隷一人ずつに一言だけアピールできる時間がきた。


私はなんて言おう。


夜伽?恥ずかしくて言えない。


そして口にでた言葉は無難な言葉だった。


「な、何でもするので助けて下さい」


この言葉を言った瞬間私は終わったと思った。


メイドを望んでいるのなら、料理のことを言えば良かったのに…。


なんで私っていつもこうなんだろう。


値段が高い上に貧相な体、さらには望みのメイドの技能も言えずにアピールの時間は終わり今では絶望を感じていた。










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