第36話 昇格&契約

馬車の中で今後の話やダンジョンの話で盛り上がっていたら、今回は盗賊に襲われることもなく無事にラングード都市に着いた。


サラサ達がいる宿屋に向かい、無事に護衛依頼を終えたことを報告する。


すぐさまサラサと共に冒険者ギルドに向かい冒険者証と依頼達成の紙を渡すと、Cランクの昇格をしてくれた。


さらにギルド嬢がサラサに報告している。


「今回の護衛依頼にて盗賊を討伐しておりますので、Bランク昇格達成まで後一つとなっています」


「分かったわ、有り難う」



この言葉を聞いた周りの冒険者がざわついている。


「おい、あいつBランクまで後すこしだとよ」


「マジか、こっちに来て間もないだろう」


「確かまだ二人組のパーティだろう?」


「ああ、じゃあBランク昇格は難しいな」


「そうだが、二人組でワイバーンの討伐できたら本物だな」


「二人組だって、私達のパーティに誘っちゃう?」


始めはDランクだったので相手にされていなかったが、ランクが上がったことで何人かの冒険者が興味を持ちはじめた見たいだ。



宿屋に戻り皆に報告した。


「ほぉー、もうBランクに上がれるならさっさと行こうぜ」


「もう一つの条件はギルド職員を連れての特定の魔物の討伐よ…、大丈夫?」


「あー、ワイバーンとか聞こえてきたのはこのことか?」


「そうね、ここら辺ではワイバーンの討伐が一番近いかも」


「俺は空の相手は斬撃だけでは距離的に難しいが、ミロード様なら問題ないな」


ワイバーンかぁ、転生前の本では良く話にでていたけど実際はどうなんだろう?


「うーん、どうしようかな?試したい魔法もあるしな」


「なら、一旦ダンジョンに行かないか?パーティを組めばリーリアのレベル上げにも丁度いいぞ」


「確かに。ついでに戦闘員ではないけどサラサのレベルも一緒に上げておこう」


「えっ、いいの?」


「確か、ダンジョンは6人まで一緒に転移石で移動出来るんでしょ?」


「そうだな、枠は余っているしレベルを上げることで体も丈夫になるしな」


こうして話合いの結果、次はダンジョンへと向かうことにした。


もちろんパーティ専用のリングなど準備も必要なので、買い出しなどをセツナとサラサに任せて俺はリーリアと二人で魔法の練習に励んでいる。



まあ、練習と言うよりは兼ねてより考えていたことを実行するだけなのだが…。


俺は精霊にお願いをした。


「なぁ、精霊達にお願いがあるんだがいいかな?」


「何々?」


「俺に精霊魔法を教えてくれないか?」


精霊達に頭を下げて頼んで見た。


「いいよ。むしろリーリアを助けてくれたから僕から加護を上げるよ」


「有り難う、何の加護?」


「僕は風だよ」


人型の精霊から加護を貰えたので、次は翼を生やしたユニコーンに似た精霊を見つめる。


喋れないのか、ずっと俺達は見つめ合っている。


その時、ふと頭の中に名前と言う単語が浮かんできた。


名前?


疑問に思いながらも翼を生やしたユニコーンをイメージして名前を考えて見た。


分かり易い名前がいいな。


ユニクロ、ユニエス、ユニス、うん、ユニスがしっくりくるな。


そんなことを考えていたら、目の前のユニコーンが光りだした。


その光は俺の心臓に向かって吸収された。


「名前をくれて有り難う。ユニスだよ」


「うん?初めて聞く声だな」


「だ・か・ら、ユニスだってば」


「これは契約したのか?」


「そうだよ、嬉しい」


「確かユニスは陰の精霊じゃなかったか?」


「違うよ。正確に言うと陽だけど変わり者として陰のレッテルを張られていたの」


「そうか。その変わり者の理由を聞いてもいいか?」


「うん。僕の種族は処女に懐く習慣があるんだ。だけど僕だけは異例なのか男性の包容力に魅力を感じて…。」


今の言葉を聞いて風の精霊が割って入ってきた。


「ちょっとまちなさいよ。なら、なんでリーリアの側に居たのよ」


「処女の女性の近くにいればイジメられないと思って」


「そんな理由だったの?じゃあ、リーリアと契約したくて側に居たんじゃないの?」


「うん。違うよ」


「えっ、待って待って。ユニスは陰の精霊じゃないの?」


「違うよ」


「じゃあ、リーリアが声がでないのは僕達のせいじゃない?」


「まて、俺も一つ聞きたい。お前が陰の精霊じゃないなら、俺が放った気精はどうなるんだ?」


「あれは、僕の水属性と風属性が混ざった結果だね。気精が混じるところを初めて見たけどね」


まてまて、混じる?もしかして俺の《まぜる》のスキルが気精までも…。


ありえる。魔法が複合出来るならば気精だってありえる。


そこで俺は魔法を複合出来るか試して見る。


風の加護とユニスの属性の水魔法を左右の手で魔法を保ち一つにする。


「で、できた。マジか」


俺はあまりの興奮ではしゃぎまくった。


そしてユニスをこれでもかってくらい可愛がった。



これは後で聞いたことだが、何故俺と契約できたのかユニスに聞いたらとんでもない答えが返ってきた。


一つは、ユニスが聖属性寄りの水属性であることから聖属性を得意とする俺の器に反応したこと。


二つ目は、心の包容力と体の包容力(初体験済み)がある俺に魅力を感じたそうだ。


確かに最近体の包容力が…。


俺は心の中で騎士団長に感謝するのであった。










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