第7話 決闘?

気付けば周囲に貴族の子供が溢れんばかりに四方を囲んでいる。


俺はアクア嬢を見る。


ジー。


ジー。


「そんなに見つめられると照れますわ」


「誰のせいですか」


「いいツッコミよ。それはそうと貴方は冒険者になろうとするぐらいだから強いのかしら?」


「今はめっちゃ弱いです」


「そう。だからルールを決めたのですね」


「そうです。周りがしらけてしまうでしょうが行ってきます。あ、どんなに弱くても冒険者費用だけは宜しくお願いしますね」


こうして俺は試合場所に向かい審判の合図を待つ。


「それでは双方準備はいいですね」


両者共に頷き、程よい緊張感に皆固唾を吞む。


「ギブアップもしくは戦闘不能が勝利条件となります。それでは試合開始です、はじめ!」


試合開始の合図と同時に俺はジャンピング土下座の格好ですぐさまギブアップを伝えようとする。


それと同時にもの凄いスピードでイノセントはこちらに向かい刀を抜刀した。


その瞬間俺のジャンピング土下座が間一髪で躱すことに成功した。


そしてその後に俺は一言を発した。


「ギブアップ」


周囲の反応は予想に反して驚きの声で溢れかえっていた。


「イ、イノセント様の抜刀を躱したわよ」


「おい、イノセント様の抜刀見えたか?」


「私には見えなかったぞ。それを躱すなんて何てやつだ」


「それだけじゃない、貴族に花をもたすためにわざとギブアップしたしな」


「アクア様がお認めになっただけはあるな」


「私の執事に誘ってみようかしら」



その頃イノセントもまさか躱されるとは思っていなかったので、驚愕し固まっている。


「試合はそれまで。執事殿の降参により、この勝負イノセント殿の勝利とする」


その勝利報告も虚しくまばらな拍手がなり響いた。


罵声の嵐になると思いきや、周りからは何故か尊敬の眼差しで見られている。

これも運上昇の効果なのだろうか。


俺はバーバラとアクアの元へと戻った。


「ご期待に沿えませんでしたが、今の私の実力は最弱ですがいつか強くなって見せます」


「何をおっしゃりますの、想像以上でしたわ。卒業の5日後に馬車を手配しておきますから待っておりますわ」


「有り難うございます」


それからはバーバラの後ろで控えていたのだが、目立ってしまったせいか、ちらほらと俺に話しかける貴族の令嬢達がいた。


こうして無事にお披露目会は終わり帰りの馬車の中、

「今日は有り難うね。貴方のおかげで沢山の方に名前を憶えてもらえたわ」


「いえいえ、私の方もアクア様と出会えて幸運でした。出来れば村に戻りましたら安いもので良いので剣か何か頂ければ嬉しいです」


「任せておいて、すこしぐらいは報酬は弾むわ」


「有り難うございます」


スキルは虹の指輪以外は今は使い物にならない。

さらには未だに不死鳥は使えないことから魔力量もしくわ魔力操作が足りないのではと考えている。


ただ俺のレベルは低いと予想しているので、虹のスキルで成長スキルを想像し覚えることで今後に期待したい。

今のままでは死ぬ確率が高い上、今回の件で自身のステータスが低いことを身に沁みた。

流石に今の状態ではまずいので、今は貴重な虹のスキルを温存する余裕はない。強く懇願しイメージした。


それに伴い虹の指輪にスキルを発動することに成功した。


・青色→成長能力値上昇

ブルーメノウを思い浮かべ、レベルと共に成長を促すことに成功。

・緑色→パーフェクトヒール

治癒魔法の一つの魔法を思い描いた結果、パーフェクトヒールを獲得。


通常のスキルよりも劣るとあったので、今回は成功したらラッキー低度と考えていたのだが、まさか成功するとは思わなかった。

治癒魔法全体は獲得できないが、一つのスキルだけならば貴重なスキルでも問題ないのかもしれない。

パーフェクトヒールは今回の件で死ぬ確率を下げるためにどうしても欲しかったのだ。


まあ不死鳥が反映された時点でこの考察はしていた。



ちなみに現在の虹のスキル内容。


虹色→フェニックス(不死鳥)


赤色→未定

橙色→未定

黄色→アイテムボックス

緑色→パーフェクトヒール

青色→成長能力値上昇

藍色→運上昇

紫色→スキル鑑定


後で知ったことだが、この世界でパーフェクトヒールは貴重であり珍しいそうだ。

貴族にばれれば是が非でも欲しがるほどのようだ。

もちろん腕の欠損などは治せるがやはり死者は蘇えらせることは出来ないらしい。


ちなみに虹の指輪は指輪の色を変えることでそのスキルを使用することができる。

通常は藍色の指輪を常に身につけている。


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