第43話 閑話 ミナミ

私の名前は滋賀 みな美。


5歳の時に交通事故に合い足が動かなくなった。


それ以来ずっと車椅子生活だ。


小学校・中学校・高校の体育の授業の時は楽しそうな姿を眺めていた。


みんなが走り回る姿を見ているのが辛い。


なんで私だけが…と思う日々である。


そんな私の祐逸の楽しみは小説やマンガを読むことである。


少女マンガはもちろん青年マンガや異世界物まで、ありとあらゆるジャンルを読み尽くした。


もちろん学生の私じゃお金が足りないから、無料のネット小説を読み漁る日々。


恋がしたいな。走りまわりたいな。


たったそれだけで私の世界は変わるだろう…。



そんなことばかり考えていた日、突如頭の中に声が聞こえた。


「汝求めるは謳歌の日々。望む代償は人生。Yes or Noで答えよ」


なになに?どういうこと?


まって、まって、これはよくある異世界物のストーリー?


まあ、幻聴かな。


でも、謳歌の日々を過ごせるなら今の人生を捨ててでも行くのになー。


そんな安易な気持ちで「Yes」を選んだ。



次の瞬間私は真っ白な空間にいた。


周りを見渡すと10数名の男女がいた。



皆周りをキョロキョロと見ながら様子を覗っている。


そんな中一面が眩い光と共に一人の女性?が出現した。


「さてさて、皆様ご機嫌麗しゅう」


綺麗な声。やはり神様なのかな?


「あれれ、誰も反応がないですねぇー。可笑しいな、ここには何かを熱望する程の想いを持った者が訪れるはずなのに」


その声を聞いた瞬間に一人の男が声にした。


「確かに俺はマンガのようなハーレムを作りたいと熱望したがそれが叶うのか?それとお前は誰だ?」


私も思っていることを代弁してくれた。


「自己紹介がまだでしたね。私は貴方達の世界で言うならば時の女神よ」


………。


女神と聞いて納得している者、怪しんでいる者、状況が解らない者と言った感じで女神を見ている。そんな中私は「きたー」と心の中で叫んだ。


「そこの貴方、正解よ。貴方達の世界でもマンガや小説で流行っている転生物のお話しですよ。


もちろんまだ貴方達は死んでいないので、元の世界にお返しすることも出来るので安心して内容を聞いて下さいね。ちなみに元の世界に帰る際にはこの時空にいた時の記憶は消えるから」


そんなことをいいながら今後の話をする時の女神。


「簡単に言えば、心から熱望した夢や希望を他の世界で叶えて見ないって言うお・は・な・し」


私は居ても立っても居られずに質問をしていた。


「私は自由に走り回りたいと熱望したわ。それが可能と言うこと?」


「ええ、健全な体で異世界転生するので大丈夫ですよ」


さらには先程の男も割って入ってきた。


「な、なら、俺の熱望したハーレムも可能か?」


「異世界では魔法や魔物が存在する世界なので、人口増加のためにも一夫多妻制の国が多いから貴方次第ではハーレムも可能よ」


「よっしゃー。俺は行くぜ。マンガみたいに転生特典はあるのか?」


「あらあら、乗り気なのはいいですが他の方達もいるので待って下さいね」


そう言うと一人一人に声を掛け聞いていく女神。


そして全員に聞き終わると女神は指をパチンとならした。


その瞬間、元の世界を希望した者が一斉に消え異世界を希望した者だけが残った。


転生すると答えた者達に女神は開口一番こう言い放った。


「さぁ、地獄の謳歌の幕開けよ。自らの手で欲望を手に入れなさい」


女神の言葉に全員が疑問符を抱かせる。


「おい、地獄の謳歌ってどう言う意味だ?」


「そんなに凄んだってダメですよ。ただで願いが叶うはずないでしょ。自らの手でって言ったでしょ」


「だからどう言う意味だ」


ハーレムの男はもの凄い剣幕で問いただしている。


「頑張れば余裕で手に入るけれども努力しないと手に入らないと言うことよ。まあ、もちろん願望した願いの割合に対して大変さも変わるけどね」


私も状況を確認するために質問した。


「健全な体で転生するのならば私の願いは叶うのよね?」


「貴方の願い程度なら転生条件にて適うでしょうね。ただ、もしも健全な体を手に入れたとしても空腹の状態で走り回る元気があるかしら?あ、ヒントを与え過ぎたわね、これで質問はお終い」


納得のいかない者が叫んでいるが、女神は睨みつけるだけで静かにさせていた。


「それでは次に移りましょう。次と言っても最後ですがスキルについてのお話しですよ。まず一つ目のスキルは貴方達の願いに纏わるスキルを手にします。二つ目は貴方達が生きてきた人生に反映したスキルが手に入ります。最後の一つは今までの経緯を踏まえてスキルを今から選んで下さいね」


そう女神が言うと目の前に透明なビジョンが現れ、プロフィールとスキル一覧が表示されている。


「この時空の場所で長居はできないので、10分以内に決めて下さいね。スキルを決めることなく10分経つと自動的に転生されるので悪しからず」


そう言い残して女神は消えていった。


私はすぐに自身のスキルを確認した。


スキル・≪医食同源≫≪速読≫≪???≫


これが現在のスキル。


???は今から決めれるみたいね。


異世界物の小説を沢山読んでて良かったわ。

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