第27話 ギルド本部
その後俺は要塞のようなギルド本部に到着し、受付にてギルド長から頂いた紙を提出する。
受付のお姉さんが丁寧に手続きをしてくれた。
「特別支援の許可申請の手続きが完了致しました。今後の内容について説明致しますか?」
受付のお姉さんはサラサを見ながら聞いてきた。
「いえ、私の方でお伝えしますので大丈夫です」
「承知しました。それでは冒険者カードの更新だけさせていただきます」
俺は冒険者カードを渡すと更新され見た目が少し違う冒険者カードが帰ってきた。
えっ、これで終わり?と思う程に拍子抜けである。
サラサを見ると後でねと言われ、手続きも終わったので今日泊まる宿屋を探す。
「その冒険者カードを提示すると宿代も安くなるわよ」
「それは助かるな。ちなみにオススメの宿屋はある?」
「資料はもらってるから…、あ、ここがいいわね」
サラサに案内され着いた宿屋は民宿みたいな場所だった。
宿屋の受付にいた人に冒険者カードを見せて手続きを…。
「ほ、本当にわてらの宿に泊まっていただけるのですか?」
「えっ、とりあえずは泊まろうかなぁーと…ダメ?」
「と、とんでもないです。精一杯サービスさせていただきます」
部屋に案内されて、やっとサラサが話だした。
「冒険者ギルドの特別支援は、言うなれば冒険者ギルドが認めたと言うことなの。今はランクの低い冒険者でも、冒険者ギルドの支援があるなら期待ももてるってこと」
「それだけ?」
「ここは冒険者の街でもあるの。その冒険者が仮に凄い活躍をした場合、その宿屋にも恩恵があるってこと。知名度だけではなく、その冒険者が宿屋に寄付をする場合もあれば、ファンの子達がこぞって来ることもあるの。だから、サービスをしておいて損はないってこと」
「なるほどね、でも宿屋を変える人もいるのでは?」
「そう、だから精一杯のサービスを頑張ると言っていたの。ただし、冒険者の中にはそれをいいことに好き勝手する者もいるとか…。」
「その場合はどうなるの?」
「どうもしないわ。宿屋にもデメリットの方が多ければ断ることもできる。逆にあまりに酷いと冒険者本部に苦情を入れどうにかしてもらう」
「へぇー、凄い冒険者とは言え冒険者本部の言うことは聞かないといけないんだね」
「そんなことはないわ。全ては実力次第ね。まあ、流石に犯罪行為まで行くと冒険者証がはく奪となって捕まるから気をつけておいて」
「了解。まあ、正当防衛や戦争などない限りは大丈夫だと思う」
「信じてる。後は依頼内容も二つ上の者まで受けることが出来るわ。あ、現在のミロードならCランクに上がる試験も受けれるけどどうする?」
「どうしようかな?まあ、ずっとここに居るわけでもないし早めにランクを上げておくか」
「じゃあ、手続きをしておくわ」
うん、サラサが専属の受付嬢になってくれてよかったな。
「そう言えばサラサは冒険者ギルドに出勤しなくていいの?」
サラサは満面の笑みで答えた。
「特別支援を受けた冒険者の専属の受付嬢は週に一回だけ報告義務があるだけなの。それ以外はその冒険者のために情報収集など出来る範囲のお世話をするのが仕事よ」
「そんな仕組みになってるんだ。ってことは特別支援の解除もあるってことかな?」
「ええ、現在のランクを鑑みて成果や結果が望めない場合は特別支援の打ち切りになるわ」
「あら、それならすぐにランクを上げない方がいい?」
「ミロードなら大丈夫よ。それにセツナ殿もいるしね」
「ミロード様、魔物討伐は任せておけ」
「うん、期待してる。あ、そう言えば精霊族の奴隷の件はどうなったんだろう?」
「Cランク昇格の試験内容を聞くついでにギルド長に確認しましょう」
こうして俺達は翌日ギルド長の元へやってきた。
ギルド長が来るなり、昨日ぶりっとフランクに挨拶しながら精霊族の女の子のことを確認していく。
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