第18話 依頼
ペルルと一緒に魔物討伐にも慣れ、最近は冒険者ランクがDランクまで上がった。
やっと駆け出し期間が終了と言ったところだろうか。
ただDランクやCランクの冒険者が一番多いと言われているので、依頼も争奪戦である。
朝早くから割のいい依頼からすぐになくなるのだ。
こうしてDランクになり一ヶ月後には順調にレベルも上がり、魔力量も増え不死鳥のスキルも成長している。
ただ、最近の一番の進展は≪まぜる≫のスキルが優秀なことに気付いたことだ。
二つの薬草をスキルでまぜると一つになるのだが、回復量の効果が1.5倍になっていたのだ。
さらに折れた剣とひびの入った剣をまぜた結果、ひび一つ入ってない通常の剣になっっていた。
仮に壊れた魔道具や折れた魔剣などが手に入ったとして、まぜる物によっては修復出来る可能性があると言うことだ。
それを知った日からは市場や出店をよく覗くようになった。
その為、出店や露店を通る度にペルルにおねだりされている。
それを見た人達が餌付けをして、いつの間にかペルルは人気者になっていた。
話に戻るが虹色の指輪のスキルだけではなく、この≪まぜる≫のスキルのおかげで無限の可能性がでてきたのだ。
日々思考を膨らませながら研究している。
そんな日々を送っているとまたもやアクア嬢に呼び出された。
オシャレなカフェで会うなりアクア嬢は険しい顔をしている。
挨拶も終え未だに重い腰を上げようとしないアクア嬢に俺は尋ねた。
「そんなに険しい顔をしてどうしたのですか?」
「オリジン帝国のことは聞いてる?」
「いえ、隣り国がオリジン帝国があることだけは知っていますが」
「そう。実はそのオリジン帝国といざこざがあったらしく戦争だーってなっているの」
「そうなんですね。もしや戦争に?」
「この街とオリジン帝国の間には山を挟んで防波堤の辺境伯の領地があるの。
ただ、この街からも貴族の私兵団を応援に出すことになったのだけど…」
「遠慮なく話して下さい」
アクア嬢は躊躇いながらも口を割った。
「私の兄上も行くことになったの。大好きな兄上のために私の信頼できる知り合いを一人でも集めようと思ったのだけれども、貴族や学生くらいしか心当たりがなくて…」
「それで私に声を掛けるか迷っていたのですね」
「そ、そう。ただ、貴方もサラサ姉とエターナのお気に入りだから…」
俺はどうするか考える。
考えた結果、一つの答えをだした。
「その兄上は人としてどうなのですか?」
「伯爵家の3男なんだけど凄いできた人よ。民に優しく、自分から率先して嫌なことをする珍しいタイプの貴族よ」
「そうですか、ではこういうのはどうでしょうか?」
俺は一つの提案をアクア嬢にしてみた。
それは簡単な話で後方支援なら報酬次第ではあるがしても良いという話だ。
ちなみに後方で役に立てる能力を説明すると目を輝かせていた。
そして今現在はアクア嬢の兄上と対面しているところだ。
「私はアクアの兄のコーズ・サンターナだ。宜しく頼む」
「D級冒険者のミロードです。宜しくお願い致します」
「アクアから聞いているが、壊れた武器を直せると言うのは本当か?」
「実際に見てもらった方が早いので、武器や材料はありますか?」
「わかった、集めてあるので案内しよう」
廃棄場へと案内され、壊れた武器や防具が山積みになっている。
俺自身もどの素材なら大丈夫なのか解らないので、この機会にいろいろ試していく。
成功例と失敗例を見せながらスキルを使う度、ロード殿は感心していた。
「スキルには魔力が必要なので、ある程度日にちをいただいても大丈夫ですか?」
「もちろんだ。一週間後には出発するのでそれまでに多くの武器を頼む。もちろん報酬は一割の武器を好きに持っていってくれ」
そう、俺は報酬を修復した武器の中から一割を好きに貰う約束をしたのだ。
向こうからすれば捨てる物だったものなので一切損はないので快く納得してくれた。
その日から大量の武器をスキルが尽きるまで使い修復していった。
1週間後、新品と見間違うほどの武器が沢山並んでいる。
そして、この武器と共にこれから戦場に一緒に向かうのであった。
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