第40話 料理屋
俺は急いでこの周辺の立地や空き家などを調べた。
一歩奥に入っているが、評判さえ良くなれば問題なさそうだ。
空き家に関しては隣りが空いていた。料理屋の隣りに何故こんな綺麗な家が空いているのか不思議でならない。
不動産屋に聞いてみたら、なんでも隣りの料理屋の匂いが原因で太ったからだとか。
これ以上太ると捨てられるからと言って他の家を購入したのだとか。
うん、たぶん貴族の愛人さんなんだろうな。
そんなことを考えながら不動産屋の店員に中を見せてもらった。
店員さんが丁寧に案内してくれたのだが、一番の驚きはお風呂があることだ。俺は部屋数やキッチンとトイレの確認を終えると即決で購入することにした。
何故なら現金即決の場合は20%の値引きをしてくれるそうだ。
さらに冒険者証を見せると10%の値引きをしてくれた。
まんまと不動産屋の手の平で転がされた感はあるが、俺自身が満足だから問題ない。
それから食材を大量に買ってから宿屋に戻るが誰もいなかった。
夜になると皆戻ってきたので話をする。
「えっ、今なんて言ったの?」
「家を買ってきた」
「少しは相談くらいしなさいよ。結婚したら私の家に…」
サラサの声は小さくなっていき最後の方の声は聞こえなかった。
「えっ、何て言ったの?」
「なんでもないわ。それよりどんな家なの?」
「鍵はもう貰っているから明日引っ越そう」
「私達も住んでいいの?」
「もちろん。セツナもくるよね?」
「一緒に住んでいいなら、もちろん行くぞ」
こうして翌日皆を連れて案内した。
「料理屋さんの隣りなのね」
「あ、言ってなかったっけ?この店も俺が経営して立て直すことになってるよ」
「あんたねぇ、そんな大事なことは先に言いなさい」
「ごめん、ごめん。俺としてはどうしても譲れなかったんだ」
「ミロードがそんなに拘るなんて驚きね」
「後で紹介するよ、まずは新しい家に入ろう」
こうして5LDKの家を案内したのだが、皆トイレとお風呂に魔道具が設置されていることに驚いていた。
「いいでしょ?部屋も5部屋あるから一部屋ずつね。後一つは部屋は家の掃除や料理が出来る奴隷を買おうと考えてる」
「その時は私も一緒に言っていいかしら?」
「別にいいよ。あっ、リーリアの仲間になるしリーリアに決めてもらう方がいいかな?」
「わ、私は誰でも大丈夫。それよりも、ど、奴隷は、ご、ご主人様と一緒の部屋」
「奴隷だとか気にしなくていいよ。可愛い女性なんだから一人の部屋で大丈夫だよ」
可愛いと言った言葉にリーリアの顔が真っ赤になる。
「ミロードは口説いてるの?」
「ち、違う、違う。ただ正直な感想だよ」
「そうよね。一緒に寝るなら私が先よね」
「そ、そうだね。」
やばい、サラサの尻に敷かれる未来しか見えない。
次に料理屋に皆で入り料理を食べてもらう。
皆、どういっていいか悩んでいる。
「微妙でしょう?」
「そ、そうね。お金を払ってまで食べようとは思わない」
「ね、味覚が違うのがわかるでしょう?」
俺はウサギの店員さんに伝えるが、肝心の名前を聞いていなかった。
「ところで名前は…?」
「あんたねぇー、名前も知らないのにこの料理屋のオーナーになるつもり?」
「そうだよ。ちょっと待ってて」
俺は昨日買った食材を使って親子丼やカツ丼を作っていく。
ちなみに店員さんの名前はラビと言う名前だった。
皆厨房で俺が料理をする姿に驚いていた。
「ミ、ミロードは料理も出来るのね?」
「えっ、簡単な料理くらいしか作れないよ」
皆が呆れた目で見てくる。
出来上がったのでライスの上に乗せて完成っと。
俺が作った料理を食べてもらう。
「お、美味しいです」
「これはいけるなぁー」
「こんな料理があるのね?」
皆絶賛なのだが、一人だけ首を振ってフルフルと震えている。
「ラビには濃ゆいかもね。ただ、皆との味覚の違いが分かったでしょ?」
「ち、違うんです。確かに濃ゆいとは思いますが、最後に卵の優しさが口の中を包んでくるのです。絶品なのです」
なんでやねん。今までの味覚は何処にいった…。
「ま、まあ、美味しいならよかったよ。他にもライスに合う料理を教えるから覚えて行ってね」
「はい」
こうして俺は定食形式の料理も教えていった。
ついでに料理屋の外装も綺麗にするようにラビに伝えたのだが、何故かサラサが私がやると名乗りを上げた。
こうして一ヶ月後にオープンする予定でいろいろと調整して行く。
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