第41話 階層or改装

それからは料理屋の改装の合い間に奴隷を見に来た。


商業の街とあって、多種多様の奴隷がいるらしい。


冒険者本部からサラサが情報を入手してくれたので、今は一番人気の奴隷商に来ている。


奴隷商が人気と言うのも変な感覚である。


今回は余程のことがない限りは欠損奴隷は買う予定はない。


ランクがあがるまではこれ以上目をつけられたくないのだ。


奴隷商の店主ツーとサラサが話をしている。


「家の家事や料理が出来る奴隷をお願いするわ」


「畏まりました。家事や料理が出来る者なら少々お値段が高くても宜しいでしょうか?」


サラサは俺を見る。


「問題ない。取り敢えず見せてくれ」


まあ、セツナとリーリアに関してはお金があまりかかっていないので褒賞で貰ったお金はまだまだある。


ただ、改装費なども費用がかかるため、安いにこしたことはない。


しばらくしてツーが6人の女性を連れてきた。


皆10代~20代と言ったところだろうか…。


「スキルに関係なく、料理と家事が出来る者を連れてきました。もちろん夜のご奉仕が出来る者もおります」


「最後のは必要ないわ。私がいれば十分よ」


サラサは何を言っているのだろうか。


皆奴隷にしては整った顔をしている。


あー、なるほど、俺はお金を持っていると思われたか。冒険者証を呈示したのは失敗だったかな。


そんなことを考えながら一人一人のスキルと表情を見ていく。


サラサとリーリアに決めてもらう予定だったが、どうしても気になる者がいた。


俺はツーにその者と話がしたいと言って他の者を下げてもらった。


「ミロード、どうしたのよ?一番痩せ細った奴隷を残して何かあるの?もしかして顔が好みとか?」


「後で事情を話すから確認させてくれ」


「わかったわ」


俺は一人だけ異常に痩せ細った黒髪の女性と話をする。


「君の名前は?」


「ミナミ」


「年齢は?」


「16歳です」


「料理は出来る?」


「知ってる食材と調味料があればできます」


「なんで奴隷になったの?」


「私は健全な体を維持するのに人の3倍ほど食費がかかるそうで、貧しい村で育ったため村から奴隷として売られました」


「そう。スキル持ちでしょ?そのスキルで打開策はなかったの?」


「時間に対して知識が乏しい上に魔物を初めて見た時に恐怖しましたので」


やはり間違いない。


「ミロード、何かわかったの?」


「ああ、俺の同郷の人で間違いない。痩せ細っていたから別人かと思ってね」


「そうだったのね。ならその子で決まり?」


「本人が望むのならな」


その会話を聞いてツーが話に入ってきた。


「この奴隷は特殊なスキルを持っておりますので少々値がはります。それとこの奴隷に関して一つだけ条件が加算されております」


「条件とは?」


「夜の営みを許可する代わりに食事を3倍の量を提供して欲しいと」


「断ると?」


「契約魔法で条件に記載されますので、夜の営みを無しにするか他の方に購入していただくことになります」


「なぜ条件があるのだ?」


「奴隷として買い取る時にその子と親御さんの要望で契約を交わしているのです」


「なるほど」


俺はミナミに対して目を見て問いかける。


「好きではない人に抱かれてもいいのか?」


「本当は嫌よ。でも、毎日毎日お腹が減って辛いの。生きるためにはしょうがないのよ。それにこんな痩せ細った体を求める殿方もいないでしょうけど」


心が弱っていて卑屈になっているみたいだ。


まあ、日本で不自由ない生活をしていたのなら無理もないか。


「その条件を約束すると言ったら俺の奴隷になりたいか?」


「お願いします。何故か解らないけど貴方を見ると心がすこし安らぐの」


俺はツーに言って購入する旨を伝える。


「あ、もう一人同じ条件でサラサとリーリアで選んでおいて。ツーさん、もう一人購入しますのですこし割り引いて下さいね」


ツーは手を擦り合わせて笑顔で答えた。


「ええ、ええ、もちろんです」


サラサとリーリアが選んでいる間に俺はミナミと奴隷契約をした。


もちろんもう一人の奴隷とも奴隷契約をして無事に家に帰る。


あ、二人の奴隷が増えたから部屋数が足りないや。


まあ、改装のついでに一番広い部屋を二部屋に区切ればいいか。


こうして思いもよらずに日本からの転生者を奴隷として買うことになった。


もちろん事情が事情だけにいずれ奴隷解放する予定でいる。


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