第33話 お尻

しばらくして疲れた顔でセツナが帰ってきた。


「お疲れ様、大変だったでしょう?」


「ミロード様はこうなることが分かってて行かせたな?」


「もちろん。で、どうだった?」


「私の側で守って欲しいと何回も言われたが、その度に即断ってやったぞ」


「王女様なのに嫌なの?」


「今の王家は好きになれん。今では恨んでないが、支援打ち切りも含めて良く思っていないからな」


「あー、あったね。忘れてたや」


「まあ、あの王女は悪くないから普通に対応はするが…な」


今の言葉を後に後悔することになるセツナ。



その後も何かにつけて呼び出されたセツナはティファ王女の元へ。


代わりにダンダンが俺の隣りに必ずやって来る。


「もう副隊長だと皆にバレてるのだから来なくてもいいのでは?」


「俺の分はいいのだが、セツナ殿の一人分を埋めに来ているのだよ」


「そう、律儀だね」


「そうそう、ミロードが盗賊を一人始末してくれた件だが…」


「あー、後方に逃げて行った盗賊に魔法を放ったやつか…。死んでたんだな」


「ああ。その盗賊なんだが、ある教会の紋章が体に刻んであった」


「へぇー、教会にも狙われているんだな?」


「教会と一部の貴族にだな」


「まあ、何となくわかるけど」


「それでだ、この件で教会に対してすこしだけ優位に立てるから褒美がでるそうだぞ」


「優位はすこしだけなんだ?」


「まぁな。紋章が刻まれているだけだから、辞めていった者や信者が盗賊に落ちてしまったなど言い訳されるのが目に見えてわかる。だが釘を刺すことが出来るのは有り難い」


「そう言うことなら遠慮なく褒美をいただくよ」


「親衛隊に入団できる権利か王女様に会える権利どちらがいい?」


「罰ゲームか」


「普通は喜ぶんだがな。しょうがない特別に三択にしてやろう」


「ああ、そうしてくれ。最後はなんだ」


「親衛隊隊長のお尻を触れる権利だ、さぁ、どれがいい?」


「親衛隊隊長のお尻でお願いします」


「えっ」


「えっ」


「…。…。…。」


「マジ?」


「マジ!」


「えっ、残りの2つの報酬じゃないの?」


「お前が3つの中から選ばせたんだろう」


「しょうがない、隊長に報告してくる」


「隊長は納得してるのかよ?」


「ああ、その2つの褒賞を断るやつがいるなら私の尻でも触らせてあげようと言っていたからな」


「そ、そう…」


俺はそれ以上の言葉がでてこなかった。


護衛依頼は続き今日は小さな村に着いたので、この村に泊まるそうだ。


小さな村なので冒険者はテントで寝るだけだがな。


まあ、スキルと魔道具のおかげでセツナ用のテントと俺のテントがあるのでのびのびと寝られるのが幸いかな。


そして、俺がテントで休んでいると親衛隊隊長のローズがやってきた。


ローズ隊長は騎士の装備を外して女性らしい服装だった。


勇ましい姿しか見たことがないからギャップ萌えである。


「こんな夜遅くに悪いな」


「大丈夫ですよ。それよりどうかされましたか?」


「そ、その、尻、尻を…」


「えっ、もしかして褒美ですか?あれは冗談じゃないんですか?」


「入団許可を断り、王女に会える権利よりも私の尻を望んだとダンダンから聞いたからな」


ダンダンのやろー、覚えとけよ。


「そ、そうですね」


「私も乙女でな。よ、よかったら、あ、灯りを消してくれぬか」


「え、本当に触らせるんですか?」


「一度言った限りは約束は守る。それに私もこんなに求められると嬉しいからな」


「そ、そうですか」


これ以上は女性に恥じをかかせるだけだから、俺はそっと灯りを消した。


灯りが消えた瞬間抱きしめられ、ふくよかな胸が俺の顔を包み込んだ。


この人は自分が美人なことに気付いていないのだろうか。


確かに体に擦り傷や激しい戦闘の後はあるが、長い赤い髪に吸い込まれそうな

赤い瞳。


ぷくっと艶やかな唇が魅力的で、体はしなやかな筋肉と女性特有の柔らかさが絶妙で細い体型なのに大きな胸が強調されている。


こんな女性に抱き着かれては…。


俺の手は自然と手を回しローズのお尻に触れていた。


小さな動物を触るように優しく優しく。


次第にローズの吐息が聞こえる。


「ちょ、ちょっとそれ以上は私の理性がもたん」


俺はその言葉を聞いてイジワルしたくなり、優しく触り続けた。


そして気付けばローズの唇が近づき俺の唇と重なり合っていた。







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