第38話 契約2

一階層はゴブリンの魔物しかでてこなかった。


いくつかの部屋を抜けると下に降りる階段を見つけた。


「購入した地図は正確見たいだね」


「それはそうよ、ギルドから買ったからね。それに低層が間違っていたら信頼に関わるわよ」


「それもそうか。じゃあ、どんどん進んでいこう」


2階層に降りるも洞窟といった感じの土壁で一階層と変わりがない。


ただ変わるとしたら魔物の種類が増えたことぐらいだ。


ゴブリンと同時に大きなカエルがでてきた。


なんでもフロッグスと言う魔物らしい。


大きな舌がやっかいだそうが、近づかなければ問題ない。


精霊魔法を放つ。


「ウインドカッター」


風の刃がフロッグスの核まで切り裂き難なく倒した。


「低層だからなのか大したことないないね」


俺の言葉に全員が呆れている。


「ここは上級のダンジョンだぞ。余程の実力がないと一人で簡単に討伐なんてできるか」


「ええ。それにミロードの魔法速度と威力はなんなのよ」


「速度は精霊魔法だからね。そう言えば威力も上がっているのかな?風魔法は契約してからしか使ってないから解らないや」


「す、すご、すごい、です」


片言だが、リーリアが喋った。


「おー、リーリアが言葉を話せるようになったのか?」


「昨日まで一音を話すのがやっとだったわよ」


「もしかしてレベルアップして体全体が強化されたからじゃないか?」


「それだ。衰弱していた喉や声帯もすこしずつ強化されたのかも。よし、どんどんレベルを上げよう」


こうして俺達は無我夢中で魔物を狩っていった。


気付けば10階層まで来ていた。


「リーリア?」


「な、なんですか、ご主人様」


「そんだけ話せるなら十分だな。魔力操作の練習は順調か?」


「は、はい」


「じゃあ、魔力を目に集めて見て」


「こ、こうですか?きゃっ」


リーリアは初めて風精霊を見て驚いたようだ。


「初めましてリーリア、僕は風精霊だよ」


「は、初めまして。」


「その精霊はずっとリーリアの側で守ってくれていたらしいぞ」


「そ、そうなの?」


「うん。よかったら僕と契約して欲しいな」


「ど、どうしたらいいの?」


「僕に名前を付けてよ」


リーリアは俺を見る。


「好きに名前を付けてごらん」


リーリアは頷き考え込んだ。


「ウィンでウーちゃんはダメかな」


風精霊は喜びの舞を踊っている。


それと同時に契約の光がリーリアに吸収された。


「よしこれでリーリアの強化も済んだことだし帰ろう」


「ミロード様、10階層のボスを討伐しないのか?」


「今日はね。リーリアに魔法の練習も必要でしょ」


「そうだな、急ぐ必要はないしな」


「あんた達何言ってるのよ、一日で10階層も突破するだけで常識外れよ」


サラサは呆れてため息をついた。



5階層ごとに転移石があるので帰りは一瞬である。


ダンジョンの外に戻って受付嬢に冒険者証を提出する。


「えっ、もう10階層?」


受付嬢は驚き過ぎて声にでてしまった。


「守秘義務があるはずですよ」


「ス、スミマセン。あまりの衝撃に」


「貴女の気持ちは痛いほどわかるから今回は大丈夫よ」


「有り難うございます」


サラサの反応と一緒だった。


でも、人が驚く姿を見るのは気持ちがいいな。


そんなことを考えながら俺はセツナと見つめ合って頷いた。


帰りも馬車で宿屋まで戻り、今日はゆっくりと休んだ。


翌日は休日として、皆に好きに過ごしてもらう。


奴隷のリーリアはどうしていいか分からずアタフタしている。


「このお金で好きに一日過ごすといいよ」


俺は金貨一枚を渡した瞬間、サラサに頭を叩かれた。


「何処にいきなり金貨一枚渡すバカがいるのよ」


「えっ、ここに。ほらそれに洋服や下着だってまだ最低限しかないでしょ?一緒に買い物に行ってやってよ」


「それはいいけど。奴隷に甘くない?」


「別に奴隷だと思ってないし、仲間でしょ」


「やっぱりミロードね。そんなところが大好きよ」


「有り難う。俺もサラサは素敵だと思うよ」


「何処が?」


「えっ?」


「何処が?」


俺の視線が何故か胸に向かった。


「正直者ね。触る?」


「今度ね。もちろんサラサの性格も素敵だと思ってるよ」


俺の言葉を聞いてサラサはビックリしている。


今度と言う言葉を聞いたサラサは固まっているみたいだ。


そんなサラサを置いて俺も買い物に出かける。


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