第15話 貴族のお茶会
そう、俺は今アクア嬢の屋敷の中庭で優雅にコーヒーを飲んでいるのだ。
冒険者費用を出してもらっているので、誘われれば断りづらい。
そして、何故かアクア嬢とエターナ嬢とサラサさんに囲まれている。
この世界で初めてのコーヒーは嬉しいのだが、今俺は質問攻めにあっている。
「ミロード君、どう言うことかな?」
「どう言うこととは?」
「何故にサラサ姉の彼氏が君なのかな?」
「私も聞きたいです。前回救っていただいた時は彼女はいないって言ってたじゃなですか?」
頬を膨らませながらエターナ嬢が怒っている。
「あ、あの、サラサさんとはそもそもお付き合いをしていないのですが?」
「「えっ?」」
「サラサ姉、どう言うことよ」
「いずれ彼氏になる人だから、一緒でしょ」
「一緒じゃないわよ。貴女が彼氏が出来たと聞いてビックリして相手を聞いたらさらにビックリしたのよ」
「ホッ、良かった~」
「あ、あの~、誤解も解けたので帰ってもいいですか?」
「ダメに決まってるでしょ」
「そもそも何故ここにサラサさんがいるのですか?」
「私とサラサ姉は姉妹なのよ」
「姉妹と言っても私は愛人の子だからね」
「そんなの気にしてるの貴女くらいよ。気にせず何処かの貴族と婚約したらいいのに」
「いやよ。愛人の子ってだけで体目当てなのに。それでなくても年齢的に貴族として見たら売れ残りの歳よ」
「まだ18歳でしょ。未だにお見合いの話も来てるみたいよ」
「貴族の連中なんて嫌よ。私の体しか見てないのだから。彼氏君もそう思うでしょ」
「ちなみに彼氏じゃないです。それにそんなスタイルしてたら男性なら視線が行くのも当然です」
その言葉を聞いたサラサさんは胸元の服をチラチラさせながら、
「見・た・い?」
「見ちゃダメです。そんなに見たいなら私が見せます」
「エターナ嬢も釣られないで下さい、凄いこと言ってますからね。アクア様も何とか言って下さい」
「今思ったけど、私だけアクア様って言われると距離間があるわね。私もアクア嬢と呼びなさい」
「えっ、今その話要ります?」
「要るわよ。それにしても貴方モテモテね」
「私は貴族の視線が嫌いなだけで、別にハーレムは気にしないぞ」
「わ、私も気にしません」
「むしろ政略結婚はされないのですか?」
「あ~、私達の家系は子沢山でね。基本は自由にさせて貰ってるわ」
「私は親の許可が要りますが…説得します。」
「貴方、私達の家系には気をつけておきなさい。私やサラサ姉見たいに何かしらの見抜くスキルを持ってる人が多いから」
「えっ、もしかして私の面倒を見てくれたのは?」
「貴族だから当然期待しての先行投資よ。もうすでに期待以上の成果を上げてくれたから文句なしよ」
「もしかしてサラサさんも」
「えっ、それもあるけど、どっちかて言うと目かな。この年代の人達ってギラついた目か厭らしい目、もしくは覇気のない目をした人ばっかりなのよね」
「あ、わかります」
「それなのに君は穏やかな優しい目をしているのだ」
「いるのだって言われても…。」
「だから、気にせず私をお嫁にすると良い」
「抜け駆けはズルイです」
「アクア様、助けて下さい」
「ア・ク・ア・嬢」
「あ、はい。アクア嬢、助けて下さい」
「まあ、貴族の方から望まれるなんていいことじゃない。ハーレムでも良いっていってるから遠慮なく貰っちゃいなさいよ」
「そんなお手頃みたいな感覚でいいんですか?それに俺には…。」
あれ?俺の使命ってあるの?
そう言えば、転生の時に何も使命を言われてないぞ。
熱望する者を集めて転生させただけ?
俺がう~んと悩んでいるとサラサ嬢の声が聞こえた。
「何かやりたいことや使命でもあるのかい?」
「いや、良く考えたら無かったです。幸せに暮らしたいなぁ~と」
「なら、私が幸せにしてやろう。ギルド職員の給料はいいから暮らすのには不自由ないぞ」
「えっ、養ってくれるのですか?」
「もちろん私を毎日満足させてくれるのならな。ウフフ」
妖艶な笑みで見てくるサラサさんは綺麗なのだが、何故か身震いを感じた。
こうして疲れた果てた俺は、宿屋に帰って爆睡するのであった。
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