第35話 無限の可能性

翌朝、悪い予感が的中する前にすぐさまラングード都市に向けて出発した。


セツナもこれ以上ティファ王女の相手をするのが嫌で早く帰ることに賛同してくれた。


今は馬車の中で王都の貴族の話をセツナから教えてもらっている。


ティファ王女曰く、やはり虹色の不死鳥が話題となっているそうだ。


貴族以外にも王都の魔法師団長が俺を必死に探しているらしい。


なんでも、複合魔法で7人の魔法使いが虹色の魔法を放つなら理解できるが、一人の人間が虹色(7属性)の魔法をどうやって放つのだと言っていたとのこと…。


その話を聞いて俺は考えた。


もしかして虹の指輪は本来各色に適したスキルしか発動しないのでは?


偶然手にした《まぜる》のスキルが虹の指輪の虹色のスキルを発現可能にしたのではないのだろうか…。


そう考えると、もしかして俺は魔法を複合出来るのではないだろうか?


現在は虹色の指輪の魔法と身体能力しか使っていなかったが、魔法を習得し右手と左手で魔法を発動し《まぜる》のスキルを使用すれば…。


もしかして俺はとんでもないスキルを手に入れていたのではないだろうか。


正直言って、魔道具や魔剣の複合も試していないのに次々と無限の可能性が広がっていく。


さらに思考を廻らせる。


仮に7色が属性だったとしたら…。


あっ、そう言うことか。


俺は一つの可能性を導きだした。


なぜ、色によってスキルの強弱があるのか不思議だったが、もしかしたら自身の魔法属性の得意不得意が関係があるのでは…。


そう考えると俺は聖魔法が一番得意だということになる。


魔力操作はずっと練習していたので、試しに自身の魔力と知識を想像力に変え《ヒール》の魔法をセツナに向かって唱えた。


セツナの体が淡く光り体に吸収されていった。


「で、できた。セツナ体はどんな感じ?」


「一瞬で体が癒された感じだ。気力・体力も回復しているな。普通の回復魔法師と威力(性能)が段違いだ」


「そ、そう、それは良かった」


やはりそう言うことなのか。


今までは知識がある火魔法で魔法を練習していたのだが、未だ虹のスキルの赤色も発動していないことからも苦手分野に分類されるのではないだろうか。


そう考えると全て辻褄があう。


どの色が何属性かは解らないが、今後はこの方向性で考えながら試していこう。


虹の指輪とまぜるのスキルが交わることで無限の可能性を手に入れていたことに今更気付いたのである。


まあ、各色が魔法属性だけとは限らないのでゆっくりと調べていこう。


もしかしたら赤色は火魔法が苦手で発動しずらいのなら別のカテゴリーでもいいのではないのだろうか?


例えば、燃え盛る剣が赤色に反応する可能性だってあるはずだ。


「あっ」


そんなことを頭で考えた瞬間に虹色の指輪が反応した。


マジか、赤色が炎剣術のスキルになるなんて…。


嬉しいような、寂しいような複雑な気持ちである。


「ミロード様、何かあったのか?」


「いや、何でもない。王都の貴族の反応を聞く限りでは冒険者本部に行って正解だったね」


「そうだな。それに俺の体のことも今では伝わっているはずだからな」


「あー、確かに。早急に冒険者ランクを上げないと不味いな」


「まあ、ミロード様ならすぐに上がるさ」


「そうだといいけど。あ、実は剣術スキルも持ってるからセツナに剣術を教えてもらおうかな?」


その言葉を聞いた瞬間、セツナは目を見開いて驚いている。


「あ、ありえない…。」


「どうしたのセツナ?」


「回復魔法、攻撃魔法がSランク級なのに、さらに剣術スキルを持っているとは…感服致しました」


セツナが俺に対してさらに崇めるようになった気がする。


「剣術を教えることは問題ないが、強くなりすぎて俺を用済みにしないでくれよ」


「当たり前だ。こんなに頼もしい前衛は他にいないからな。さらに後衛は精霊魔法を使えるようになったらリーリアが入るから楽しみにしといて」


「それはヤバイな。早くダンジョンにミロード様とリーリアと一緒に行きたくなったよ」


たった3人のパーティなのに無限大の可能性を秘めていることでセツナとの今後の会話に花が咲き誇るのであった。






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