第9話 冒険者ギルド
宿に泊まり朝食を食べながら周りを見渡す。
冒険者や商人と言った人達がちらほらと見られる。
ただ冒険者の朝は早いのか個人の冒険者や護衛と思われる者ばかりだ。
孤児院で食べていた硬いパンとはちがってパンをスープに付けなくても食べられる。
日本にいた時のようなモチモチ、ふわふわなパンではないが十分に美味しいと感じられた。
今までの食事が物足りなかった分、普通のパンが美味しく感じるのかもしれない。
朝食を食べ終わると冒険者ギルドに向かった。
異世界定番の綺麗なギルド嬢に期待しながら扉を開けると5つのレーンに分かれた先に…、本当にいたーーーーー。
その中でも一際行列ができている先にいるギルド嬢は金髪のブロンドを靡かせたとても綺麗な女性だった。顔もさることながら、男性の視線は違う方向を向いていた。
そりゃ~、男ならスタイル抜群の綺麗な女性の胸に目がいくわな。
一番人気のない隣りのレーンに様子を見ながら並んで見た。
どの冒険者も口説いているようだが、ギルド嬢はぶっきら棒にあしらっていた。
そんな様子を覗っていると自分の番となり、冒険者ギルドの移動届を伝えた。
ちなみに並んだ場所のギルド嬢は猫耳をした猫の獣人族の方だった。
とても可愛らしいのだが、何故か人気がないみたいだ。
アーニャさんと言い、俺はこのギルドの注意点や簡単な説明を聞いた。
混雑した時間帯ではなかったので、比較的丁寧に教えてもらえた。
隣りのレーンのサラサさんのレーンには新人は並ばない方がいいだとか、2階の閲覧室は誰でも使えるとか、Fランクの依頼のボードの場所まで優しく教えてもらえた。
真剣に聞いていたら、隣りのサラサさんに見つめられた気がしたのだが、たぶん気のせいだろう。
無事に報告も終わったのでFランクの掲示板を見る。
もちろん一つ上のEランクまで依頼を受けることができるのだが、今の実力では心もとない。
実力で思い出したのだが、レベルが上がり魔力操作も半年の間で成長したのか虹の指輪のフェニックスを発現できるようになった。
ただ、フェニックスと言うよりもツバメくらいの大きさなので小鳥のような外見だが、これでも戦闘の幅が広がる。
予測だが込める魔力量と魔力操作の練度で変わるのだろう。
そう考えるとパーフェクトヒールは魔力量が足りないと推定される。
そんなことを考えながらゴブリンの討伐依頼を受けることにした。
Fランクでも討伐依頼を受けられるのだが、単体のゴブリンのみを推奨されている。
番や群れでいる時は逃げるようにアーニャさんに忠告された。
水の都サンターナの外は草原が続き、その奥に森と山がある。
草原にいるホーンラビットを倒しながら森へと向かう。
ちなみに以前は苦戦し逃げ帰ったホーンラビットだが、フェニックスの発動とレベルが上がったことで倒せるようになったのだ。フェニックスはイメージ次第で色毎に発動できるようで、赤色を定番の火の鳥をイメージするとすんなりと発動した。
ホーンラビットに火の鳥を当てると燃え盛り簡単に倒せたのだが、素材や肉を無駄にするため今では剣で急所を狙って倒している。
こうして森に辿り着くと木々が視界を遮り、足場も凸凹で草原のようにはいかない。
神経を研ぎ澄まし、森のせせらぎや小鳥のさえずりの声を聞きながらも慎重に一歩一歩進んで行く。
たった100mがとても長く感じる。
額に汗を滲ませながら10分が経ったころ一匹のゴブリンを発見した。
手にはこん棒を持っており、俺と同じくらいの身長(175cm)ほどの身の丈がある。
手に持つ鉄の剣に力を入れ、そっと近づく。
しかし、枯れ葉を踏む音で気づかれ自然と目が合う。
俺は瞬時に水のフェニックスを発動する。
本来魔法は詠唱が必要なのだが、虹の指輪は決められたものを発動するせいか詠唱がいらない。
発動と共に一気に走り、水のフェニックスが当たり怯んだ瞬間に剣を振りかざす。
ゴブリンの脳天に剣が当たるも切り裂くまではいかない。
ゴブリンの悲鳴が響き渡り痛がって怯んでいる内に何度も剣を振るい何とか倒すことができた。
胸の中心の魔石を切り抜き、ゴブリンの悲鳴により魔物が来ないとも限らないので安全を第一にその日は帰ることにした。
討伐証明は魔石と冒険者カードで分かるみたいなので、ゴブリンの素材は他にいらないのでこん棒だけを持ち帰る。
こうして水の都サンターナでの冒険者としての一日が終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます