第20話 デモンストレーション

俺は、秘宝水龍のネックレスを借りて丘の上に到着した。


今現在は月夜が真上に上り始める時刻である。


こうして全ての準備が整い太鼓の音がなり響く。


その後俺は精神を研ぎ澄まし、魔力増幅の指輪を使い最大限の魔法を放つ。


「古より解き放ち、前代未聞の英知よ虹色の不死鳥となり空へと舞い上がれ、レインボーフェニックス」


そう、これは虹色の指輪を個別の色ではなく、虹色の能力として解き放ったのだ。


試行がいきついた先に魔力を込めて試した感触が出来ると物語っていたことで、今回の依頼を受けたのである。


ちなみに詠唱は無詠唱でも出来るのだが、スキルではなく魔法だと思わせるために唱えたのである。


こうして虹色の不死鳥が夜空に舞い上がる。


「き、綺麗」


「な、なんて魔法なんだ」


「お、おい、あれはなんだ」


「虹色の不死鳥?」


「ま、まって、あの不死鳥の大きさ…」


「ああ、水の龍よりも大きい?」


「そ、そんなことよりも美しい」


「お前はなんで泣いてるんだ」


「あ、あれ、なんで俺は泣いてるんだ」


辺り周辺が騒がしくなる。


もちろん相手陣営もざわめきが半端ない。


今の全力の魔力で放つ不死鳥の大きさは思ったよりも大きかった。


夜空の月を見ながら余韻に浸っているとクインズ殿とコーズ殿がやってきた。


凄い笑みでコーズ殿が話しかけてきた。

「流石はミロード君。期待以上だよ」


「この秘宝のおかげもあり、なんとか向こうの水龍と同じ程度の大きさに達した見たいです」


「ちなみにあんな魔法が使えるなら後方支援じゃなくてもいいじゃないか」


「いえいえ、最近覚えた魔法なので威力なども未知数でしたので」


そんな会話をしているとクインズ殿も割って入ってきた。


「君のおかげで今回の戦争は最低限の損害で抑えれそうだよ、有り難う。


それとよかったら、魔法師団に入らないか?」


「嬉しいお言葉なのですが、冒険者に憧れていますので」


「そ、そうか、気が変わったら教えてくれ」


ここで何故かペルルが「クルゥ、クルゥ」とアピールしている。


「そうだな、ペルルも一緒に冒険しような」


こうしてなんとか勧誘を断りながら、無事にデモンストレーションが終わった。


今回の件で、向こうも警戒することで強気には出てこないだろうと予想している見たいだ。


絶対ではないので油断はできないが、俺の仕事は終わりかな?


その後は両陣営共に遠くからの魔法合戦のみが一カ月間続き、痛み分けと言う名の名聞で終わりを告げた。


もちろん魔法合戦の余波で岩や木が飛んできて負傷者などはいたが死傷者がでなかったのが一番なのだろう。


無事に辺境伯領に戻り、兵士達と共に宴が開催された。


この一ヶ月の間で俺は有名になり、次から次へてお酌を継がれる。


皆、今回の一番の功労者として背中をバンバン叩いていく。


みんな笑顔で楽しそうだからいいけど。


そして、何より家族の元に帰れると言って泣いている光景を見るのがとても微笑ましい。そんな姿を見ると家族っていいなーと思ってしまう。


今回の戦争では収穫が多かった。


秘宝水龍のネックレスを始め、自身の魔法の使い方や威力の確認、さらには魔法の打ち合いに参加させてもらい、敢えて中間地点に魔法を放つことで広範囲の魔物を倒しレベルも順調に上げることができた。


現在に至ってはチートスキルのおかげもあり、急激に強くなっているのが実感できる。


ひたすら慎重に行動していた結果が、ついに開花され始めるのだ。


短いようで長い道のりだった、これでようやく思い描き始める第一歩目が踏み出せそうだ。


そんなことを考えながら俺は月を見ながら宴を楽しむのであった。


「クルゥ、クルー」


えっ、ペルルも忘れるなって?


「もちろんわかってるって、一緒に冒険を楽しもうな。


あ、でも、俺が綺麗な女性と仲良くしてても口ばしで突っつくなよ」


ペルルは「グルゥー」と言って突っついてくる。


「い、痛いってー」


未だに焼きもちを焼く可愛いペルルであった。


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