第25話 盗賊
順調に冒険者本部に向かっていたのだが、やはり途中に異世界御なじみの盗賊の襲来があった。
ギルド本部に向かう馬車の護衛とだけあって、Bランクの冒険者もいるので安心だと思う?
数は盗賊の方がかなり多いが、冒険者達は実力者だけあって無難に対応している。
ただ、護衛が優先なため攻めに転じられないでいた。
「ミロード様どうする?」
「サラサさんこの場合はどうしたほうがいいの?」
「もう少し様子を見て、負傷者がでそうになる前に参戦すると喜ばれるわね」
「だって、セツナ宜しくね」
「御意」
「体が治ったばかりだから無理しないように」
その言葉を聞くなりセツナは馬車の外へでていった。
俺も邪魔にならないようにセツナを確認する。
「へぇー、やはり早いな」
冒険者の横を抜け、一気に盗賊の元へ。
セツナは剣術と身体能力スキルがメインである。
もちろん他にも鬼人化や断絶剣などの剣術スキルはあるものの魔法は使えない。
それをありあまる剣術スキルで魔族を撃退したことが凄いのである。
そんなセツナは空中を走っているのではと思うほどの速さで盗賊を一刀両断していく。
あまりの速さに盗賊達は為すすべなく数人が倒れた。
それを見た盗賊の仲間は一斉に逃げていった。
冒険者のリーダーは盗賊の逃げる位置だけ確認して深追いはしない。
「セツナの動きがギリギリ見える程度か…、まだまだレベルを上げないとな」
そんな独り言を言っていると、何事もなくセツナが帰ってきた。
「動いた感じどうだい?」
「ミロード様のおかげで、久しぶりに脇踊る感覚だ。ただ、幾分体が鈍っているので昔のように戻るまでは待ってくれ」
今の動きを見る限り十分凄いのにあれで体が鈍っているのなら底が知れないな。
そんなこと考えていたら冒険者のリーダーがやってきた。
「違ったら申し訳ない、もしかしてセツナ殿ですか?」
「確かに俺はセツナだが…。」
「この度は増援いただき有り難うございます。もはや、引退されたと聞いていたセツナ殿に会えるなんて光栄です」
「そんな言葉はどうでもいい。俺を知っているってことはこの体が気になっているのだろう?」
「は、はい、失礼ながら」
「別にいい。冒険者ギルドに戻ったら皆に伝えておけ。奇跡が起こったとな」
「わ、わかりました」
こうして再度冒険者ギルド本部に向けて出発しだした。
ラッキーなことにセツナが倒した盗賊の装備が貰えた。
今使っているセツナの剣は、前回の戦争の報酬で貰った剣なのでセツナには物足りないことだろう。
セツナの奴隷費用は浮いたので、徐々に装備を揃えていかないとな。
そして、ついに冒険者ギルド本部がある商業の街ラングード都市についた。
この都市は貴族が一切いない商業組合が街を仕切っているそうだ。
その一角に冒険者ギルドがある。
遥か昔にダンジョンの周りに町ができ、冒険者が増え冒険者組合が出来たのが始まりだそうだ。
そしてダンジョンから得た素材やアイテムが多く産出されることで商人が集まり商業都市となっていった。
そんな商業都市の門は強固でありながらも鮮やかな色合いの外観に目がいってしまう。
「冒険者ギルド本部と聞いていたのでビックリした?」
「そうだな。こんなにも活気のある場所だとは」
「では、冒険者ギルドに向かいましょう」
こうして街の様子を眺めながら向かっていると要塞のような建物が見えてきた。
「おー、懐かしいなー」
「セツナさんを知っておいる人もまだまだいるかも知れませんね」
「どうだろうなー」
そんな会話を聞きながらミロードはまず冒険者ギルドに入っていった。
そして受付に並ぼうとした時、サラサに腕を引っ張られて列ではなくカウンター横を通って関係者の扉に入っていった。
幾つもの扉がある中、その中の一つの部屋に入りソファーに座らせられた。
しばらく待っていると背の高い女性が入ってきた。
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