第13話 褒美

俺は来賓として伯爵家に泊まることになった。


伯爵家当主は不在のため、執事にいろいろと聞かれたが親の形見として持っていた物が運よく秘薬だったと一点張りした。


その後奥方からもお礼を言われ、そんな秘薬を使っていただいたなら褒美を与えないとって言われ、喜んで貰うことにした。


秘薬に変わるほどの褒美だから期待していいよね。



そんなことを期待しながら美味しいご飯を堪能してその日は眠った。


翌日、来賓室で待っているとアクア嬢とエターナ嬢が一緒にやってきた。


アクア嬢は入ってくるなり一言。

「ミロードは何か欲しい物はあるかしら?」


「沢山あります」


「正直者で見てて気持ちがいいわ。それで何が欲しいの?」


「活動資金はいただいておりますので、魔道具かスキル書が欲しいです。後はマジックバックなども欲しいです」


「そう、その品だとお父様と相談しないといけないから後日褒美を渡すわ」


「あ、あの私の家からも何かしらお礼の品が届くと思いますわ」


「本当ですか、嬉しいです」


「あ、あの、良かったら私でもいいんですよ。きゃっ!!」


「エ、エターナ、何を言ってるかわかっているの?」


俺はその話に冷静に返事をする。


「指が治ったエターナ様なら男性がほおっておかないでしょう。イケメン貴族をゲットして下さいね。なので、私目には是非高価な褒美をお願いします」


「貴方も大概ね」


そんなこんなで後日褒美を貰えることになった。


しかし、エターナ嬢は帰り際に耳元で囁いて言った。

「二人だけの秘密、ウフフッ♡」


俺は秘密を分かち合う人を間違えたかなと身震いをさせるのであった。



現状の魔力量やスキルの威力がわかった上で褒美が貰えるなんてラッキーだったな。


さてさて、パーフェクトヒールで強い奴隷を仲間にする前にレベル上げしながら魔力量を増やさないとな。


最低でも三倍の魔力量を増やさないと腕や足だけの欠損も治せないだろうからな。


目標が出来たことで俄然やる気がでてきた。


こうして俺は今までと同じくゴブリン退治に精を出す。


今までと違う所はゴブリンが二匹や三匹でも遠慮なく倒せることだろう。


ゴブリンを倒し続けていると次第に木の棒や小さな魔石が貯まってきた。


念のため木の棒もアイテムBOXに入れてきたけど、流石に邪魔になってくるからどうするか考えている内に閃いた。


これって、俺のスキルでまぜれないのかな?


木の棒二つを持って、スキル≪まぜる≫を使った。


目の前では二つの木の棒が混ざりあって一つになっていった。


本来の木の棒より若干大きくなった気がする。重さもすこし重くなった気がしたので混ぜた木の棒で今までの木の棒を叩いて見た。


その結果、今までの木の棒が砕けた。


「お~、これは凄いな」


俺は驚きのあまり声がでていた。


次々に木の棒を混ぜていった結果、凄い頑丈な木の棒が出来た。


さらには魔石も混ぜていったのだが、魔石は徐々に大きくなっていった。


実はこの≪まぜる≫のスキルは凄いのではないのだろうか?


いろいろなことを考えながら宿に戻った。


幸運なスキル虹色の指輪で人生設計をしていたのだが、まさかそれ以上に可能性を秘めたスキルだったとわ。


ありがたやありがたや。


両手を擦りながら神にお礼を言ってみた。


「こんな素敵なスキルを頂き有り難うございます。」


もちろん何も返事もないのだが、それぐらい喜ばしい出来事だってことだ。



ゴブリン討伐やまぜるのスキルを研究して一週間経ったころにアクア嬢の執事が馬車で迎えに来た。


用事もないので、屋敷に向かい来賓室で待っていると筋肉ムキムキの中年の人が入ってきた。


「お~、君がミロード君か。この度は秘薬を使ってくれて本当に有り難う。君のおかげで貴族間で逆に優位な立場になったよ」


なんとなく優位にたてれる背景に俺は予想がついた。


「それはそれは良かったです。こんな私でもお役に立てて嬉しいです」


「冒険者の割に君は礼儀ができているのだね」


「以前、少しですが貴族の方の執事をしておりましたので」


「そうか。申し遅れたがアクアの父、イザーム・サンターナだ」


俺も名前を名乗りお辞儀をした。


「ところで秘薬は他に持っていないかね?もちろん今回の褒美とは別で用意するが?」


「あればお渡ししたいのですが、形見は一つだけだったもので他には持っておりません」


「そうか、それは残念だ。ではその褒美の話をしよう」


イザーム様が手を叩くと台車が数台やってきた。


見るからに高そうな物ばかりである。


スキル鑑定を試してみると何故か魔道具の効果とスキル書の効果のみ見れた。

道具鑑定を持っていないのに魔道具の効果が解るのは魔道具がスキルと判定されたのだろうか?他の宝石などの効果などは一切現れない。


まあ、逆に言えば効果が見れる物は魔道具と判るからラッキーだ。


なになに水や火がでる魔道具に、光を灯す魔道具や自動収納テントの魔道具など冒険者なら欲しい魔道具が沢山あった。


さらにはスキル書が二つあった。


身体強化のスキル書とウインドパレットの魔導書だった。


おーーーーー、是が非でも欲しい。


俺が目を輝かせているとイザーム様が話かけてきた。


「この中から魔道具一つと魔導書を一つ選びなさい。秘薬のお礼だ」


「い、いいんですか、有り難うございます」


俺は遠慮なく貰って帰った。


早速身体強化のスキル書を使い習得した。


何故身体強化を選んだと言うと、魔法の発動は不死鳥で解るがどうしても身体強化の感覚は解らないと考えたからだ。


イメージと魔力操作次第でいつか魔法も覚えれると信じているのだ。


そして何と言っても水の出る魔道具が嬉しい。


水の不死鳥では魔力を使い過ぎるため、今後絶対役に立つだろうから水の魔道具にした。


この世界では井戸水はあるが力仕事だ。場所によっては水は貴重である。そんな中魔力があれば遠慮なく水が使えることは贅沢なのだ。


さらにはエターナの家からはアイテムバックと魔力増幅の指輪を頂いた。


たぶんだが、エターナ嬢が気をきかせてくれたのだろう。


こうして俺は、スキル一つの恩恵でばんばんざいであった。






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