第37話 チート

数日後。


俺はユニスと契約したことでチートとも思えるほどに強くなっていることを実感した。


本当にこのスキルはヤバイな。


何の因果なのか、この≪まぜる≫のスキルが来てくれて本当に良かった。


始めは虹の指輪が最強だと実感していたのだが、本当にヤバイのはこの≪まぜる≫のスキルだった。


ペルルという相棒も居るし、本当に最高である。


しかし、疑問なことが一つある。


ペルルは俺がユニスと契約してからは焼きもちを焼かなくなった。


それはそれで寂しい気持ちもあるが、女性関係を考えると有り難い。


さらには水属性だからなのか、ユニスとペルルは凄く仲がいい。


ペルルの頭の上にユニスが乗っているところが可愛くてしょうがない。


そんな日々を過ごしているとダンジョンの準備ができたそうだ。



馬車に揺られて約1時間ほどで到着した。


ダンジョンは塔のようになっており、その周りに屋台や集会所や受付などがある。


集会場は臨時の仲間を雇う場所見たいだ。


このダンジョンは恐らく100階層の上級ダンジョンだと言われている。


未だに最上階に到達した者がいないので定かではないが。


ダンジョンは初級から上級までの3種類とその上に超級と言うダンジョンがあるそうだ。


数々の優れた冒険者達が幾度となく多くの場所で挑戦したが、上級を制覇したダンジョンの数は少なく、未だに未知数だと言われている。


何故、いきなり上級だって?


それはここが一番近かったからである。


俺達は受付で許可証を貰い初のダンジョンに入っていく。


「へぇー、ここがダンジョンか」


「私も初めて入るわ」


リーリアもうんうんと頷いている。


「ダンジョンによっては違うが普通はこんなもんだ」


通路は思ったよりも道幅が広く天井も高い。


塔の形をしているが、中の広さとは関係がない見たいだ。


何でもダンジョンの階層自体が異次元となっているそうで、ダンジョンによって姿も形も変わると言われた。


そんな話をしているとダンジョン初の魔物がでてきた。


「ゴブリン?」


「ああ。ただ上級ダンジョンだけあってゴブリンでさえ油断できないぞ」


通常のゴブリンよりも大きく感じる。


俺と同じくらいの身長だけではなく、筋肉が盛り上がっているのが見える。


俺は剣を構えてゴブリンと一騎打ちを始める。


サラサとリーリアは驚いた表情で見ている。


最近はセツナに稽古をつけてもらっているので、炎剣術で対応する。


ゴブリンと距離を縮め、間合いに入った瞬間に両方が上段から振り下ろした。


俺の剣がゴブリンの太いこん棒と交わった瞬間、俺の剣が一刀両断で焼き切った。


セツナは感心した様子で見ている。


「どう、セツナ?」


「どうもこうもねぇ、ただの剣術じゃないじゃないか」


「びっくりした?」


「いいや、それでこそミロード様だ」


「何がどうなってるの?ミロードは魔法使いでしょ?なんで剣で戦ってるのよ?」


サラサは慌てふためきながら訪ねてきた。


「えっ、剣術スキルももってるから?」


「から?じゃないわよ。奇跡的な回復魔法が使えて、神秘的な虹の魔法が使えて、さらには剣術って…あんたバカなの」


何故か酷い言われようだ。


「あら、オーラを見て玉の輿を考えてついてきたんじゃないの?」


「確かに虹色のオーラを見て…、あ、だから虹色の魔法使い?玉の輿じゃなくてあんたの目が好きなのよ」


堂々とした告白にリーリアの顔が真っ赤になっていく。


「うそうそ、有り難う。サラサは始めから養ってあげるって言ってくれてたもんね」


「今では養ってもらってる気分よ」


セツナは見兼ねて声を掛ける。


「そんなに仲がいいのにどうして付き合わないんだ?」


「私が聞きたいわよ」


「そう言えばなんでだろう?付き合ったら後に引けない気がするから?ペルルが焼きもちを焼くから?」


そう言えば、ペルルが焼きもちを焼かないならありなのか?


「なんで疑問形で私に聞くのよ。てか、ここは本当にダンジョンなの?何て会話をしてるのよ」


「確かに」


俺らは笑い合いながら一階層を攻略するのであった。


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